同志少女よ、敵を撃て [Kindle]

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  • 早川書房 (2021年11月17日発売)
4.25
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Amazon.co.jp ・電子書籍 (493ページ)

みんなの感想まとめ

戦争を背景に描かれる本作は、心優しい少女セラフィマが復讐を誓う姿を通じて、戦争の理不尽さや命の意味を考えさせられる物語です。彼女の強い意志と、敵を撃つことの重みを感じるシーンが印象的で、読者は彼女の成...

感想・レビュー・書評

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  • 2022年本屋大賞受賞作。
    第二次世界大戦で家族や村の人々を失った主人公・セラフィマが復讐のために劣悪な戦火にその中で同じ境遇を持つ“同志”達とともに身を投じていく。
    ミステリー作品としても分類されている本作だが、ミステリー要素よりも戦争とそこで育まれる女性同士の絆、人々の様々な思惑が蜘蛛の巣のように交差していく大河ドラマのような骨太ストーリーと見所満載の小説となっている。
    出会った仲間達が次々と命であったものに変わっていく描写はとても読んでいて辛くなるばかりで、何度も読むことを辞めてしまいました。セラフィマを始めとする女性小隊は只敵を撃つことにのみ育てられ、戦火の極限状態の中で多くの選択を迫られていく。そして、セラフィマを戦火に招き入れたイリーナの真意が分かったときの衝撃、セラフィマの復讐の行方など怒濤の展開が次々ときてとても面白かったです。
    そしてこのストーリーを乗り越えた先に描かれたエピローグはこの重いストーリーを読み切った読者に送られる最高のご褒美だと思います。是非読んでみてください。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    セラフィマ:種崎敦美
    イリーナ:水樹奈々
    シャルロッタ:岡咲美保
    ヤーナ:早見沙織
    オリガ:雨宮天
    アヤ:悠木碧
    ノーラ:高山みなみ
    ターニャ:瀬戸麻沙美
    ハトゥナ:伊藤静
    リュドミラ:朴璐美
    ジューコフ:山寺宏一
    マクシム:中村悠一
    フョードル:安元洋貴
    ユリアン:松岡禎丞
    ボグダン:吉野裕行
    ミハイル:寺島拓篤
    ドミートリー:堀江瞬
    ニコラーユフ:大塚芳忠
    イーゴリ:井上麻里奈
    サンドラ:中原麻衣
    ハンス:子安武人
    ユルゲン:武内駿輔

  •  本書はこれまで読んだ小説の中でも相当お気に入りの1冊になりました。

     私がこの辞書のように分厚い本を読み切ろうと決意したのは、冒頭心優しい少女セラフィマが「戦いたいか、死にたいか」とイリーナに問われ「ドイツ兵も殺してお前を殺す」と戦いを宣言するシーンがあったからです。ただの活字なのに「お前を殺す」という心からの叫びが聞こえました。彼女の復讐が遂げられるかを見守りたいと思いました。

     本書は戦争が題材になっているので、ショッキングな場面も多いですし、どうしてあの子がとおもうような人物が死んでしまうこともありなかなか読むのが辛い場面もありました。

     しかし、そんなシリアスなシーンもありながらクールで完璧な狙撃手が見せる意外な弱点や、セラフィマの母の遺体を焼いた冷酷非道と思っていたイリーナが冗談をいうシーン。戦地でときより訪れるつかの間の日常会話など大笑いはできないけどクスッとできる描写もあり、アップダウンを繰り返して読み切れました。

     本書は1~10まで最高でしたが、中でもお気に入りはセラフィマの本当の敵の正体がわかるシーンです。本書のタイトル『同志少女よ敵を撃て』この台詞とともに放たれる弾丸が向かう先にいる真の敵が誰なのかそれをぜひ皆さんにも味わってもらいたいです。

  • 同志少女が撃ったのは

    評価3.2
    audible 15時間34分
    kindle 493ページ

     若者は知らないであろうソビエト連邦が舞台。通常小説でも敵国とされることの多い国内の少女セラフィマが主役。僕も歴史は詳しくはないがドイツと戦っているらしく、あっという間にドイツ軍に母親もろとも村ごと虐殺される。かろうじて救出され、ソ連軍の射撃訓練施設へ連れて行かれるのはまだ幸運か。

     個人的にはあまり好きではない戦争もので手を付けにくかったが評判作なので勇気を持って読書開始。

     イリーナの下で狙撃兵として育てられる。物語の構成として、重要な要素なのであり次第に彼女を受け入れて行くというのがおおすじなのだろうが、セラフィマがイリーナを恨むのがよく分からない。確かにシビアなキャラではあるが、そもそもイリーナがいなかったらセラフィマは殺されて話は3ページぐらいで終わってる。むしろ感謝すべきか。

     射撃兵として厳しい教育を受け、戦争の前衛に駆り出されていく。味方の死だけでなく自分が殺した相手兵など様々なドラマがあり、セラフィマの成長も観ることができる。過酷な時代を生きた少女の人生と総括してもよいだろうし、これだけの時代背景も合わせて表現する作者の力量には感心しかない。

     ただ、僕には荷が重たかった。戦争映画同様、話についていく以前に、人が人を殺し合う場面が描かれるだけでもうやめたくなった。ついでに、現在でもウクライナや中東の状況から目を逸らしていることになんだか罪悪感まで感じてしまい気持ちも落ち着かない。
     もう一ついえばセラフィマの正義感に寄り添いすぎな感もあり、やや理解も追いつかなかった。最後の狙撃兵らしからぬ無敵の活躍はおいとくとしても、100人近くを狙撃した同志少女の最後の標的は味方であり幼馴染であった。勿論、戦争犯罪は許されるものではなく、こんなことを言うといろいろと怒られそうではあるが、撃たれた彼もまた戦争の犠牲者の一人であったとも思えて仕方ない。
     いろいろと考えさせられる物語であったが、戦争ものはもういいかな。やっぱり読むのも苦しい。オリガのキャラが一番好きだった。

  • 戦争がなければ戦わなかった敵。でも戦争がなければ出会わなかった友もいる。
    目をそむけたくなるような描写が多く、一気読みとまではいかなかったが、とても素晴らしい物語だった。

    世界史を勉強しておけば、もっと面白かったのかなと思う。

    「戦争から学んだのは、敵を撃つ技術でも究極の真理でも、拷問の耐え方でも、敵との駆け引きでもない。命の意味だった」この言葉が印象的だった。

  • 492ページの紙の本で読みました。
    もっと早く読みたかったのですが、表紙の少女の目が辛すぎて手に取れませんでした。
    でも、やっぱり……
    読んでよかったあああ

    戦争
    この地球上からなくなっていなければならないのに
    たくさんの残酷な歴史を経てきたのに
    人類はどうしてこうも愚かなのでしょうか?

    女性狙撃兵セラフィマと仲間、そして教官の果てしない戦闘。
    辛すぎるシーンに時折本を閉じ、深呼吸をしました。

    ラスト「戦争は女の顔をしていない」に収束するところ、圧巻でした。

    作者のデビュー作とは!
    驚愕です。
    アガサ・クリスティー賞、本屋大賞受賞おめでとうございます。
    次作も楽しみです

    ≪ 真の敵 研ぎ澄まされて 銃口を ≫

  • 独ソ戦争について、殆ど知識がなかったので、
    読み進めるのに時間がかかったが、
    戦争とは何か考えさせられ、
    歴史を知る上でも最後まで読んで良かった。

    何故、ソ連は女性兵士を戦闘に投入するのか、
    何度となくその問いが投げかけられる。

    兵力不足、社会主義体制、男女平等
    民族性。色々考えられるが、
    第二次世界大戦時の他国をみても
    志願して戦った女性狙撃兵達は特別だ。

    母親の復讐から狙撃兵になったセラフィマ。
    セラフィマの大義は、女性を守ること。
    戦争に大義、アイデンティティは
    必要かもしれないが、戦争の理不尽さ、
    残虐性から、戦争に正義はない。
    あるのは、命の意味だったと
    最後に語るセラフィマの言葉が胸に残る。

  • 面白かった、けどもっと当時のソビエトのリアルな空気感みたいなのを期待していた。主人公が西欧米的お利口さん思想で、現代人受けを狙ってるなぁという印象。いや現代(日本)人の読み物なんだからそれはそれでいいんだけど....ポリコレに配慮した結果なのかなぁと思っている。

    スナイパーを題材にした本を読んだことがなかったのて興味深かった&ベタかもしれないけど要素盛々のドラマが良かった!ので星よっつにしました。

  • 同志少女よ、『敵』撃て
    題名の『敵』について視点を考察しながら拝読した。
     戦争中にアイデンティティーを保つ為には『敵』の存在が必要である。
     その『敵』の対象は個人の復讐、国家体制、戦争犯罪である。それには葛藤を抱えながらアイデンティティーを保たなくてはならない。
     狙撃小隊でママと呼ばれる事になったヤーナのシーンでは、戦争で失った家族愛を互いに慰め合い、またそれにより生と死が隣りあわせである小隊の絆もより深まった。

     戦争とは言えゲームの様に殺戮スコアを喜び怪物化していく主人公セラフィマを看護官ターニャが殴る。
     ターニャの固い信念がセラフィマを黙らせる。
    セラフィマの大義は女性を守ることである事を思い出させ、『敵』を履き違えるなと言わないばかりに。
     カチューシャの唄を歌いながら、ドイツ人女性を暴行している同志を撃つシーンは涙が止まらなかった。
    (同志の存在はネタバレになるので伏せます。)

    セラフィマが戦後に生きる希望を見出した時に、
    『私の戦争も終わる』
    教官イリーナの言葉が反芻している。

    機会があれば、【戦争は女の顔をしていない】を拝読し当事者の葛藤を考察したい。   

  • 戦争でたくさんの人生が捻じ曲げられてしまう。
    そして戦後は何も残らない。
    米原万里さんのオリガ・モリゾウナの反語法を併せて読むと当時の異常で過酷な情勢がより感じられるかも。
    今のロシア情勢はこの、前時代に戻ってしまってるのかもしれない。
    せめて国民の意識は現代のままであって欲しい。

  • 「大祖国戦争」とソ連、そしてロシアが呼ぶ、所謂第二次世界大戦の、若い女性兵士が最前線に立つというソ連赤軍独特の歴史をシリアスに描く名作。

    後半の印象的な台詞、
    「もう戦争は終わる。そしたら、平和の時代は終わらないさ。世界中が戦争の恐ろしさをいやってほど知ったんだもの。きっと世界は、今よりよくなるよ」
    があまりにも皮肉に響く。
    人類は歴史から何も学ぶことができないのか。

    今まさに読むべき一冊。

  • 第二次大戦、ソ連に侵攻したナチスに皆殺しにされた村の生き残り、セラフィマは狙撃手となって戦場を渡り歩き、ついに自分がなぜ戦うのかに気づく。

    昨年出版されて話題となっているこの本、スナイパーものが好きな僕としては楽しく読めました。早川書房ということもあって、どちらかというと最初から少しラノベっぽい、いわゆる型にはまったお話、という印象がしていましたし、まあ最後までそんな感じで雑に言えば上出来なエンタメ、という路線ではありますが、そこに入り込んでくるスラヴ周辺の入り組んだ民族感情をすくい取ってわかりやすく表現しているのがとても勉強になりました。今だからこそ、でしょうが、興味深い部分です。
    さて、ウクライナ戦争の最中に読んでいる、ということもあって、虐殺や戦場の描写というのは非常に堪えるものがあります。そしてナチスとソ連の関係がもうまさに逆転しているところも、ひどく皮肉で寓話的に感じたりします。作者の逢瀬さんは、のちのインタビューで、まさかこんな戦争が起きるとは思いもしなかったと心を痛めてましたが、今の戦争に至る大祖国戦争の一端を割としっかりと捉えた小説になっていて、そこが評価のポイントなんだろうな、と思います。
    ということで、ソ連の女性狙撃兵といえば映画「スターリングラード」とか「ロシアン・スナイパー」あたりと一緒にお楽しみください。
    小説も最後の方になってくると、ああ、これはもしかしたら「戦争は女の顔をしていない」のオマージュ的な意味も(ちょっと強めに)入っているのかな、と思ったらそのままスヴェトラーナが出てきたり、伝説のスナイパーであるリュドミラ・パブリシェンコは終始重要な役割を演じたりと、ジェンダー的な視点を意識させながら、なかなか楽しませてくれます。特にリューダの人物造形なんかは(自伝が出てることもありますが)「ロシアンスナイパー」とよく解釈が合っていて感心しました。戦争は敵味方区別なく人を狂気に陥れる、というメッセージも、ステレオタイプながらしっかり抑えられていたと思います。
    ただ、まあ、ストーリーの大筋とラストについては、なんだこれは。と思うところがないでもありませんでした(そのあたりは意図的だったのでしょうが)。

  • 史実を元にした時代小説、それも緻密に作り込まれたエンタメである。

    「伏線」のジグソーパズルのピースを主人公が戦場に立つ前に配置し、終盤に説明しすぎなくらい丁寧に噛み砕きながらすべてを回収した。
    ミステリー小説でお馴染みのこのパターン。連続事件が起きる間は情報が膨らみ続け、最後の事件から名探偵が散らばった事件を整理し「真実はこうだった」というゴールに向かって収束させていくアレだ。
    本作でもパズルのピースをひとつ残らずピタリとはめて狙撃手たちの物語を一枚の絵にして完結してみせた。

    無駄を省こうとする美意識からだろうけど、伏線と関係ない情報がなさ過ぎて回収までの先読みができてしまったが、本作が逢坂冬馬さんの「処女作」であることにただただ驚く。

    教官のイリーナが”ロシア女性がこの戦争を語るようになった時、私の戦争が終わる”と語るが、まんまアレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」じゃない!と思ったが、しっかりエピローグで同書にバトンを渡してた(同書で紹介されている女狙撃兵が着想の発端かもしれないね)。本書を読みながら僕はもう一冊、「独ソ戦」の巻末の年表も照らし合わせながら読んだ。この3冊を並べた人は多いと思う。
    https://booklog.jp/users/kuwataka/archives/1/4004317851

    戦場ではあらゆるコンテキストが削ぎ落とされ(どうでもよくなり)「戦うか、死ぬか」の二者択一が突きつけられる。どちらも地獄。人としての尊厳や国民意識といったハイコンテキストは、研ぎ澄まされた生存欲求の前にかき消されてしまう。生きるために重ねられた罪、自身への虐待。そして束の間に戦争以前の価値観が戦争以後の自分を揺さぶる。その揺らぎが”やや直線的”というか、個々人の価値観が揺らがなさ過ぎる(一貫性にこだわりすぎ?)と思った。そこが本書をエンタメ小説にしている。男性が描きがちな”理想の女性像”というか、隙がなさすぎて表紙のように”キャラの枠”がくっきり濃い。それは”生身の女性”とは異なるが、逢坂さんの次作はSFだそうで、ガンダムや銀河英雄伝説の類のSFジャンルの人物像だとこのくらいで十分な厚みとも言える。次回作も読んでみたくなった。

  • 泣けるしかっこいいし、主人公達が成長していくところはとてもよかった。数々の修羅場を乗り越え、絶望し、戦い抜く、最後まで練りに練られた話は、今年読んだ中で一番かも。戦争とはどんな人をも狂わせるもの。戦争が終わったからといって幼馴染と結婚してハッピーエンドなんてそんなに甘いものではない。一生背負って生きていかなくちゃいけない。
    今自分の身近で戦争がないのは幸せである一方、今世の中で起こっていることを考えると胸が痛む。
    この本を読んでロシアの見方は変わったが、ウクライナとかドイツとか自分がいかに知らないかを思い知らされた。

  • 第2次世界大戦での、ロシアを舞台にしたロシアとドイツの戦いを題材にした戦争小説です。
    戦争は、男の顔をしていると言いますが、主人公は女性達だけで作られた狙撃手の中隊のセラフィマという名の少女です。ロシアには、リュドミラ・パヴリチェンコという有名な名狙撃手が実在したので、モデルにされたのかもしれません。
    セラフィマは、ロシアの片田舎に生まれ育ちました。
    母親が猟師だったので、10歳から、射撃を習いました。
    母親をロシアの狙撃兵イェーガーに自分の目の前で殺され、村人もセラフィマ以外1人残さず殺されて焼き尽くされ、ドイツ兵に強姦される寸前にロシアの赤軍に助けらた。その後ロシアの狙撃手の、訓練所に入り、ドイツ兵とりわけ母親の仇イェーガーを自分の手で殺す事を目標にロシア各地を赤軍に随行、転戦する物語です。
    ストーリーの展開は無理がなくて面白いが、セフィマにとって都合の良いように話が展開していきます。人が死ぬ話は元来好きではないのですが、戦争では女性もものとして扱われ、ドイツ兵もロシア兵も女性を強姦し、捕虜も殺して焼き尽くし、至る所で戦争犯罪が行われる。敵味方、生死、命とは何かについて深く考えさせられました。

  • ロシアがウクライナに侵攻している今(2022年4月)こそ読むべき作品。
    僕たちは戦争を知らない。
    兵士は侵略地で殺す、奪う、破壊する、犯す、人間として許されない限りを尽くす。あり得ない。でもそれが前線の兵士のスタンダード。
    僕たちはそれを知らない。
    ウクライナの人たちはそれを知っている。だから銃を手に取って戦う。愛する家族がそういう被害を受けることを知っているから。

    作品自体について言えば、新人とは思えない圧倒的な筆致。アガサ・クリスティー賞で史上初の満点、本屋大賞受賞も納得の作品。

  • 2021.12本屋に市の図書館返却BOXがあり、図書館までの道中が面倒なため、よく利用していて、見つけた本。
    悲しいのは読中にウクライナ戦争が勃発。

    2022.6残り半分、早く読破して、終戦を迎えられるよう願掛けします。

    何とか、お盆までに読破完了。
    デビュー作としてはなかなかの完成度であるが、途中はテンポが悪い気がしたので
    ちょっと苦痛になったが、残り1/4から時間の進みが早く展開も早く良かった。
    登場人物を減らしたほうが良かったかもと思った。

    いずれにしろ、「戦争は女の顔をしていない」の小説版で、色々調べてよくでき
    ている。
    昔は戦争によって富を得たこともあったかもしれないが、グローバル社会となり
    戦争は失うことばかりで、誰も得をしない世界である。
    国境線の無い、小さい地球なのだから。
    日本は黒塗り文書再燃で、やっぱり残念過ぎる。

    そんなことを感じた2022年7月である。

  • 随分前に買ったけど、やっと読了。
    正直、なぜあれほど話題にあがり、評価されていたのか?
    ラノベだと思う。とても薄い。

    誤解されると困るけど、ラノベが嫌いなわけではない。ラノベの名作をラノベと呼んで評価を終えることはない。
    でも、これはラノベ、以上という感じ。
    文学ともエンタメとも言い得ない。葛藤のない物語に心が震えることはないし、葛藤の先を提示できない物語に心が掻き立てられることもない。

  • アニメっぽい表紙とかあらゆる方面からの大絶賛とかから予想していたよりずっと、なんというか、硬派で深い作品だった。もちろん、戦闘場面のアクションサスペンス的なおもしろさとか、兵士のリアルな感情がわかる気がする、とかもあったけど、それ以上にさまざまな新しい知識とか考えに触れることができた気がして、読んでよかった。

    実際にあった戦闘での作戦や経過、結末などが細かく書かれているところは、そういうものをあまり読んだことがなかったので、読みやすいとはいえなかったけれど、「戦記」ってこういう感じなのかもと新鮮というとなんだけど興味深かった。そもそも第二次世界大戦中の「独ソ戦」についてほとんど知らず、検索して、それが、史上最大規模の地上戦、最多の死者数を出した最も悲惨といわれる戦争、と知ったり。
    あと、ひとくちに兵士といっても、歩兵と狙撃兵では精神性に大きな違いがある、とかのエピソードも興味深かったし、ソ連という国についても、狙撃兵になった若い女性たちの出自から、ソ連とひとくちにいってもさまざままに歴史ある民族や地域が組み込まれた国なのだ、とあらためて思ったり。

    そして、ドイツ側でもソ連側でも、制圧した側が生き残った敵側の女性を凌辱する、戦時性犯罪についても考えさせられた。全体的に、戦闘よりもむしろ、「戦闘のあと」に興味を引かれたかも。戦時性犯罪も、戦闘のあとの問題だし。勝利して復讐を果たした狙撃兵は戦いが終わったあとはなにを目的にどう生きるのか?っていうことで、女性狙撃兵たちがそれぞれ戦後どうしたかっていうエピローグがよかった。
    この著者で、戦争のあとの話、戦争のトラウマとかそういう話をこの先もっと読みたいとか思った。

  •  戦争ものの話は、好きじゃない。
     読んでる途中も、気分が悪くなりつつ、それでも作品に引き込まれた。

     従軍看護師ターニャの行動、発言が最も心に響いた。本当に、誰もがターニャのような考えを持っていたらいいなと思う。でも、自分の行動を正当化しながら、周りに流されながら、悪事も悪事と思わず、私は生きている気がする。

  • 復讐するために生きてきたつもりだったけど、むしろ生かされていた。とセラフィマがハッとさせられるところが今作のハイライト。

    ラスト1/3に入ってからあっという間だったし、怒涛の展開だった。セラフィマ含めロシア軍側からの視点だから何とも言えないけど、WWⅡから今までソ連のやり方は変わってなくて。必要とあらば情報は操作するし、独善的だし。昨今のウクライナ情勢はいくらニュースに興味がない自分でも見てしまう内容だから否応もなくそういう視点でも読んでた。

    アメリカンスナイパーみた時も衝撃的だったけど、戦地から戻ってきてすぐ亡くなっちゃうんだよね。狙撃兵に求められることをセラフィマが聞いた時、愛する人を見つけるか、趣味を見つけるかと言われたのが印象的。何も残らないんだよな、戦争。

    最終的にはセラフィマもイリーナもママもシャルロッタもそれを見つけることができてよかった。

    自らに対して普遍的な信念を持っているか否か。

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著者プロフィール

逢坂冬馬(あいさか・とうま)
1985年生まれ。35歳。埼玉県在住。『同志少女よ、敵を撃て』にて第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。

逢坂冬馬の作品

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