新説の日本史 (SB新書) [Kindle]

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  • 6人の研究者が、各時代で重要と思われる日本史の16コの「新説」をコンパクトに紹介した書。

    新説1 倭の五王は五世紀の「天皇」に特定できない

    新説2 「薬子の変」は「平城太上天皇の変 」だった

    新説3 変わった国風文化は存在したのか

    新説4 承久の乱の目的は鎌倉幕府の打倒だったのか

    新説5 観応の擾乱の主要因は足利直冬の処遇問題だった

    新説6 応仁の乱の主な原因は将軍の後継者争いではなかった

    新説7 戦国大名は「上洛」を目指してはいなかった

    新説8 豊臣秀吉は甥の秀次に切腹を命じていなかった

    新説9 関ヶ原合戦は豊臣政権の内紛だった

    新説10 「御江戸」と「大江戸」は別物だった!?

    新説11 江戸時代の「士農工商」は身分ではない

    新説12 薩長同盟は軍事同盟ではなかった!?

    新説13 日米修好通商条約は不平等ではなかった!?

    新説14 日露戦争で日本は情報戦に勝利した

    新説15 日米開戦の原因は組織と責任のたらい回しだった

    新説16 昭和天皇は戦後も政治・外交に影響力を持っていた

    やっぱり、厳密な考証に耐え得るのは江戸時代以降だな。古代や中世に関しては、新説が出ても史実は依然としてぼやっとしたままだからな。本書で面白かった点をいくつか。

    江戸時代の身分制度は「士農工商」の四段階ではなくて、「武士」と「町人」・「百姓」に二分されたものだった(町人と百姓の間に上下の差はなかった)。

    薩長同盟を斡旋した時の坂本龍馬は、脱藩浪人ではなく薩摩藩士だった可能性が高い。

    不平等条約における関税問題は、「長州藩が外国船を砲撃して戦争になった(下関戦争)」ことの賠償金減額の担保として関税を差し出したことに由来する、つまり「長州藩の攘夷行動によって不平等になった」!

    アジア太平洋戦争開戦に向かう時期、「陸軍も、海軍も、あるいは内閣の各大臣も、責任ある立場の人間は、自分の意見・発言が「戦争回避の理由」にされることを恐れるという異様な状況になっていた」。

  • 日本史は刻一刻と変わっている、ということがはっきりとわかる。やはりまずは勝者の史観が優勢で、一旦はそれらが定着しているからか。

    が、コンテンツに「えっ、今の定説はそうなの?」というところまでの驚愕感はなかった。とはいうものの観応の擾乱の根底と、豊臣秀次切腹の筆者説には唸らされたのも事実。

    また、近現代が案外まだ解明前、闇なんだなあ、ともいうのもわかった。歴史好きなら目は通すべき。

  • 古代から戦後までの各テーマに対してその道の専門家が通説とは異なる新説を述べている。
    個人的のへぇーとなったのは2、5、8、13の説。
    勝者が都合の良いように歴史は作られるため、敗者側からの目線も持ち、何が事実か、合理的かを考えることが大切であると思う。

    第1章 古代 河内春人

    新説1 倭の五王は五世紀の「天皇」に特定できない
    新説2 「薬子の変」は「平城上皇の変」だった
    新説3 「国風文化」は存在したのか

    第2章 中世 亀田俊和

    新説4 承久の乱の目的は鎌倉幕府の打倒だったのか
    新説5 観応の擾乱の主要因は足利直冬の処遇問題だった
    新説6 応仁の乱の主な原因は将軍の後継者争いではなかった

    第3章 戦国 矢部健太郎

    新説7 戦国大名は「上洛」を目指してはいなかった
    新説8 豊臣秀吉は甥の秀次に切腹を命じていなかった
    新説9 関ケ原合戦は豊臣政権の内紛だった

    第4章 江戸 高尾善希

    新説10 「御江戸」と「大江戸」は別物だった!?
    新説11 江戸時代の「士農工商」は身分ではない

    第5章 幕末 町田明広

    新説12 薩長同盟は軍事同盟ではなかった!?
    新説13 日米修好通商条約は不平等ではなかった!?

    第6章 近現代 舟橋正真

    新説14 日露戦争で日本は情報戦に勝利した
    新説15 日米開戦の原因は組織の論理と責任のたらい回しだった
    新説16 昭和天皇は戦後も政治・外交に影響力を持っていた

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著者プロフィール

河内春人(こうち・はるひと)
1970年東京都生まれ。1993年明治大学文学部卒業、2000年明治大学大学院博士後期課程中退。「東アジア交流史のなかの遣唐使」で博士(史学)。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、2018年4月より関東学院大学経済学部准教授。専攻・日本古代史、東アジア国際交流史。著書に『日本古代君主号の研究』(八木書店)など。

「2021年 『新説の日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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