虚魚 (角川書店単行本) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 点と点がつながって線が束になっていくような物語の構成がとても読みやすかった。物語の世界観が強く、ラストまでそこに入り込んで楽しく読めた。得体の知れない恐怖を描くのが本当に上手な作家さんだと思う。

  • 横溝正史賞です。

  • 人が死ぬ怪談を探す怪談師、呪いで死にたがる少女、そして怪談師の元恋人。三人は、本物の怪談を見つけることができるのか。

    人が死ぬ怪談を探している怪談師、三咲と、

    呪われ、祟られて死にたがっているカナちゃん、そして、

    三咲の元恋人、昇との、奇妙な関係。



    そもそも、人が死ぬ怪談ばかりを探すことも、

    呪われて死にたがることも、奇妙ではあるが。

    その奇妙さが、独特の雰囲気を醸し出す。



    三咲の真の狙いは、人が死ぬ怪談で復讐すること。



    物語は、怪談さがしと、そして、この三人の過去にまつわる謎のようなものが、

    解きほぐされていく、ミステリーに似た要素と、

    囚われていた心を取り戻す、旅に似た要素と。



    「怪談」とは、一体何なのだろう。



    悲しみ、うらみ、悔やみ、妬み…、

    人の歪んだ心が、膨大な時を経て、どこかに積み重なり、

    瘴気のように漂い、形となったものか。



    心の中の大切なものを壊した人間が、すがりつくものか。



    人が死ぬ怪談は剣呑だが、剣呑であるからこそ、

    本物だと、思い込む。



    大切な者を失った人は、その行方を必死で追いかけ、

    「怪談」という異世界を追い求め、

    異世界に行ったっきりになるのか、戻ってこれるのか。



    いつしか、怪談に魅せられ、引き寄せられていく自分に気づく。

    境界線を越え、異世界への入り口を探そうと、思う。

  • 怪奇現象に迫っていくホラーミステリ小説。

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著者プロフィール

1992年生まれ。長野県上伊那郡辰野町出身。2021年『虚魚』で第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>を受賞し、デビュー。

「2023年 『きみはサイコロを振らない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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