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感想・レビュー・書評
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人生の大半を獄中で過ごした男が満期で出所した。身寄りのない無骨者が人生を再スタートしようと東京に出て、職探しを始めるが、世間のルールに従うことができず衝突と挫折の連続に戸惑う…。映画「すばらしき世界」の原案。
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西川美和監督の新作映画原作。という理由で絶版からよみがえった小説。読んでみると、なんでこれが絶版?と、出版社にクレームをつけたくなるほどの面白さと読み応え。映画化したくなる監督の気持はよくわかる。
主人公は終戦直後の混乱期の日本で孤児として成長した山川。誕生日も親も本籍地も不明のまま、戸籍を作り、極道の世界に飛び込み、短期の刑務所暮らしと出所を繰り返す。が、ついに殺人を犯し、懲役10数年。刑務所でも数々の問題行動を起こし、刑期を延長されつつも満了出所。
前科者で身寄りのない浦島状態の山川が社会とどう折り合いをつけて生きていくのか。「身分帳」という公文書に記された刑務所での悪行三昧の頃から生まれ変わることはできるのか。
身元引受人となった老弁護士をはじめ、かつての仲間や町内会長、近隣住民、警察官など、幸運にもいい人たちに囲まれ、生活保護申請や運転免許取得もスムーズ。すんなりと社会復帰成功、というハッピーエンドには終わらないところが人生の面白さ。 -
西川美和さんの作品が好きなので、この映画「素晴らしき世界」の原案となっている
佐木隆三さんの「身分帳」をちょうど今、読んでいます。
役所さんがこの本に出てくる主人公をやるんだな、というイメージを持ちながらですが
読んでいて、人間のどうしようもないダメな部分や愛すべき部分、そして何が善で悪なのか
自分の倫理観みたいなものを合わせて感じられるような本だと思います。
まだ途中ですが、やっぱりおもしろい。
映画も楽しみです。 -
主人公「山川 一」四十四才は二十三年間を刑務所ですごした。
昭和六十一年二月刑期を満了し旭川刑務所を出所。
その後の日常を綴った物語。
元受刑者が出所後に社会復帰することがどんなに難しいか、
ごく当たり前の日常生活を送ることがいかに大変か、
事実をもとに淡々とした描写に引き込まれる。
「収容者身分帳簿」に沿って山川の過去が明かされてゆく。
出所後は真当な生き方をしようと、山川なりに精一杯の努力をしているのだが、上手くいかない様子が実にもどかしく切ない。
カサカサに乾いたスポンジのように、愛が足りていない。
山川は自分をさげすんだり、攻撃する人に対してのみ反撃している。弱い人や障害を持った人や子供に優しく、世話になった人には義理堅い。筋が通っている。
人の優しさや思いやりに触れたとき無意識に涙ぐむ山川に、何度もエールを送った。 -
小説という感じではなかった。
映画化されていたとのこと。 -
何故そんな犯罪をしたのか、どういう人生を送ってきたか、どんな傾向が見られるか……そんな受刑者情報がつまった「身分帳」。
実際の事件をモデルにして、受刑後の元受刑者の人生を描く。
正直、フィクションにしては面白さが足りず、ノンフクションにしては本人が書いたわけではないからフィクション部分が大きい。 -
昭和61年2月19日、刑期を満了した男 山川一は、殺人罪で収容されていた旭川刑務所を出所しました。13年ぶりの社会復帰をする彼は、44歳という年齢。自身の出生は定かではなく、長年刑務所にいたこともあり、人生の再スタートは容易ではありません。出所後の人間が自身と世間との軋轢を感じながらも懸命に生きる姿を、実在の人物をモデルに描いた小説。著者は『復讐するは我にあり』で知られる佐木隆三氏。
映画は、本書に感銘を受けた監督が「すばらしき世界」として制作しました。 -
評価は難しいな。田村さんの人生が小説に値するもので目の付け所が素晴らしい。こんなに真面目で正義感が強くて一途なんだけど、何かが壊れている。愛情を注いで育てるってとても大切ですね。
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殺人犯として人生の大半を刑務所で過ごした男が
満期になって社会復帰するという実話です。
不幸な生い立ちのせいで人間関係を築くのが全くもって不得手、
極度に純粋なために直情径行が過ぎ、あちらこちらでトラブルを引き起こす。
根は善良な男なのに罪を犯さざるを得ない不器用さがせつなかったです。