LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界 [Kindle]

  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • “老化は病の一種で、防ぐことができる(治せるようにもなる)”ーという研究がかなり進んでいるようだ。
    多くの研究者の話、専門用語が出てくるが内容はわかりやすい。長寿遺伝子を活性化させてサバイバル回路を廻し続けることが必要。
    生きているうちは健康でいたいし長生きもしたいと思うので書かれている行うべきこと=“食べる量・回数を減らせ”、“体にストレス(=運動、時には寒さにあたる)は実践してみよう。

  • 長寿研究の権威である著者による老化に関する書籍です。老化は病気であり、治療することができると述べています。本書は三部構成になっていて、第一部では生物が老化する仕組みが生化学的に説明されます。第二部では対処法と現在進行中の研究成果について記述され、第三部では健康寿命が伸びることによる社会の変化や経済効果、人生のあるべき姿など哲学的な内容もありかなり多角的な内容となっています。

    本書ではがんや糖尿病、脳卒中など老齢期に罹患する可能性の高い病気はあくまでも老化の症状の一つと捉えています。一つの病気を治しても老化自体が進行していればまたすぐに別の病気(症状)に罹ることになり、健康寿命が長くなることにはつながりません。医学の進歩によってこれらの病気単体が治るようになったのは素晴らしいことではあるものの、健康寿命を伸ばすという観点からは根本の老化に対処しなければ本質的な対応にはなっていません。本書では現在判明している老化のメカニズムの観点から老化を遅らせる可能性を模索している多くの研究について述べられています。

    本書で述べられている内容の多くはまだ研究段階であり、人間に対しての効果が証明されたわけではありません。ラットに対しての研究で効果が見られているものはあっても、それが人間に対しても有効であるとは述べられていません。本書を根拠にサプリメントの摂取を始めるのはリスクもあることは認識しておいた方が良いと思います。

  •  Audibleで聴取。結論から言うと、本書にはランニングしながら聴くに適している部分と不適な部分があるが、後者の方がかなり上回る。
    ○適した部分:
    ・なんといっても健康に関する話題が多く、ランニング中に聴くとモチベーションが上がる。特にHIITのような激しい運動が健康寿命伸長にプラスだったという治験を知るとこれからも頑張ろう、と思える。空腹ランニングを始めて1年経つが、本書で触れられる低カロリー食のメリットも僕の実感と一致する。
    ・同一テーマに繰り返し言及する箇所が極めて多く、ランニング中に多少意識が内容から乖離してしまっても、すぐに同じ内容が繰り返されるため理解がしやすい。
    ●不適な部分:
    ・これが全てだが、とにかくあまりにも長すぎる。僕は一日30分〜2時間くらい走っておりその時間を聴取に充てたが、全部聞くのに3週間近くかかってしまった。いくら繰り返しが多くて多少忘れてしまってもすぐにキャッチアップできるといっても、これではだれてしまう。紙の本を読んだとしても多分同じ感想を抱いたと思う。同じ内容が3分の1くらいで表現できるのでは?
    ・紹介される多数の遺伝子や酵素の名称を、音声だけで記憶するのはやはり骨が折れる。本であれば忘れてしまっても前に戻れるが、朗読だとそうはいかない。NADやらNMNやら、似たような音感のものが途中でごちゃごちゃになってしまった。

     ややユーフォリックすぎるきらいはあるが、著者のポジティブなスタンスには大いに勇気づけられるのは確かだ。エピジェネティックな遺伝子情報修飾については結構の量の文献が出ているしそこまでの真新しさはないものの、寿命に関連づけられた一連の研究成果を新たなパラダイムとして提示したところが本書の出色な点だろう。しかしやはりこの冗長さには閉口した。最近の(特にアメリカの)翻訳物に多いが、原稿料が目方で支払われているのではないかと勘繰ってしまう。

  • 500ページ近くある読み応えのある本でしたが、3日間で一気に読んでしまった。本書は老化しない身体を手に入れるための実用書というよりも、老化研究の歴史や、老化を克服する未来の技術、また、健康寿命を延ばすことについての倫理的な問題までをカバーする壮大なノンフィクションだ。

    永遠に歳をとらない身体を手に入れたり、30代の見た目や体力のまま80代、90代を迎える、というSFの中のような話が、あと一歩で現実になろうとしているなんて、想像しただけでワクワクする。人生設計だけでなく、働き方、年金制度、保険など、世の中のありとあらゆる分野に影響を与える研究になりそうである。

    私は定年退職したら世界中を旅行したいという夢があるが、身体が健康で動けることが前提である。今の段階ではせいぜい70代くらいまでかな、と思っているが、これが80代、90代まで活発に動けるとなると、旅行に行ける国の数はぐっと広がるし、もしかしたら90代でハイキングなど楽しめるかもしれない。

    私はシンプルに健康寿命が延びる=楽しめる時間が増える、と捉えているが、これには賛否両論ある。そんな自然の摂理に反してまで長生きしたくはない、と思う人もいるだろう。

    長生きしたくない、というのは現在の老いに対する印象が、あまり良いものではないからではないだろうか?何かしらの病気を抱え、下手したら寝たきりの生活で介護が必要な状態を想像しているかもしれない。そんな老後の時間が更に伸びるのは嫌だと思う人は多い。

    しかしこの本の著者が研究しているのは「健康寿命」を延ばすことにある。老化を治療することで、30代、40代の元気な状態を維持したまま、戸籍上の年齢は120歳!ということも可能だと主張しているのだ。そもそも老化が病気だとすれば、老化しないのも自然の摂理に適っていると考えることもできる。

    専門用語や難しい遺伝子の名前なども出てくるが、身近な例を使ってわかりやすく説明されており、まったく背景知識のない文系の私でも難なく読み進められた。著者の語り口が優れており、これはSF小説を読んでいるのか!?というくらい。最近の技術は目覚ましく進歩しているのだと、読んでいて高揚を抑えられなかった。また、科学的な話だけではなく、健康寿命を延ばすということは自然に反するのか?といった倫理的な問題まで考えさせられる一冊である。

  • 老化は避けられないことではなく、病気の一つであり、治療することができる、というパラダイムシフトをもたらしてくれる一冊。それもただの個人の主張ではなく、権威ある研究者が科学に基づいて語っている。健康寿命が伸び、愛する人々と1日も長く快適に暮らせることを願い、科学の進歩が間に合うことを祈りながら、今からできることをしようと思う。

  • 120才まで健康で生きられる時代がそこまで来ている。
    衝撃だ。60歳でも人生の折り返し地点だなんて。

    寿命を伸ばす、と聞くと、新薬やら新たなテクノロジーを想像しがちだが、長寿遺伝子を活性化させることが大事で、そのためには食事を制限することや、運動、適度なストレスを与えるなど、今からでも実践できることが多くて驚きだ。

    私はすでに痩せぎみなので、食事を抜くという手法は抵抗があるが、運動はもっと積極的に取り入れて行こうと思う。

    生物には「ホルミシス」というシステムがあり、死なない程度の毒は、生命力を逆に強化するというものらしい。例えば、筋トレはその典型で、筋肉を完全に破壊するのではなく、適度に負荷を与えることで、強化している。これが、負荷をかけすぎると故障してダメになってしまうから注意が必要だ。
    サウナもそうだ。暑い部屋でたくさん汗をかいて負荷をかけ、そのあと一気に水風呂で身体を冷やしてさらに負荷をかける。そのあとの休憩で「整う」というのは、身体が回復していくと同時に、生命力が強化され、新しい自分に生まれ変わるような感覚があるのだろう。

    このホルミシスは、いろんなことに応用可能だ。
    仕事でストレスがかかっても、死なない程度であれば、成長の機会だとポジティブに考えることもできる。もちろん、故障しては元も子もないが。

    長く生きらられるようになるのであれば、より健康でいたいし、幸せでいたい。不健康で不幸では、長く生きても辛いだけだ。そして、できれば経済的にも自由でありたい。

    また、死ぬタイミングも大切だと思う。どれだけ長生きできようが、自分が自分だと分からなくなるような状態になってまで、生きたくはない。尊厳ある死を選べるような社会に願わくばなってほしい。

  • アンチエイジングの最先端を紹介する本。老化は病であり、その原因は突き止められつつある。人間の寿命が150歳を超える未来もそう遠くはない。しかも健康な身体を保ったままで。

    老化のメカニズムや対策について、様々な研究が紹介される。マウスでの実験ならば既に寿命を伸ばすことも成功しているので、確かに将来は人間の健康寿命も今よりはるかに伸びていると思わされる。しかし『生命科学クライシス』を読んだ後だと、書かれていることを全て鵜呑みにはできない。解明されたとされるメカニズムは部分的には正しいが実は他にも重要な要素があったとか、マウスでは上手くいくが人間には当てはまらないとか普通にありそうだ。全体としての方向は信じられるが、個別の事象については話半分に聞いおいた方が良いように思う。

    我々一般人が本書を読んでとるべき行動は「食事のカロリーを減らせ」「小さいことにくよくよするな」「運動せよ」の3つである。これは明らかに健康寿命を伸ばすのに有効で、かつ簡単にできることだ。未来では研究と技術が発達し、健康寿命が今よりも大きく伸びているかもしれない。だが、そこにたどり着くまでに死んでしまっては意味がない。なので技術が追いつくまで健康でいるために、上記の3つを実践すべきなのだ。

  • ■感想
    ◯老化を病気と捉えることで、その病気に対応するための本。

    ◯詳しい老化現象が載っている。巷で若返り薬と言われているものをただ取るよりも、解像度の高い理解ができる。

    ◯BT革命の流れに与する本である。2030年に向け、最も注目度の高い分野になると思う。

  • NMNとか

  • 老化とはエピゲノム情報の喪失。老化は病気。

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著者プロフィール



「2021年 『人類が進化する未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

デビッド・A・シンクレアの作品

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