貝に続く場所にて [Kindle]

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  • 講談社
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  • 記憶は水に垂らした1滴のインクの様に時間と共に薄れてしまう。しかし無くなる事はない。インク溶液となった水が純水に戻らないのと同じように身体の奥深くに残り続ける。光に透かした時に水に色がついていると判るように、何かの拍子に気が付く。それが歓喜を伴うものでも、どうしようもない哀しみを伴うものでも…。いつかは向き合わなければならない自分自身の一部なのだ。しかし、生死が曖昧だからこそ向き合えない。この物語は震災の記憶。失われたものと、残された者の折り合いの付け方を美しく精細な文章で綴っている。終盤の惑星のモニュメントを巡る遠足の記述は、もう素晴らしいとしか言いようがない。時間の遠近が崩れてゆく中、蜃気楼のように時を超えて目の前に現れる情景の描写は脳の奥に刻み込まれるようだ。溢れる様な美しい文章や浸みてくる言い回しは、この作家さんの奥の深さが窺えるようである。本当に素晴らしい読書体験が出来ました。

  • 残念ながら没入できず、途中から字を追いかけることになってしまった。
    震災経験者+ドイツ、という組み合わせでどう自分の気持ちを表現すれば良いのか。そんな気持ちがひしひしと伝わってきた。

  • 私にとって響く言葉の多い本だった。
    読み返すときがありそうです。

    山田詠美さんの選評が嫌い。

  •  東日本大震災へのレクイエム作品だが、ドイツのゲッティンゲンという田舎町を使ってまでして語るにしては難解すぎる。
     ゲッティンゲン(月沈原)という街の設定、時間と空間のあいまいさ、心象の奇異な形での具象化等々、前提条件が奇異過ぎて、強い拒絶感を持ちながら最後まで読み終えた自分を褒めてあげたくなる作品。

    大震災の時に行方不明となったままの友人ーー野宮(の亡霊)を9年後にドイツのゲッティンゲン駅に迎えに行く私・・・

    乳がんにより切除された乳房が土の中から掘り出され、それを大皿の上に盛って保管する女性・・・

    現在から過去へ、過去から現在へと時間軸が行き来し、その映像が二重に見えるゲッティンゲン(月沈原)の街・・・

    目の前にいる友人が徐々に消えていく森の道・・・

    等々・・・

    (作品紹介)
     第165回芥川賞受賞!第64回群像新人文学賞受賞のデビュー作。
     コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。

  • ドイツのゲッティンゲンという現在と過去が交錯した街が舞台、東日本大震災で亡くなり10年後も体が見つからない気になる大学の後輩の幽霊、聖画から出てきたような女性たち、突然現れる寺田寅彦の幽霊。場所と時代が入り乱れ、複雑な論理で話が進み、混乱した。作者が伝えたいことが、我々凡人にはほとんど伝わらないのではないか。従って面白みも感動もわかなかった。震災の個人への爪痕が、記憶として奥深くに刻まれ、「もの」を通して蘇ってくるような気がしたが、蘇って明らかになった記憶からどう鎮魂へどうつながるのか‥、わからない。

  •  
    ── 石沢 麻依《貝に続く場所にて 20210709 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B097MB32N9
     
    ♀Ishizawa, Mai 1980‥‥ 仙台 /20210827(41)芥川賞
     
     東日本大震災の記憶との向き合い方をテーマにしたデビュー作。ドイ
    ツ在住、今回もリモート参加。先月の受賞決定会見では「うれしいとい
    うより恐ろしい」との心情を吐露したが、「この(贈呈式の)場所に立
    つことで、鮮やかでありながらも困難に満ちた険しい道が見えてきた。
    でも私はその道を進むことを絶対に恐れたりはしません」と決意を述べた。
     
    (20210829)
     

  • 1回読みでわけがわからず2回読んだけど
    やっぱりわからない・・
    難しいとしか感想が浮かばない。

  • ドイツの実在の場所が背景であり、大学を背景としているなかで寺田寅彦の書籍が登場する。さらに犬も登場しトリュフ犬も登場する。

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著者プロフィール

いしざわ・まい
1980年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、ドイツ在住。2021年、「貝に続く場所にて」で第64回群像新人文学賞を受賞。同作が第165回芥川賞受賞のダブル受賞。

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