すばる2020年11月号

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910054591101

感想・レビュー・書評

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  • 取り急ぎ木崎みつ子さん『コンジュジ』について。
    父からの性的虐待を受ける現実と、イマジナリーフレンド(?というより恋人)との空想上の生活が二重に展開される。思い描く理想の恋人はすでに故人の、海外のバンドスターで、「推し燃ゆ」のように(未読だが。。)同時代に生きる日本のアイドルではない点、理想化も好きなだけできる。現実の過度なストレスに、自分だけの理想の恋人を空想して対応しようとするだけであれば、やや安易で図式的と言えるが、現実の父が死んだ後も物語が続いた。理想の恋人の伝記を読み進めるうち、彼の弱い部分も見えてくるようになり、ついに理想の恋人は聖性を失う。代わりに今度は、理想の「父」的な位置付けの別メンバーが聞き手となる・・。
    物語としてうまくまとめられていたが、途中に登場した、職場の同僚の描写などをもっと入れ込んでも良いのかとは感じた。最後で、リアンとともに自身も一度葬られることになるのであれば、リアンの「伝記」は消滅し、彼女に取っての今後の聖典は何になるのだろう?これだけトラウマがあっても、会社では味方がいるようだし、父が死んでからかなりの時間が経過している設定なのだから、もう少し外部と語り手の接触を肉付けしても良いのではと思った。一方で、リアンとの挿話は、もう少しまとめ直しても良いのではと思う。文章は簡潔でテンポが良いけれど、逆に言えばはっとさせるような描写を欠いているようにも感じる。
    もちろん、自分にこんな作品を書けと言われても、書けない。それで偉そうなことは言えない。ただ枠組みとしては優れているのにどこかが惜しいような気がした。

  • 『世界99』が面白い。分裂する世界。

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