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感想・レビュー・書評
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AIが格差解消の起爆剤になるとは思わなかった。地方でこそAIを活用し生産性を大きくUP出来る可能性がある。
すでに大量生産、大量消費の時代が過ぎたのであれば、多品種小ロットを如何に効率よく生産するかが大事になる。
ここでAIを安価に活用出来れば、確かに都市部ではない地方であっても競争力は保てるかもしれない。
生産コストは海外の方が安いというのは、人件費が安価だからだ。
アメリカの工場では競争力がないというが、AIを最大限活用すれば、製造にかかる人員も最小限で済む可能性がある。
さらに言うとAIの価格は世界中どこでもほぼ同じ。
人件費が高いとは言え人数が何千人もいれば差がつくかもしれないが、少人数であればむしろ外国からの輸送コストや関税を考えてもその差分を吸収できる。
そういう風に見ていくと、確かにテクノロジーの進化が地産地消を加速させるかもしれない。
インターネットという世界だって、Googleなどの中央集権社会からの脱却を狙い、分散化に舵を切り始めている。
(本来のインターネットの姿が分散化だとも言える)
バーチャル世界の分散化と、リアル世界の地産地消は本質的には同じ事なのかもしれない。
それこそが実は持続可能なよく出来た仕組みであると見えるのは偶然ではないだろうと思う。
AIは確かに将来人間の仕事を奪っていくかもしれない。
しかしながら本質はそこではない。
AIを如何に活用して使い倒すか。今現在人間が行っているが機械で行った方がいい仕事を如何にAIに効率的に作業してもらうか。
つまるところ人間とAIは共存していくことが正解なのだと思う。
これはどこのAI論でも語られていることであるが、人間はAIを活用して能力を拡張させることが出来る。
今よりももっともっと社会が暮らしやすくなるために、AIは活用されていくのだろう。
世界の人口はまだまだ増え続けるが、今世紀の終わりに向かっては減少に転じるという予測もある。
2100年の世界には私は生きていないと思われるが、その時代にはどれだけAIが進化しているのだろうか?
SF世界のような、一人の人間に1台以上のアシスタントロボットがいるのだろうか?
もちろんそのロボットはAIで最適化され、まさにその人を一生かけてアシストしていくのだろう。
そんな世界では友人や恋人はどういう位置づけになってしまうのだろうか。
人口減に転じた世界は、まさに地産地消の形で最適化されて、非常に暮らしやすくなっていそうだ。
気が向けば世界を旅することができるが、その移動コストも劇的に下がっていることだろう。
そうなると地産地消とは言え、人間の移動はアシスタントAIロボットとともに活発化していくのだろうか。
生産活動はロボットが担い、人間が「食べるために」という理由ではほとんど働かなくてもいい世界がおとずれる。
そうなった世界は、人々は芸術などの創作活動に勤しむのだろうか。
そういう人もいるかもしれないが、結構な割合で世界を旅する人が増えそうだ。
それこそ定住を持たずに毎日旅をしていても暮らしに困ることはない。
身の回りの世話はアシスタントロボットがこなしてくれる。
人間は社会的な生き物だから、新しい土地で人と出会い喋ることで豊かな心になる。
本当にそんな世界が訪れる可能性は大いにある。
2100年という世界は実はそんなに遠い未来ではない。
2022年の現代に生まれた子が80歳前に訪れる年だ。
しかもこの時の80歳は、今の80歳のような老人ではない。
おそらく遺伝子技術や医療の発達、身体のパーツを取り換えるなども可能になっていて、80歳とはいえものすごく若々しく健康的な暮らしをしているはずなのだ。
ほとんど不老不死と言ってもよい状態を手に入れているかもしれない。
さて我々はそんな世界をどうやって生きていくのだろうか。
(もちろん私はその時代には死んでいると思うのだが)
未来を豊かにするために、今我々は何をすべきか。
こういう本を読むと色々と想像をしてしまう。
世界がAIによって良い方向に向かえばと願うばかりだ。
(2022/7/17)詳細をみるコメント0件をすべて表示