【コミック】メタモルフォーゼの縁側(全5巻)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 7
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感想・レビュー・書評

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  • 繊細な心の機微を感じとれる人でありたい。

    好きなものを好きって言えること。
    好きなものを語る相手がいること。

    好きなものに出会えること。

    それがどれほど難しくて、そして尊いことなのか。わたしはちょっと鈍感になっていたかもしれない。

    楽しくて、優しくて、ほんのちょっぴりチクッと痛くって。とても愛おしい漫画だった。

    好きという感情。
    好きなものに出会うこと。
    好きなものを語る相手と出逢うこと。
    それらが人生の喜びや勇気、優しさとなり、そして考えもしなかった未来を連れてくるんだね。

    好きなもので繋がった雪さんとうららの絆。
    言葉少なでも、会わない時間が続いても。お互いを大事に思いすぎた結果、後悔してしまったとしても。
    ふたりの間に流れる時間は、とても優しくて、明るくて、心がじんわりと温かくなった。
    まるで橙色の灯りがポワンとともるよう。
    「今日には
     今日のため
     明日には
     明日のため
     灯りがともる」
    なんだか心に残る雪さんの言葉、ふと思い出す。

    わたしは特に4巻が好き。というか、4巻のうららが好き。
    雪さんの言葉をきっかけに、憧れだったものへと一歩踏み出しこと。綺麗で自立した英莉を見ていて抱いた複雑な感情。憧れが現実になったときの落ち着かなさと高揚感。
    うららの少しずつ変わっていく姿が眩しかった。

    「好きなものを
     好きっていうのも
     綺麗な人をうらやましいと
     思ったり
     将来はこうなりたい
     みたいのとか
     そういうの
     全部
     はずかしい
     疲れる

     咲良くんは
     自分の
     大事なものを
     大事にできて
     すごいね」
    雪さんの年齢に近づいていく私は、雪さんの素直な感性や相手への思いやりに憧れを抱き、こんなふうに好きなものにドキドキしながら年を重ねていきたいなと思ってた。
    でも、うららのこんな気持ちにとても共感している私もいて。うららの年代はとうに過ぎ去っているのに、知らぬまに彼女に自分を重ねて心がギュっとなっている、そんな十代の頃の私もいる。

    最終巻。雪さんとうららの出逢いのきっかけとなった1冊のBL漫画について、雪さんがある人に語るシーンがあるのだけれど、このシーンは心臓が飛び出るくらいドキドキしちゃった。うふふ、私ってば、雪さんになってるの。
    あぁ、ふたりの「好き」がこういうふうに繋がったんだ。感動してブワッと涙が。

    本当に読んでいる時間がとても愛おしかった。
    これから何度も読み返すんだろうな。
    ずっと大切にしたい漫画。

    • aoi-soraさん
      まっちゃん!
      地球っこさんの言葉“人の縁とは奇跡”
      本当にその通り。
      この「メタモルフォーゼの縁側」の雪さんとうららも、奇跡の出会いだ...
      まっちゃん!
      地球っこさんの言葉“人の縁とは奇跡”
      本当にその通り。
      この「メタモルフォーゼの縁側」の雪さんとうららも、奇跡の出会いだよね。
      そして、お互いを思い遣る優しい気持ちが、二人の関係を素敵なものにしている^_^

      いやぁ、でもこの暑さの中、外出るの迷ったけど、観て良かったよぉ♪

      「青い鳥」
      うん。週末に読むのがオススメよ(笑)
      2022/06/27
    • 地球っこさん
      みなさん
      おはようございます♪

      aoiさん、素敵~
      この暑さの中で行動されるなんて。どうしても観たい、読みたい、そんな感情って止められませ...
      みなさん
      おはようございます♪

      aoiさん、素敵~
      この暑さの中で行動されるなんて。どうしても観たい、読みたい、そんな感情って止められませんものね。

      aoiさんがこの漫画の感想に目をとめてくださり、そしてまっちゃんさんの映画のレビューに心動かされ、そして素敵な時間を過ごされることができた……、それも奇跡ですよね☆

      朝から心が洗われるようなコメントを詠ませていただき、ありがとうございます(*^^*)

      今週は「メタモルフォーゼ」「青い鳥」と、涙を流して心がスッキリですね(’-’*)♪

      今日も猛暑になりますが、みなさん身体に気をつけてくださいね。
      2022/06/28
    • 地球っこさん
      もうっ、まだ寝惚けてるか、漢字間違い。
      コメントを詠む→読むです……
      もうっ、まだ寝惚けてるか、漢字間違い。
      コメントを詠む→読むです……
      2022/06/28
  • 久しぶりに漫画を読みました~。

    静かに流れる物語。
    いい!!
    とってもよかった。
    漫画もよかったけれど、これは是非映画も見てみたい。
    ゆっくりと漫画を楽しむ時間。
    今日はよい休日になりました。。

    • いるかさん
      kuma0504さん おはようございます。

      コメントありがとうございます。
      漫画を読んで、静かに流れる世界に浸ってしまいました。
      ...
      kuma0504さん おはようございます。

      コメントありがとうございます。
      漫画を読んで、静かに流れる世界に浸ってしまいました。
      そして、評判の良い映画を是非観てみたい。
      タイミングが合わず、劇場では見れませんでしたが、DVDを借りてでもみてみたいと思います。
      kuma0504さんのコメントをいただいて、なおさら観たいと思いました。
      ありがとうございます。。
      2022/08/09
    • はまだかよこさん
      この漫画ずっと好きで楽しみに読み続けていました。
      雪さん、いいわあ、婆さんの私の憧れです。
      私だってBL読みます(笑)
       
      そして映...
      この漫画ずっと好きで楽しみに読み続けていました。
      雪さん、いいわあ、婆さんの私の憧れです。
      私だってBL読みます(笑)
       
      そして映画も観てきました。
      うまく映像化されてるかなあなんて心配したのがウソのよう
      たっぷり縁側のぬくもりに浸ってきました。
      2022/08/10
    • いるかさん
      はまだかよこさん おはようございます。

      お返事 遅くなり失礼いたしました。

      雪さん 素敵ですよね。。
      芯がしっかりしているから...
      はまだかよこさん おはようございます。

      お返事 遅くなり失礼いたしました。

      雪さん 素敵ですよね。。
      芯がしっかりしているからですよね。
      憧れます。
      やっぱり映画もよいのですね。。
      大阪でまだ上演しているようなので、チャンスをうかがっています。
      もし、無理ならDVDでも見たいと思っています。
      コメント ありがとうございました。。
      2022/08/13
  • 読み終えた今、すごく元気が湧き出て、胸の奥が熱くなっています。

    75歳の老婦人・市野井雪と、17歳の女子高生・佐山うらら。
    二人の青春物語です。

    二人を結んだのは、BL漫画。
    共通の“好き”を、思う存分語り合う!!
    どんなにか楽しい時間でしょう。
    年齢なんて関係ないんですね。

    夫に先立たれ寂しい、雪。
    キラキラして見える同級生達とうまく馴染めない、うらら。
    そんな二人が、大きな挑戦に臨む!
    もう読んでいて、ドキドキ、ワクワク。
    うららが成長していく姿に感動しちゃいます。

    そして歳が離れているからこその、相手を思いやる気持ち。
    そんな二人の、温かい気持ちのやり取りも素敵です。

    最終巻。
    二人を結ぶきっかけとなったBL漫画をめぐる話。
    もう本当にドキドキしちゃいました。
    楽しい時間をありがとうございました!!


    ♪地球っこさんのレビューに感動して。
    ちょうど公開中だった映画を鑑賞。
    とても良かったので、コミックも♪

    • 土瓶さん
      あおいさん、ありがとう(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)⁠ノ⁠
      DVD借りるか、アマゾンプライムで観ようかな~。
      あおいさん、ありがとう(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)⁠ノ⁠
      DVD借りるか、アマゾンプライムで観ようかな~。
      2022/09/20
    • 地球っこさん
      aoi-soraさん、おはようございます♪

      わかりますー!
      最終巻のあのシーンのドキドキ。
      胸が熱くなりました。

      うららの時代を過ぎて雪...
      aoi-soraさん、おはようございます♪

      わかりますー!
      最終巻のあのシーンのドキドキ。
      胸が熱くなりました。

      うららの時代を過ぎて雪さんの年齢に近づいている私には、これからも何度も読み返したくなる素敵な漫画です。

      映画も観たかったな。また配信されたら必ず観ますね。芦田愛菜ちゃん、大好き♡
      2022/09/21
    • aoi-soraさん
      地球っこさん、おはようございます^⁠_⁠^

      うららの歳は、とうに過ぎているけど、あの頃のモヤモヤした気持ちとか、分かるよね。
      そして...
      地球っこさん、おはようございます^⁠_⁠^

      うららの歳は、とうに過ぎているけど、あの頃のモヤモヤした気持ちとか、分かるよね。
      そして雪さんみたいに、いつまでもドキドキを忘れないでいたいわ(⁠◡⁠ ⁠ω⁠ ⁠◡⁠)

      愛菜ちゃんも、宮本信子さんも、とても良かったです!
      2022/09/21
  • ずっと気になっていたマンガ。
    75歳の市野井さんと女子高生のうららさんが、BLで繋がって仲良くなっていくお話。
    とても優しい世界で、心が癒された。
    自分が好きなことで誰かと繋がれるって、やっぱりいいなぁ。年の差も男女も関係なく。
    いろいろと共感することの多い作品だった。


    ***

    75歳のおばあちゃんが出会ったもの、それはBL

    ふと立ち寄った書店で老婦人が手にしたのは1冊のBLコミックス。75歳にしてBLを知った老婦人と書店員の女子高生が織りなすのは穏やかで優しい、しかし心がさざめく日々でした。

  • アクションも、サスペンスもない。独創的な仮説もなく、もちろん戦争ドラマでもなく、笑えるけどコメディでもなく、恋愛もなく、SFでもなく、全くスペクタクルな要素は一切ない。
    普通ならば私がもっとも興味ないはずの分野である。ネットで見つけ、読んでいるうちにいつの間にか引き込まれ、次回を期待していた。
    そのうちにTVで紹介され、人気が出てきたようでネットの露出が制限され、出版社の思惑通り本を買っていった。昨年最終話で完結した。もっと長く続いてほしかったのに残念。ある二人の女性の友情と成長を描いたドラマである。

    その二人というのが75歳の夫を亡くした老婦人と女子高生。
    雪おばあさんはある日ボーイズラブの世界に触れ、今までみたことのないものに興味津々となる。
    一方で同級生とも仲良くなれない女子高校生うらら。もともとボーイズラブが好きだが、周囲からも浮いた存在で好きなことの話もできない。

    実生活では何かをうまく伝えらず苦労している彼女は、漫画を描くという行為の中では生き生きと自分の世界を語っている。おばあちゃんも同い年の人達話にどうもついていけず、話しに加わるのは大縄跳びに入り込むぐらい難しい、彼女たちの話を立て板に水というよりはわき出る泉みたいと表現し慎重に距離を置く。

    この同世代と馴染めない2人が偶然知り合いとなり、同じ話題で親友になる。同好の士というのは年齢は関係ない。
    私も好きな映画や本の話をするがカミさんはほとんどうわのそら。7割ぐらいは聞いていない。理解出来ないもの、関心ないものを理解する気は全くない。かみさんが好きな本についてあれこれ聞くとそれも面倒がられる。夫婦であっても分かり合えるのは難しい。
    そういう同行の士が居るというのに憧れる。彼女達は二人きりのボーイズラブの読書会を始める。

    私のボーイズラブとの出会いははぎおもとの「トーマの心臓」を昔読んだくらい。高校生の多感な時期、妹が買ってくる週間少女漫画に夢中になった。ユリスモールみたいな格好良い委員長がいたらぜひお近づきになりたかった。今となっては、感性が廃れBLは読まない。このおばあちゃんは年とっても女子高生と通じる少女の心を持っている。

    おばあちゃんはうららのことをお友達と呼び、孫に近い年の差を意識することなく、人として認めている。そして背なかを押して漫画を描かせ、製本までしてしまう。
    で結局コミケに売りに行ったり、二人が夢中になったその漫画の作者に会いに行ったり。
    何気ない日常生活を静かに描く。説明的な描写も少なく2人の友情とその周辺の人間関係以外取り立てての話しはない。うららの家庭環境も詳しく描かれない。たまに会う父親がおり、母親とは、多分離婚したのだろうだが、はっきりとは説明されない。

    年の離れた2人の友情をとりもった漫画の連載が終わるとき、うららも同世代の友達が出来、雪おばあちゃんはうららの書いた漫画もって娘が住む海外に旅立つ。うららはおばあちゃんが居なくなった家に二人で読んだ漫画を見つける。新たな出発と別れを予感して物語が終わる。

    ストーリーを紹介してもこの本の魅力は減じることはない。ネタバレすると再読する気になれなくなる本があるが、再読に耐えられる漫画。むしろストーリーを理解してそこかしこにあるワンポイントの描写を味わうのが良い。とにかくおばあちゃんの描写が楽しい。18禁の漫画が変えず落ち込むうららにお婆ちゃんが2冊かって得意げにピースサインを出したり、うららを心配して涙目になったり。このあたりは漫画の特性を発揮している。文字では表現しえない面白さがある。

    このマンガは映画化されるらしいが、このおばあちゃんを誰が演じ、どのように描かれるかにすべてがかかっている。良い映画になることを祈りたい。

  • BLを通じておばあちゃんと高校生が仲良くなるほのぼのしたストーリー。
    ピッコマの一気読みで読んだ。

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著者プロフィール

1982年富山県生まれ。2007年に「おおきな台所」でデビューし同作品で第52回ちばてつや賞準大賞を獲得。「メタモルフォーゼの縁側」が初めての単行本作品。

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