仮想空間シフト [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • Zoomを使ったオンライン会議やリモートワークなど、急速に拡大しつつある仮想空間へのシフトについて、それがもたらす社会へのインパクトと今後の展望を語る対談集。

    それはコロナ禍前から水面下で進んでいたシフトではあるが、コロナ禍によって一気に加速された。

    アフター・コロナを論ずる本はとかく暗い内容になりがちだが、その中にあって本書はもっぱら明るい側面に目を向けた本といえる。

    《山口 例えばメディアアーティストの落合陽一さんは、ステイホームがはじまって逆にすごく生産性が上がったと言っていましたね。これまではひとつ打ち合わせをするにも移動が必要であったり、一日当たり最大七件くらいしか予定を入れられなかったのが、今は家にいながら次々にこなせるから毎日二〇件くらい打ち合わせをしていると。
    尾原 それはすごいですね。単純に比較すれば生産性が三倍になっている。》

    ……というふうに、「仮想空間シフト」のプラス面に光が当てられているのだ。

    対談集という形式は、話をあちこちに広げすぎてダラダラした内容になりがちだ。それに対して、本書はワンテーマに絞ってコンパクトにまとまっていて、好感が持てる。

  • 新型コロナウイルスのパンデミックにより、世の中が急速に物理空間から仮想空間にシフトする中で、我々が今後どう生きていくべきか、そのヒントを与えてくれる書。

    著者らは、「仮想空間における仕事はオーケストラ型からジャズ型に変わる」と言っている。自由度が大きく密度が濃い、そして自発的・協調的なプロジェクト型の仕事スタイル、ということのようだ。

    企業においては、「「信賞必罰」という外在的な刺激によって部下を仕事に駆り立てる、という昔ながらのマネジメントが機能不全に陥」り、仮想空間につていていける企業とそうでない企業で生産性の二極化が起きるとのこと。そして、生産性が高まるのは、「ミッションへの共感とかリーダーに感じる人望のような、内在的な刺激によって仕事へと駆り立てることができる織」、言い換えると、やりがいのある仕事を提供することができる組織なのだという。最近の若者が入社数年でせっかく入った会社をあっさり辞めてしまう傾向にあるのも、きっと同じ文脈なのだろう。

    仮想空間では、相手や場の空気を読むことができない。ミッションを掲げたり方針を打ち出したりしても、(日本企業にありがちな)本音と建前があったりすると参加者はいたずらに「混乱するし、モチベーションに悪影響がでて生産性も下がる」という。確かに、自分にもオンライン会議で不用意に発言して浮いてしまった経験がある。空気が読めない仮想空間では、心が通い合うといった実感も湧きにくいから、仕事の仕方、かなり注意しないといけないな。

    著者は、新入社員など、職場内での人間関係が十分に構築できていない人々にとって、「「なんかちょっと発言しづらいな」とか「相手の真意をくみ取りづらい」といった「問題がより顕在化してくるのは来年度以降ではないか」と予言している。今後社内人材も二極化していく、ということ。

    仮想空間シフトへの対応力は世代間で大きく異なり、「日本においては四六歳がひとつのターニングポイントになる」なのだとか。自分を含め、今46歳より上の世代は仮想空間シフトから取り残されるリスクが高いのだ。これはかなりショック。危機感を煽ってくるなあ。確かに、寝る間を惜しんでゲームやYouTubeに夢中になっている子供たちや、SNSを駆使しまくっている知人らを見るにつけ、薄々感じていたことではあるのだが…。

    仮想空間で仕事をする際の秘訣は、「境界性領域を作る」ことだという。著者は、「仕事用のマグカップとプライベートのマグカップを使い分けてい」るのだという。気持ちを切り替える際のヒントになりそうだ。

    著者らは、仮想空間を生き抜くには、「企業経営と同じようにイニシアティブポートフォリオを考える、「自分を経営」するような視点が必要」と言っている。「自分を経営する」っていい言葉だな。「ライスワークとライフワーク」のバランスをとるのは、かなりハードル高そうだが。

    何れにしても、人生の今後に再設計を促す、刺激に満ちた書だった。

  • 自分も世の中の現象をいかに切り取り考えるのか、良い刺激になる本

    仕事→暮らし→社会→人生→国家(行政)
    の順番で変化をしていく。
    今回のコロナにより、リモートワークが広まり仕事が変わってきたことは間違いがない。
    リモートワークが広まったということは、仮想空間シフトが起き始めている。
    ↔非目的型、目的型 ↕みんなで、一人で
    自分はどんな働き方をしたいのか

    アフターコロナは下記に分かれるのでは
    1つ目の断層で傷ついた人
    2つ目の断層で取り残される人
    2つ目の断層で急成長できる人

    仮想空間への対応で見た世代層
    0~21:仮想ネイティブ
    21~35:仮想ファースト
    36~70:リアルファーストで社会のルールを創る世代
    71~:実は身体が衰え仮想ファーストに生きている

    これからの世界を生き抜く10のアクション
    1境界性領域をつくる:仮想空間で仕事を快適に行うために自分のアイデンティティの切り替えができるアイテムを持つ
    2,ナメすぎず、ビビリすぎない:礼儀を重んじながら行動する
    3,アジェンダを設定する:会議のアジェンダになるものが、すでにどこかにストックされている状態をつくる
    4,仕事に意味合いをつくる:意味を掲げられる人になる。若者はやりがいのある仕事に飢えている
    5,共感できる人と組む
    6,ライスワークとライフワーク、リスクとリターンのバランスをとる
    7,問題的に敏感になる:問題を発見する機会を増やす
    8,問題にきちんと向き合う
    9,段階のステップを小さくする
    10、変化を前向きに受け入れる

  • アフターコロナといった新しい生活様式について書かれた本。
    新型コロナウイルスによって、Zoomなどによる遠隔会議があたりまえになったけれど、コロナが収まっても遠隔会議は続いていくのだろうなと思うし、続いてほしいと思う(会議だけのために、大阪から東京まで出張に行きたくないし)。
    落合陽一は、新型コロナ流行前は一日七件くらいしか予定をいれれなかったのに、今は家にいながら仕事できるので、20件くらい打ち合わせしているという。7件でも多いと思うのだけど、いったいどういう打ち合わせなのだろう…。
    テレビが登場した時はその活かし方がわからず、ただラジオ番組のスタジオでニュース原稿を読んでいる映像を流していたという話は面白かった。まあ、新しい技術がでてくると確かにどう使えばいいのか分からないものなのかも。今のZoomもただ遠隔で会議をやってるだけだけど、もっといい活かし方があるのかもしれない。
    ところで、作者二人によるとシェアリングエコノミーが今後浸透していくとのことだけど、個人的には新型コロナウイルスでより所有することが重要という考えが増えた印象。どういう人が使ってたのかも分からないものを使うって、衛生的によくないと思う人って多分いると思う(自分はあまり気にしないけど)。
    IKEAが障がい者向けに、3Dプリンターのデータを無料で提供する「IKEA This Ables」という取り組みをしていることは初めて知った。IKEAの取り組み自体、確かにいいことだけど、何より3Dプリンターが一般でも扱えるようになってきたというのが大きいのだろうなと思う。自分はまだ使ったことがないのだけど、いつか使ってみたい。
    後、今後は複数の収入源やアイデンティティを持つことが自立のために大事とのこと。一つの会社に依存するというのは、それだけリスクが高い事なのだろうな。自分の場合、不器用だから、ちょっと難しいかもなと思った。
    スーパーを利用したことがないイタリアのおばあちゃんが「誰がどうやって育てたかわからないスーパーの食べものを信用する根拠はどこにあるの」という言葉を作者が納得しているのはよく分からなかった。シェアリングを推進しているのに、なぜこの言葉には納得するんだ。むしろなぜ、自分の目利きを信用できるのだと思った。
    なお、ヨーロッパと比べて日本は、人口の割合に占める高齢者と比べて、街中にいる高齢者は少ないらしい。高齢者が出歩きにくい国になってしまっているということなのか。高齢社会を実感しづらいのは、そういうことが原因だったのか。高齢者が出歩ける世の中になるといいのだけど。
    なお、これからは状況に応じてリーダーにもフォロワーにもなれる人が重要とのこと。ただ、リーダーシップが高いというだけじゃだめということか。自分の場合、フォロワーとしてばかりだったけど、場合によってはリーダーとしての経験も今後、身につけたいったほうがいいのだろうなと思った。

  • コロナ禍で、リアルから仮想空間へのシフトが加速したことについての対談。昨年のカンヌを獲ったIKEAの事例がでてくる。先日のオンラインのカンヌで裏話のセミナーがあったが、はじめに考えたのは代理店のコピーライターで彼自身が障害をもっていて、チームで考え、IKEAに提案したとのこと。そのあたりの文脈は本書とちょっとだけ違っているかなあとも思ったが、本質は変わらない。これからのニューノーマルを仕事で考える上で使えると思うし、個人の仕事の仕方としても参考にしたい。

  • Kindleにて。
    おすすめに上がってきた本で、そんなに期待せずに読み始めたけど、すごく面白かった。

    ・ポテンシャルを上げるには、ストックとフロー
    ・イノベーションは運動量がすべて。分母を増やす
    ・予定を4象限のカラーに分け、第2象限にとりかかる
    ・小児科医 熊谷晋一郎「自立とは依存先を増やすこと」
    ・生産性、変身資産、活力資産
    ・アイデンティティの切り替え
    ・4P「プロジェクト」「パッション」「ピアーズ(仲間)」「プレイ(遊び)」
    ・イシュー(問題、課題)を提示、解決
    とか、いろいろ。

    最後の方に出てきた、噴火の話。
    短絡的には不幸な出来事も、その出来事をどう捉え、どう行動するかによって、人生が変わる。
    「過去は変えられない」というが、行動によって「過去の意味」が変わる。
    だから、過去は変えられる。

    それは、仮想空間とか、現実世界とか関係なく、人生そのものに対する向き合い方、生き方の話。

    この本を読んでよかった。

  • - コロナで加速したバーチャルへの転換を対談した本。
    - 仕事選びの基準が「好き」「できること」になる。

  • コロナによる社会の変化に二人の識者が論じている。
    一連のコロナによって社会は仮想空間へのシフトが強制的に行われた。
    それは本当によいことと思う。
    仮想空間へのシフトによって、生産性は100倍とか1000倍にできる可能性があると説く。
    これも納得。リアル世界ではどうしても直線的な思考になってしまう。
    それが仮想空間では指数関数的に考える事ができるからだ。
    リアルで考えるとドーム球場に5万人入れば、それが大きな固まりとしては最大かと思う。
    それが仮想空間ならば何百万人も同時に集まることも可能だ。
    これだけを考えても、発想を大きく変えていかないといけない。
    つまり本書を読んで感じたのは、もっとコロナ以後の世界について真剣に考えた方がいいということ。
    単純に出社が減ってリモートワークになってよかったねとか、そういう次元ではない。
    社会が変わる、生活が変わる、つまり人生が変わる。
    今後の生き方自体を考え直さないといけない時期なのだ。
    本書が執筆されたのが、2020年6月という。
    まだコロナになって数ヶ月というところ。
    その約1年後には東京オリンピックが開催され、さらにその後もコロナは収束せずに今に至っている。
    リモートワークは普通になったし、実際に仕事の面でも不便を感じることは少ない。
    しかしふと考えると「この状況に全く付いて来れてない人」がいるのも事実だ。
    彼ら彼女らに対して何かをしようとは思わないが、相当な分断が起きていくことは確実だろう。
    これは世代間の差についても同様に感じる。
    Z世代と言われるこれからの若者たちは、物心ついた時からスマホを持ち生活をしている。
    そしてこのコロナ禍だ。
    人生について、仕事についての価値観が全く異なるはずだ。
    昔から世代間の格差は言われているが、私も50歳をゆうに超え、それらを改めて認識しなければならない。
    若者に迎合する必要はないかと思うが、彼ら彼女らが何を考えているのか、何を大事にしているのかは理解する必要がある。
    つまりもっと話を聞かねばならないということだ。
    50歳を過ぎた自分が「これから人生が変わる」と思うことは不思議な感覚だ。
    何が起こるのだろうか。自分をどうやってアップデートしていくのだろうか。
    仮想空間の出現で効率性は劇的に改善されていく。
    一方で「目的がないもの」については、集まりにくくなってしまった。
    何となく部室に行けば誰かがいて、そこで喋っている内に新しいアイディアが出てくる。
    そういうのは、少なからず今までのリアル会社でもあったかと思う。
    放課後の居酒屋トークもその一つであったが、居酒屋を懐かしんで言っている訳ではない。
    ここでは「非目的の集合の難しさ」について言いたいのだ。
    これだけ「多様性」が必要と言われている中で、効率的になればなるほど同じ様な人とだけ集まるようになってしまう。
    どうやって仮想空間内で、非目的の場所を作れるか。
    そういう場所でどうやって居心地の良さを作れるか。
    そう言えば居酒屋だって、「居」の字が入っているが、初めに言い出したのは誰なのか。
    もしかすると「居」を求めるのは人間の本能的な部分なのかもしれない。
    社会人になった時は、とにかく酒飲みの場の作法的な事を怒られた。
    その場に参加する人がどうやって心地よく過ごすことができるのか。
    普通に参加して楽しめばよいかと思うが、実際はそうではない。
    共通の作法を身に付けることで、その場をみんなで快適に過ごせたりする。
    そういうものが、仮想空間内ではまだまだ作れていないと感じるのだ。
    イノベーションを生み出すためには、こういう場作りが必要なのだと思う。
    人生は大きく変わる。
    心してこれからの社会を生きていきたいと思う。
    (2022/1/9)

  • 山口周は共著の方が良いような気がする。

    仕事選びの基準は,「好き」で「出来ること」。
    イシュー。
    ライフワークとライスワーク。

    仕事→暮らし→社会→人生→国家(行政)

    自立とは依存先を増やすことである(熊谷晋一郎)

  • 仮想空間へのシフトがコロナで早まった。
    仮想空間にフィットできる人、早くにシフトできる人、ついていけない人、世代による差もあるが、能動的に取り組んでいく必要がある。
    ちょうど35歳の自分は上の世代も下の世代もわかる位置にいるので、若い人の意見をたくさん取り入れつつ、上の人を説得していきたい。

    住む場所含めて、働き方は既に大きく変わっている

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著者プロフィール

フューチャリスト。京都大学大学院で人工知能を研究。マッキンゼー・アンド・カンパニーやNTTドコモ、グーグル、リクルート、楽天など数多くの企業で新規事業立ち上げを担う。現在はシンガポール、インドネシアのバリ島が拠点。著書は『ITビジネスの原理』『ザ・プラットフォーム』『アフターデジタル』『ディープテック』など多数。

「2021年 『スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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