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感想・レビュー・書評
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短編集「春と盆暗」が面白かったので読んでみた。
主人公のキャラが短編集と同じく天然な感じだったので、のほほんと読んでいたら何やら不穏な気配が。
よく考えると「春と盆暗」も、シュールでとぼけているだけではなかった。こういう作風になる可能性はあったわけだ……納得。
この漫画家の作品は、想像力や空想力が強く個性的なキャラクターが多い。ご自身もそうなのかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何もないところから目に見えない、でもたしかに存在する物体を作り出すというふしぎな才能をもった女子高生スイ。地味で目立たないスイが、ある日透明な傘をさして家路を急いでいるとき、たまたまずぶ濡れになって下校中の、同じクラスのショーコとばったり出会って、傘に入れてあげます。
ショーコは運動部に所属するいわゆる「陽キャ」なんだけど、ショーコの妙な才能も自然に受けとめ、ふたりは昼休みを外のベンチで過ごすお弁当仲間になります。
ところが学年があがってクラスが別々になると、スイはクラスで陰湿ないじめを受けるようになります。ショーコも、部活の方針で昼休みに毎日ミーティングに出なくてはならないようになって、ショーコの鬱屈した思いに気づくことができません。すると、以前はショーコとふたりで透明なトースターを作ってパンを焼いたりしていたスイが、だんだん不穏なものを作りはじめます……。
ちゃんと構造と手順がわかったものしか作れないから、何を作るにしても一から勉強しなくてはならないというスイちゃんの謎の能力が、妙にリアル。ファンタジーなんだけど、なんかしっかりとした足場があって、ざらりとした不気味さを感じさせます。
と同時に、スイちゃんの次第に鬱屈していく心のありようや、ショーコがついに異変に気づいたとき、脳天気なキャラから一歩踏みだして、スイちゃんとどう関わればいいか必死に考えるその迷いや誠実さもよく描けてます。
古書店で『わが空白』という謎の本を先に買った人物はだれなのか。ショーコがスイちゃんを止めるために持ちだした提案が何を生みだすのか。この先の展開が気になります。 -
読書メモ 2023/03/18
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どう考えてもこの後面白くなる予感しかない。