世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた [Kindle]

  • KADOKAWA (2020年11月13日発売)
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  • kindle unlimited対象で評価が高く、マーケティング関連知識を補強したかったため購読。
    前著、MBA必読書50冊は伝統的なマーケティング理論に関する定番書籍が紹介されていたが、今回は現代マーケティングに関する新しい理論も取り上げられており、新鮮味があった。初めて聞くワードも多く、勉強になった。

    【メモ】
    ・マーケティングを学ばない日本企業は現場第一主義で素手と竹やりで戦っており、情報戦やIT戦略(制空権)を軽視している

    ・セールスは売り手のニーズ、マーケティングは書いてのニーズが出発点

    ・ポジショニング「消費者の脳内にある特別な場所に商品を位置づけること」、相手の脳内に一番乗りし、確立したポジションは絶対変えないこと。ポジションを変えるくらいなら新商品を立ち上げる

    ・ダブル・ジョパディの法則:顧客数が少ないと購買頻度も低い

    ・プレファランス=メンタル・アベイラビリティ:カテゴリー別の好み。ぷレファランスの組み合わせがエボークト・セット

    ・両利きの経営:探索ではリーダーシップ、深化ではマネジメントが必要。

    ・「アイデアの作り方」(ジェームス・W・ヤング)①アイデアは既存知の組み合わせ ②新しい組み合わせに導く才能は、事物の関係性を見つけ出す才能による
     1. 情報収集:テーマの特殊資料と、教養の一般資料
     2. 収集資料の咀嚼:新しい組み合わせを探る
     3. 何もしない:無意識が働くのに任せる
     4. アイデアが訪れる:くつろぎの時間
     5. アイデアを形にする:理解ある人々の批判を仰ぐ

    ・漢字や難しい言葉でものを考えるようになったら、現場から遠くなっている証拠。ひらがなで語る。

    ・日本人の勤労意識は鈴木正三「あらゆる仕事は修行である」と石田梅岩「顧客への誠実」の影響。与えられる仕事に対して受け身になる欠点はあるが、日本型経営を支えるのはこの勤労思想

    ・マーケティング1.0(製品中心、4P)、2.0(消費者中心、STP)、3.0(社会課題中心、価値主導)
    ①消費者が企業よりも賢くなった ②急速なグローバル化 ③ニーズを満たすだけではもはや消費者は買わない
    ・CSV(共有価値の創造):事業機会、自社の強み、社会的な課題の3つが重なる部分で事業を行う
    ・SDGsは経営課題=世のため人の為、私欲を持たずに、経済的合理性を追求する

    ・ブランド・レゾナンス・モデル
     ①ブランド・セイリエンス(ブランドの特徴)
     ②パフォーマンス(性能や機能)
     ③ジャッジメント(客観的な判定)
     ④イメージ(印象)
     ⑤フィーリング(情緒的反応)
     ⑥レゾナンス(共鳴・共感)

    ・サービスマーケティングでは4P→8P
     ①Product elements
     ②Place & time
     ③Price & other user outlays
     ④Promotion & education
     ⑤Process
     ⑥Physicals service environment
     ⑦People
     ⑧Productivity & quality

    ・顧客体験を見える化する「カスタマー・ジャーニー・マップ」ペルソナを通じて顧客体験を見る

    ・「まずPRでブランド構築し、広告でブランドを守れ」広告と違い、PRは新聞・テレビなどのメディアを通じてメッセージを間接的に伝える。第三者情報なので消費者は信頼する。

    ・ティッピング・ポイント
     少数者の法則:媒介者、メイヴン(物知り)、セールスマンの3タイプ=インフルエンサーにより流行が生まれる。
     粘りの要素:記憶に粘りつき、行動を引き出すメッセージ
     背景の力:「割れた窓理論」で小さな問題から解決

    ・成功するアイデア:SUCCESルール(単純明快、意外性、具体的、信頼性、感情訴求、物語性)

    ・影響ミックス(Prior, Other, Marketer)

    ・チャネル・スチュワードシップでは、チャネルの調整役が関係者に呼びかけ、顧客にベストなチャネル・バリュー・チェーンを考える。海外進出の際に、買収ではなく、チャネル戦略で販売力を強化できる。

    ・ネット通販で買い物が便利になると、逆に人は体験への危機感を感じる。店舗は顧客体験の提供の場へ変貌。スタートアップによる顧客直販 D2C(Direct to Consumer)

    ・SPIN営業術:B2B営業には小型商談と大型商談がある。状況質問(Situation)問題質問(Problem)示唆質問(Implication)解決質問(Need-payoff)

    ・チャレンジャー・セールスモデル
     ソリューション営業は限界。B2B営業は課題を聞くな。課題を教え自社の強みに引き込め
     セールスは5タイプ(論客型、一匹狼型、勤勉型、受動的問題解決型、関係構築型)好業績なのが論客型。
     商談6ステップ(地ならし、再構成、裏付け、心を揺さぶる、新方法の掲示、ソリューション提案)
     意志決定者の判断に影響を与える社内インフルエンサーを狙う

    ・「隠れたキーマンを探せ」
     顧客関係者7タイプ(やり手、教育者、懐疑者、案内役、友達、上昇志向、疎外者)モビライザー(やり手、教育者、懐疑者)との関係作りが重要。
     いかに売るかではなく、いかに顧客の変革を支援して成功させるかを考えろ

    ・サブスクを成功させる鉄則:①どうしても使いたいと思わせる顧客体験・利便性・お得感 ②継続的に使ってもらう ③収益化を継続

    ・カスタマー・サクセス≠サポート:売るのはゴールではなくスタート。顧客の成功を実現すること

    ・デジタル・マーケティングだけでは成約は勝ち取れない。見込客発掘(マーケター)、アポ取り(アポインター)、商談成約(クローザー)を分業する
    ・マーケターはフェイスブックで見込み客を絞り込む。一方でトラッキングピクセルへの風当たりは強くなってきている

    ・ファクトフルネス:10の本能への対策
    分断本能、直線本能、パターン化、焦り本能

    ・日本企業は「1つのミッション達成のために既存の仕組みを連動させ全社最適する」仕組み連動テクノロジーに欠ける。イノベーション(×技術革新 ○創発)

    ・世の中の発明のほとんどは、セレンディピティ(ブラックスワン)によるもの

  • 消費者に製品の違いを納得させる必要はない。注力すべきは、消費者の購買を伊流す仕組みづくり、つまりブランディングだ。
    差別化は長く続かないが、独自性があるブランディングは一度構築すれば長続きする。
    ブランド・ロイヤリティを育てるためには、消費者にブランドがすぐわかるように目立たせること。

    ブランディングで顧客を獲得するために何より必要なのは、「メンタル・アベイラビリティ」と「フィジカル・アベイラビリティ」の2つである。
    ・メンタル・アベイラビリティ
    …購入するときにブランドが思い出されること(=プレファランス)
    ・フィジカル・アベイラビリティ
    …消費者がブランドを見つけて買いやすいこと(=配荷)

    CEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)
    …モノを買う際に商品を絞り込む理由や状況
     → 強いブランド=「多くのCEPとつながったブランド」

    消費者がモノを買う様々な場面のCEPでブランドが思い出されるようにして、豊かなメンタル・アベイラビリティを創り上げることが必要。

    プレファランスを決める3つの要素
    ①ブランド・エクイティー…ブランドがもつ見えない資産(ex「TDL」=「夢と魔法の王国」)
    ②製品パフォーマンス
    ③価格…上げれば短期的にプレファランスは下がる。しかし、消費者を継続的に喜ばすための原資を得るには価格を上げる必要があるので、中長期的には正しい。

    売上を決める7つの基本的要素
    ①認知率
    ②配荷率
    ③過去の購入率(延べトライアル率)
    ④エポークト・セットに入れる確率
    ⑤1年間の購入率
    ⑥年の平均購入階数
    ⑦平均購入金額

    新規事業と既存事業ではやり方が違う。
    新規事業では、未知の新分野への探索が必要。
    一方で既存事業では、公立を追求して組織能力を活用する深化が必要。
    老舗企業には、探索と深化を両立する「両利きの経営」ができるリーダーがいる。

    アイディアとは、既存知と既存知の新しい組み合わせ

    マーケティング3.0(『コトラーのマーケティング3.0』)
    ①マーケティング1.0
    …製品中心の考え方。1960年代は製造業が中心で、モノを作れば売れた。
    ②マーケティング2.0
    …消費者中心の考え方。石油ショックなどで需要が低迷し、つくっても売れなくなった。
    ③マーケティング3.0
    …社会・経済・環境の劇的変化による課題を解決するもの。
     →マーケティング3.0が生まれたのは、2.0では限界だから。
      ・消費者が企業よりも賢くなった
      ・急速なグローバル化により、深刻な問題が起こっている
      ・ニーズを満たすだけでは、もはや消費者は買わない

    ブランドの語源は、牧場で自分の牛を区別するためにつけた焼き印。

    ブランド力は、焦点の拡がりに反比例する。

    コカ・コーラは「コーラ」、グーグルは「検索」、クロネコヤマトの宅急便は「宅急便」のカテゴリーを支配して、カテゴリーの代名詞のように使われる。
    人々がブランド名をカテゴリーの代名詞のように使うとき、そのブランドがカテゴリー所有者になっている。こうなると競合がいくら頑張っても、そのブランドから言葉を奪うのは不可能。ちなみに、私たちは宅急便を「宅急便」と呼ぶ。宅急便はヤマト運輸の商標登録なので、他社は宅急便という名前は使えない。

    消費者が気にするのは、新しいカテゴリー。そこで、まず小さな市場に集中する。ブランド名でそのカテゴリーを代表させ、そのカテゴリーで一番手になる。そしてブランドではなく新しいカテゴリーの利点を売り込み、カテゴリーを大きく育てていくのだ。

    「差別化ポイント」と「類似化ポイント」
    「差別化ポイント」とは、ライバルと異なる点。「顧客の脳内にポッカリと空いた穴」を探す。
    同時に、「類似化ポイント」も重要。他ブランドと共有されている点。類似化により、ライバルの差別化ポイントを弱めることができる。「差別化」も大事だが、ライバルに対する「類似化」も重要。

    ブランド構築では、ブランド・エクイティーを築き、高め続けることを目指すべき。
    ①ブランド認知…無印良品=「悪目立ちしないお洒落な文具」
    ②ブランド連想…無印良品=「無駄を排したシンプルなデザイン」
    ③ブランド・ロイヤリティ

    「無印良品」が商品機能で差別化しない理由
    ①機能的便益にこだわらない
    ②情緒的便益…「これを使うとき、私は〇〇を感じる」という便益。「これでいい」(必要で十分)という理性的な満足感を顧客に提供
    ③自己表現的便益…「これを使うとき、私は〇〇になる」という便益。「身のためにあった等身大で感じのいい生活をする自分」
    ④社会的便益…「これを使うとき、私は〇〇の人たちの仲間になる」という便益

    顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス / CX)…商品・サービスに関心を示した顧客が、購入・体験し、使い終わるまでの全体験

    「トラブルを体験し苦情を言わない顧客より、苦情を言って解決した顧客の方が再購入率は高い」(グッドマンの法則)

    顧客は期待以上のサービスを望んでいない。約束された者が手に入れば十分。「感動させてもロイルリティ(忠誠心)」は増えない。
    「顧客が求めるのは、期待したことが提供され、ダメなら説明があること。毎回感動を与える必要はない」

    価値は企業が顧客にサービスを提供する瞬間に生み出される。大行列のラーメン店の店主が「ウチのラーメンは絶品」と思っても、本当に絶品か否かを決めるのは顧客だし、そのラーメンの価値は、サービス交換時に食べた顧客により生み出されている。
    常に子役が主体となって、企業と価値を共創している。

    サービスには、提供側が「客を喜ばそう」と頑張ると、客は「この人は私を喜ばそうとしている」と受け止め、この瞬間に上下関係が生まれる。客の立場は上になり、提供者は弱くなる。そして、客は下の立場からのサービスの価値を低く感じてしまう。

    「売る」広告
    ①効能を語る…効能を約束しない広告はモノが売れない
    ②商品を知り、ポジショニング(=その商品が誰のために、何をするのか)し、違いを際立たせる
    商品の良い点を、事実に基づいてより説得力ある形で説明し、違いをクッキリと際立たせる
    ③ブランドイメージを与え続け、繰り返す
    ④チームワークで決めない…少人数が頭を絞って考えるべきだ
    ⑤自画自賛より誰かの推薦

    PR(パブリック・リレーション/パブリシティ)…新聞・TVなどのメディアを通じてメッセージを間接的に伝える
    広告…メッセージは企業の思い通り

    「PR」でブランドを構築し、「広告」でブランドを防衛
    (現代のPR戦略…範囲を絞り込み、自社がトップになる領域を見つける)

    世の中には気が付くとなぜか流行っているものがある。このようなブームは感染症と共通のパターンがある。感染症も流行も短期間で広がり、少人数の行動が大きな影響を与える。感染症のように流行が一気に広がるポイントがティッピング・ポイント。
    ①コネクター(媒介者)…つながり
    ②メイヴン(物知り)…情報
    ③セールスマン…説得

    サブウェイは脂肪分6g以下の7製品を「7アンダー6」としてキャンペーン
    大学生シャレドは190kg。体重が増え体調が悪化。「35歳まで生きられない」と言われ、減量を心に誓う。
    ①単純明快…サブウェイのサンドイッチで体重が減る
    ②意外性がある…ファストフードで大幅に体重が減るのは常識外れ
    ③具体的である…大きすぎて履けなくなったズボンと細くなった腰回り
    ④信頼性がある…シャレドの体験した事実に基づいている
    ⑤感情に訴える…シャレドはサブウェイに助けられて成功した
    ⑥物語性がある…大きな障害を乗り越えて勝利をつかんだ物語は人を勇気づける

    「サブスク」…顧客が購入し続ける長期的な関係をつくるビジネスモデル
      → 成功させる鉄則
       ①顧客に「どうしても使いたい」と思わせる子役体験・利便性・お得感を提供する
       ②顧客に継続的に使ってもらえるように顧客体験を高め続ける
       ③収益化により継続できる

  • ●「エクセレント・カンパニー」企業のベストフォームは何か?本社機能は常にすっきりと単純化。本社は絞り込んだ少人数。
    ●「ビジョナリー・カンパニー」基本理念を首尾一貫して徹底した結果、偉大な企業として発展する。

  • マーケティング理論についてこの1冊でつかめるようになっている本。働いているときに読んでおけばよかったと後悔した。この本で紹介されているもので気になったものは実際の本を読んで、さらに学びを深めたいと思った。
    Kindle Paperwhiteで読んだが、図が見づらかったので紙の本で読みたい1冊だと思った。

  • マーケティングを勉強するにあたってブックリストとして使える
    概要が先にわかっていると興味のあるものから本を選んで読み始められるのが良い
    紹介されていた50冊を少しずつ読み進めていこうと思う

  • 古典系のマーケティング本は難解なことが多いので、この本でざっくりと理解できて良かった

  • マーケティングを独学として勉強している私としては、めちゃめちゃ良本。50冊のマーケティング本の良いところ取りって感じで、読みやすかった。
    またそのおすすめ本から、さらに学びを深めたい。

  • 50冊の紹介であって1冊にまとめてみた
    ではないよな
    という点は引っかかるが興味深い本の紹介が得られる

  • 読んだ後賢くなった気分になれる。でも日常でもビジネスでも示唆に富むいい本

  • さまざまな考え方についての要約。
    営業は論客型が一番成果があった。

    2025/1/28
    何をやらないかを決める。ほしのやは、不動産の所有をやめた。

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著者プロフィール

マーケティング戦略コンサルタント。慶應義塾大学工学部卒業。日本IBMに入社しマーケティングマネージャーや人材育成責任者を担当。2013年に日本IBMを退社しウォンツアンドバリュー株式会社を設立。執筆の傍ら、企業への戦略策定支援や「永井経営塾」を主宰。2002年多摩大学大学院MBA修了。主な著書に、『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』のほかシリーズ60万部突破!『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)など多数。

「2021年 『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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