ドライブ・マイ・カー インターナショナル版 [DVD]

監督 : 濱口竜介 
出演 : 西島秀俊  三浦透子  霧島れいか  パク・ユリム  ジン・デヨン  ソニア・ユアン  アン・フィテ  ペリー・ディゾン  安部聡子  岡田将生 
  • TCエンタテインメント
3.58
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4571519904838

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」を、
    「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督・脚本により映画化。
    良くも悪くも話題の映画作品。
    村上春樹の小説は以前に読んだことがある気がするが、すっかり忘れています(-。-;
    短編小説だから、こんなに長い作品になるはずがないと思うから、脚色された部分が生きているんでしょうね。

    映画『ドライブ・マイ・カー』はセリフが棒読みでつまらない!という感想も多いけど棒読みになってしまっているのではなく、あえての棒読み演出らしいです。
    解説によると、フランス人ジャン・ルノワール監督(1894〜1979)のイタリア式本読み(役者に棒読みで台本を読ませてから演技させることによる、演技性の排除)を採用していると濱口監督は語っており、
    今この瞬間だけでなく過去も含めたもっと大きな時間の枠組みで登場キャラクターを捉えられる利点も生まれ、そういった意味でも濱口監督の棒読みメソッドは効果が発揮されているとのこと。

    舞台の好きな人なら…チェーホフの『ワーニャ伯父さん』の融合した形に興味を持つのではないだろうか?ワーニャは家福、ソーニャは渡利の写し絵のように…舞台のラストシーンでは演じた韓国人女優の演技力の高さ、ソーニャの手話での演技が静かに胸を打った。 

    映画の内容は上手く説明出来ないけれど、
    偶然によって出会い、別れ、再会する人々のドラマが濃密な会話劇によって描かれ、本当の自分が顕になる、そしてその自分を逃げないで見つめることの重要性が描かれている。
    朗読劇のような音(家福の妻)の声が何だかまたいいのよ〜(´-`)

    長く淡々とした映画なんだけど、知らぬ間に観入って耳を傾けている。
    賛否両論はある好き嫌いに分かれる作品かもしれないけど、意外と危うい事件性も含みつつも、大きく揺さぶられる危機は感じず流れてゆくような作品に長い時間観て飽きたという感覚もなく…気がつけば、あっという間に観終わってしまった。
    最初は少し違和感あったものの、個人的には
    好きな作品だったと思う。
    しかし、もう一度観てみたい!という映画でもなかった。一度観れば十分。一度観ることもお薦めσ^_^;
     
    ところで、私事だが…自分自身は村上春樹の初期の作品など好きな作品も多いが…多分、
    主人は村上春樹の本については読んだことはないと思う。しかし、チェーホフの作品や舞台のことは詳しいらしく(私は何かの作品でかじっただけで、存在や内容は少し知っているくらい(・・;)
    「ワーニャ伯父さん、生きていきましょう。 
     長い長い日々を、
     長い夜を生き抜きましょう。 」のセリフの下りになった時は、映画作品の事よりも…
    チェーホフの原作、作品について、普段寡黙な人が語るわ、語るわ(´⊙ω⊙`)映画に集中出来ないくらいʕʘ‿ʘʔ 「チェーホフの、ここが、いいシーンなんだ!」「あ、そ、いいシーンでしょうよ…」
    シーッ!(-.-)
    映画の中の会話が聴こえないじゃん-_-b
    劇中の『ゴドーを待ちながら』(劇作家サミュエル・ベケットによる戯曲)短い場面にも、煩く反応!(◎_◎;)

    確かに確かに…チェーホフ『ワーニャ伯父さん』については、これをきっかけに原作を読んでみるのもお薦めです。

    • hiromida2さん
      どんちゃん、こんばんにゃ(=^x^=)
      コメントがタイムラグ?前後しちゃいました。

      どんちゃんは駄目〜な方でしたか(^。^)
      それも分かる...
      どんちゃん、こんばんにゃ(=^x^=)
      コメントがタイムラグ?前後しちゃいました。

      どんちゃんは駄目〜な方でしたか(^。^)
      それも分かる気がします!後半に期待させる感動も
      特に出てこないですからね(^◇^;)
      チェーホフは「かもめ」が有名ですが、演劇の世界かな。
      読み聞かせなどにはいい作品のような気がします。
      2022/11/01
    • 松子さん
      うぉっしゃぁー!
      どんちゃんペケでひろみ◯作品ねっ
      どんなんだろ?ふひひ、自分はどんなふうにに感じるんだろうと思うと楽しみだよっ( ´ ▽ ...
      うぉっしゃぁー!
      どんちゃんペケでひろみ◯作品ねっ
      どんなんだろ?ふひひ、自分はどんなふうにに感じるんだろうと思うと楽しみだよっ( ´ ▽ ` )

      チェーホフも舞台も村上春樹もぜんぜん分からないけど、
      もう、うししって笑っちゃうチェーホフの場面は一つ確定だからね♪ たのしみだよー!
      2022/11/01
    • hiromida2さん
      まっちゃん、まあまあ(^^;;笑笑
      期待せずに観て下され。
      チェーホフも村上春樹も知らなければ…
      はぁ?(・・?)何⁈ってなるかもですよ(^...
      まっちゃん、まあまあ(^^;;笑笑
      期待せずに観て下され。
      チェーホフも村上春樹も知らなければ…
      はぁ?(・・?)何⁈ってなるかもですよ(^^;;
      感動作品って感じでもないから…
      村上春樹好きな人なら好きかもって感じ。
      でも、是非、まっちゃんの感想聞きたいよ!
      楽しみ〜(^ν^)
      淡々として何もなかったように生活しているけれど…
      本当の自分に向き合っていく!ってことが
      鍵になる作品だって気がしましたよ❛ั◡❛ัෆ
      2022/11/01
  • 『ドライブ•マイ•カー』DVDにて鑑賞。
    すみません、ネタバレしてますm(_ _)m

    23年前に娘を亡くした夫婦。

    娘を亡くした後、妻、音(オト)は女優をやめ脚本家へ転身。
    音は夫や夫以外の男性と体を重ねる事で物語を紡いでいく。

    夫の悠介は、音の情事に気付きながらも、
    音を深く愛し、お互いの繋がりを信じ、裏切りに堪える。

    『今夜話があるの。』と音が悠介に告げたその夜、音は突然死んでしまう。

    愛する妻を亡くした悠介は俳優から舞台の世界へ。孤独や喪失感、憎悪、怒りを抱えながらも心に蓋をして生きていく。

    途中、映画を観ていて、「どうして悠介は音を責めないんだろ?」とすごく疑問に思った。その疑問は
    悠介が広島の演劇祭で、自分の心に向き合うきっかけとなる2人の人物に出会う事で解けた。

    同じ孤独を抱える、ドライバーの"みさき"。
    そして亡き妻、音を知る俳優"高槻"。

    悠介は自分の心に向き合い、本当の気持ちを見つけ一歩を踏み出す。

    穏やかな川の流れのように、物語りは進む。
    多国籍の俳優さんや穏やかな瀬戸内海、厳しい冬の北海道。少し青いベールをまとったような映像は主人公や登場人物の静かだけれど強い感情を伝えてくる。

    日本の映画なのにどこか外国を感じさせる雰囲気。
    3時間ゆったりと楽しむ事ができた。

    hiromida2さんのレビューがきっかけで観た映画。
    村上春樹もチェーホフもよく分からないけれど、
    ひろみの解説があったから楽しむ事ができた。
    きっとひろみのレビューを見ずにこの映画を観ていたら何を伝えたいか分からず途中寝落ちたと思う。
    この映画を楽しめたのは、ひろみのおかげだ。
    うん、間違いない!(^^)

    • 松子さん
      ひろみ、どんちゃん、おつかれさま〜(^^)

      ひろみ、月食ほんと綺麗だったねぇ(*´∇`*)
      田舎から送られてきた大量の柿を必死にむきむきし...
      ひろみ、どんちゃん、おつかれさま〜(^^)

      ひろみ、月食ほんと綺麗だったねぇ(*´∇`*)
      田舎から送られてきた大量の柿を必死にむきむきしながら合間に見てたよ〜♪
      三日月の形になっていくところが、わぁって感動したなぁ♪

      おぉ、どんちゃん見てなかったのね
      うん、次のチャンスまで待とう!
      次の機会が早く来るといいねぇ(^^)
      次の月食がわかったら見逃さないようにお知らせするわっ♪

      「色彩を持たない…」もメモしたっ
      「世界のおわり…」読んで好きだったら
      色彩にいこうかな…、っていつ読めるんだろう???
      いま十二国記の最後の山を登ってるっ
      ラストエピソードは4冊にわたってるの
      どんななるかなぁーたのしみっ(*´∇`*)
      2022/11/08
    • hiromida2さん
      おはよ〜(^。^)どんちゃん!
      「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
      まあまあ新しいと言ったけど(^^;;
      2013年頃の作品です ...
      おはよ〜(^。^)どんちゃん!
      「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
      まあまあ新しいと言ったけど(^^;;
      2013年頃の作品です 最新では決してない。
      最新本は知らないけど…まだ登録だけして読んでない
      「一人称単数」2020年頃?かな〜?
      次の皆既月食は2025年頃らしいですよ(笑)

      まっちゃん『騎士団…』レビュー見てくれてるじゃん(-。-;
      あれは…期待したのにつまらなかったですよ(゚o゚;;笑
      大量の柿剥き、剥きしながら…エッ!
      食べながらじゃないんだね、秋の味覚かイイね♡
      十二国記、ラストエピソードまで来たんだ!
      スゴイよ!読書の秋!読破頑張れ〜٩( ᐛ )و

      2022/11/09
    • 松子さん
      ふふ、昨日、ひろみの村上春樹さんのレビュー気になって見に行ったよ(^^)

      柿はね、田舎の母が送ってきたんだ
      今年は豊作だよって言ってたけど...
      ふふ、昨日、ひろみの村上春樹さんのレビュー気になって見に行ったよ(^^)

      柿はね、田舎の母が送ってきたんだ
      今年は豊作だよって言ってたけど、実家に柿の木あったかなぁ?って。ちょっと不思議に思いながら剥いてた。合間合間にお月様みながら♪

      十二国記早く読み進めたいのに、なんだかバタバタしていて。すこーしずつ読み進めてる。

      次の皆既月食は2025年!3年後かぁ
      教えてくれてありがとう(^^)
      その時は、前日か当日に、どんちゃんにお知らせしちゃおっ♪
      2022/11/09
  • アマプラで配信されてたので観ました!

    淡々と進んでいくんだけれど、性描写がやたらと艶かしくリアルな感じだったり、抑えられない暴力衝動だったりとかが絶妙に描かれていて
    村上春樹の世界観を見事に踏襲していると
    個人的には感じました。

    車自体もかっこいいし、車が走ってるシーンも
    すごく綺麗で印象的でした。

    北海道で西島さん演じる家福が抑えていた感情を
    吐き出すシーンはとても良かったです。

    あと、海辺で2人で煙草を吸ってるところを
    俯瞰で撮ってるシーンも個人的に好きでした。

    3時間とかなり長いですが、村上春樹好きでも
    そうじゃ無い映画好きなら充分楽しめると思います。

    「納屋を焼く」を映画化した「バーニング」も
    おすすめです♪(韓国映画)

    • naonaonao16gさん
      お、これアマプラで観れんですね~
      性描写楽しみです爆

      ナナメから観ないように気をつけます笑
      お、これアマプラで観れんですね~
      性描写楽しみです爆

      ナナメから観ないように気をつけます笑
      2022/10/14
    • sinsekaiさん
      naoさん いつもコメントありがとうございます

      ぜひ時間の余裕のある時にご覧になってみて下さい。
      3時間とかなりの長尺なので…
      原作はだい...
      naoさん いつもコメントありがとうございます

      ぜひ時間の余裕のある時にご覧になってみて下さい。
      3時間とかなりの長尺なので…
      原作はだいぶ前に読んでたのですが、映画を見終わった後にまた読んでみたいと思いました
      2022/10/14
  • 濱口竜介監督。村上春樹原作。西島秀俊主演。
    カンヌ国際映画祭脚本賞。アカデミー賞国際長編映画賞も受賞したらしい。

    が、正直あんまり面白くなかった。少なくとも濱口監督作品のなかではいちばん退屈。しかも3時間もある。なぜこれがカンヌとアカデミー賞で受賞したのかが不思議で仕方がない。

    導入の40分くらいでイヤな予感はしたのだが、それは最後まで続いた。
    何よりこの物語のどこまでも独りよがりなところが苦手。
    主人公の演出家・家福悠介(西島秀俊)の、妻の浮気とその死。ドライバーの渡利みさき(三浦透子)の、母による虐待、母にそなわった別の人格、地滑りによる事故、母殺し。踏んだり蹴ったり。

    お互いの重なる過去の辛い出来事がこの物語を駆動していき、そこへ家福の演出するアントン・チェーホフの『ワーニャ伯父さん』の舞台が重なってくる(この、ダイヴァーシティを意識しまくりの演出も見ていて辛かった)。
    このあたりで、もういいよ、と思った。

    そして2人は、お互いの深い傷を見出し、過去を告白し、それでもこの暗闇の中を生きていかねばならないのだと心を固めるのだ。

    あの、マスクをしたみさきの場面も泣きっ面に蜂だった。Covid-19の暗闇の時代を切り抜けていくための励ましにでもしたかったのかもしれないけど、ここでそんなメッセージ送ってどうするのだろう。この取ってつけたようなシーンは何はともあれ絶対に必要がない。

    石橋英子のエンドロールの音楽はけっこう好きだった。

  • 2021年公開。原作は読んだのですが記憶にあまりありません。ほぼ3時間の長尺。長さは感じません。独特の間合いやセリフに魅了されます。長編小説を2時間弱にまとめる作品が多い中、逆です。観終わった後、映画を見たと言うより小説を読んだような不思議な感覚が残ります。

  • 2022.2記
    (劇場公開時に別のSNSで投稿した感想を再掲)

    妄想言説、ドライブ・マイ・カー研究

    映画「ドライブ・マイ・カー」は「男はつらいよ」に似ている、少なくともある面において。
    というかなり無茶な感想を持っている。

    ドライブ、の主人公家福は俳優兼舞台演出家。寡黙ではあるが確固たるコミュニケーションのスタイルを持っている。だから最初はその指導に不満を持っていた俳優たちも彼の意図を理解していくし、ぶっきらぼうなドライバーのみさきも頑なな心がほどけていく。
    でも、そんな家福も最愛の妻とだけは大事な話ができていない。

    男はつらいよ、の寅さんも天性のコミュニケーションの使い手である。旅先でふらっとすれ違う人と心を通わせることができる。つらい立場におかれている人にごく自然に寄り添うことができる。しかし惚れた女性には本当に大事な一言がどうしても言えない。それを、本人は「男の美学」だと思っているが(そこが渡世人のつれえところよ)、実は傷つくことへの恐れという弱さでもある。

    第30作「花も嵐も寅次郎」で、寅は不器用な二枚目(沢田研二)の恋の指南役をつとめるのだが、彼のアドバイスは「言葉で言うな、目で言え」。
    そしてクライマックスでそれを実践して伝わらない沢田研二に、恋人役の田中裕子が「ちゃんと言って」と語りかけるのである。

    「ドライブ・マイ・カー」を含む村上春樹の連作短編の中に、「僕は傷つくべきときに正しく傷つかなかった」というセリフがあるが(これは映画にも使われていた)、これは傷つくことを恐れて伝えるべきを伝えなかった、そしてその結果何かが永遠に損なわれた、ということと私は解釈している。

    そういうとき、寅は黙って旅に出る。孤独ではあるが、救いがないわけではない。別れ際に妹のさくらがかけるほんのひと言、二言が、寅の心が旅先で緩やかに恢復していくことを示唆する。
    ドライブ・マイ・カーにおいても、旅や劇中劇を通じて家福やみさきが恢復されていく。

    うーむ、似ている。そうでもないか。

  • 原作を読んだはずが、全くリンクせずある意味新鮮に見ることができた。やはりラストは村上春樹らしい終わり方だった。

  • あの短い話を上手く膨らませたなと感心した。余計なものがくっつくと原作のイメージを損なう怖れがあるけど、本作は原作のテイストを活かしつつ面白く話を展開させている。

    原作と一番違うのは高槻のキャラだけど、あのキャラにしたことが効果を上げている。原作では共に俳優だったのを、主人公を演出家、妻を脚本家にしたことで高槻との三角関係に別の陰影が加わっている。

    そして何よりみさきの存在が良かった。苦しい人生を送って来た人ならではの、とっつき難さ、思慮深さが自然と滲み出ていた。

  • はじめの妻の語る物語とシチュエーションにすごく春樹的な気持ち悪さがあって(あんな話テレビドラマにはならないよ。深夜枠でも。タンポンやはいてたパンツを置いてくるって安手のエロを高尚なことのように語るのがいやだ。)、最初から見るのやめたくなったのだけど、最後まで見るとよくできた映画になっており、チェーホフを持ってきたのも含め(春樹の小説にもあるのかもしれないが)監督の手腕だと思う。
    主人公と妻はかっこよすぎの感じだったけど、岡田将生の軽薄で酷薄な感じ(「悪人」でもそうだった)がぴったりで、三浦透子の美人過ぎないが見ていると魅力を感じる顔も、演技しすぎないのもとても良かった。
    韓国人の女優さんが透明感のある自然な美しさだった。
    しかし耳が聞こえるのに手話しかできないってどういうことだろうな。緘黙症なのか。

    音楽が出しゃばり過ぎないのも良かった。

    ただ広島から北海道って車で行く距離じゃない。いくら若くてもその距離を眠らず運転するって、事故起こすよ。融雪剤は車を傷めるし、大事なサーブがボロボロになるだろう実際は。でもまあ物語にはなくてはならない象徴的な車なので、飛行機で飛んでレンタカーってわけにはいかないか。旅の過程で自分を回復するって話だし。

    コメリで長靴とベンチコートを買い、直売所で花を買ったんだよね。そういう抜かりのなさもちゃんと考えてるなと思った。そこまでするならどこかでスノータイヤにしたんだろうと思える場面があったらよかったかも。

    (春樹を悪く言っているようですが、本は読んでます。全部じゃないけど。)
    映画としては、悪くないと思った。

  • カンヌ受賞の話題作。村上春樹の短編集「女のいない男たち」中の、複数作の要素を組み合わせた作品。

    主人公は多言語演劇俳優兼演出家の家福。愛車のサーブ900に運転し、カセットテープで台本を暗記する習慣を持つ。
    脚本家の妻である音とは家福とのセックスの中で物語を作る習慣があった。仲睦まじい関係がありながら、実は音は不倫をしている。音から「帰ったら話がしたい」と言われた日の夜、車を走らせ深夜に帰宅した家福が見たものは急病で帰らぬ人となった音の姿。

    音の死から2年後、家福は広島の地でチェーホフの「ワーニャ伯父さん」の舞台を主催することに。
    舞台の準備の間、愛車の運転は専属のドライバー、みさきがつく。みさきは北海道生まれで唯一の肉親の母を事故で失い、あてもなく広島に流れついた。23歳と若く、無愛想だが、運転技術は一級品。家福の早逝した娘が生きていれば同い年。

    ワーニャ役の俳優・高槻はハンサムで直情的。過去に音の作品に出演、彼女に魅了されている。家福は高槻と音の関係を疑いつつも、彼との率直なやりとりから、音を失うことを恐れて話せなかったことを反芻する。
    そしてトラブルが起き、家福は「チェーホフに自分を差し出せなくなった」迷いの中、みさきの生まれた地・北海道へ向かう。

    道すがら家福とみさきは、互いの過去を打ち明けたのち、絶対にしなかった車内で煙草を吸う。オープンルーフから二人で煙草を天に向けるシーンはとても美しい。

    本作のプロットは「ワーニャ伯父さん」のストーリーと重ねられているのでしょうか。多言語演劇は初めて見ましたが、複数の言語が入り乱れながら話が進んでいくのは、人間の多面性のメタファーでしょうか。ユンスの妻、ユナの韓国手話で演じられるソーニャのメッセージはとても強い。
    喪失の物語であり、人と人とは多面的に向き合い、すれ違い、傷つく。
    映像も音響も美しく、入り込めたので3時間という時間も気にならなかった。ロードムービーとしても素敵な作品でした。静かな時間に、見たい映画です。

  • 日本/2021年/濱口竜介監督/西島秀俊出演

    この端正な感じは村上春樹のタッチをうまく出してると思う。これなら村上春樹も文句ないのでは。

    妻が不倫をしているが、そのことを動じる様子もない夫や演劇のオーディションからの描写やちょっと不自然な運転手との展開など大きな動きはないのだが、長時間をあきせずに見せる。むしろこの緩いテンポがクセになる。

    印象的なのは車が走っているシーンを執拗に入れることだ。音楽は使われておらず車のエンジン音が流れるシーンがとても多い。そのことで独特なリズムを持つ。これは映画館で見るともっと感じることでないだろうか。

    舞台の「ゴトーを待ちながら」のストーリーをうまく現実と符号させ、この劇のラストのセリフがピタッと主人公の再生と重なる。これを手話で演じるというアイデアが素晴らしい。



    ソーニャ「仕方ないわ。生きていかなくちゃ…。長い長い昼と夜をどこまでも生きていきましょう。そしていつかその時が来たら、おとなしく死んでいきましょう。あちらの世界に行ったら、苦しかったこと、泣いたこと、つらかったことを神様に申し上げましょう。そうしたら神様はわたしたちを憐れんで下さって、その時こそ明るく、美しい暮らしができるんだわ。そしてわたしたち、ほっと一息つけるのよ。わたし、信じてるの。ワーニャおじさん、泣いてるのね。でももう少しよ。わたしたち一息つけるんだわ…」

  • セックスしながら奇妙な物語を聞かせる冒頭エピソードに面食らいますが、中盤でしっかり謎解きがあり安心。とっつきにくそうな映画かと警戒したのですが、思ったより分かりやすく、見やすい映画でした。

    この映画描いているには「コミュニケーションの困難さ」なにかな。家族が言葉を尽くして会話しても、伝わらないことがある。そもそも自分の気持ちだって心の奥底に隠している。そういうもどかしさに苛々する人たちのドラマだと思います。

    でも、それだけを語っているのであれば凡庸。この映画が抜きん出た作品となったのは、多言語演劇というメタファーが秀逸だったところです。

    映画全編にわたって繰り広げられた多言語演劇では、相手の言葉がわからないこと前提に置いて、対話しなければいけないという試練が俳優を課せられる。そこから何かが生まれるのかを私たちは固唾を飲んで見守ることになります。分かりやすいカタルシスが生まれるわけではありませんが、貴重映画体験でした。

  • 村上春樹氏の原作は、2014年に読了済。
    なんとも言えない虚無感や孤独感、どこにもぶつけようのない怒りや悲しみややるせなさや絶望感、そんな空気や世界観を忠実に再現できていたと思う。

    大きな怒りや哀しみに直面した時、すぐさまその怒りや哀しみを誰かにぶつけることができる人(前者)と、そうでない人(後者)といる。

    前者は、岡田将生演じる高槻のように、後先考えずに、自分の感情の赴くままに、人妻と寝たり、未成年と寝て事務所をクビになったり、盗撮する記者を殴り殺したり、衝動のままに生きて、その結果、誰かに迷惑をかけたり、取り返しのつかないことになったとしても、自分の行動に対して全く後悔することなく、感情をちゃんと消化して生きていける人間。

    後者は、西島秀俊演じる家福のような人間。
    我が子を4歳で亡くしても、愛する妻の不貞を目撃してしまっても、緑内障でいずれは車の運転ができるなくなると宣言されても、とても大事にしている愛車の事故も、くも膜下で愛する妻を永遠に亡くしてしまっても。

    怒り、哀しみ、やるせなさ、自責の念、絶望感・・・。それらの感情に蓋をして押し殺して、まるで棒読みセリフのように、感情をそこに介入させないように鈍らせて麻痺させる。

    家福も、音も、専属ドライバーのみさきも、ずっとそうやって生きてきた。
    感情的になることで、もっと悪いこと、取り返しのつかないことが起きるのではないかと恐れて、常に感情を押し殺し、そうやって最悪の事態を避けて生きてきた人間。

    でも、蔑ろにしてきた自分の感情たちは、消化されることなく、行き場所を失ったまま、ずっと燻ったまま、永遠に自分の中にずっしりと蓄積されていく。
    どこかでちゃんと吐き出さないと、自分を保てなくなる。

    我が子を喪った音は、いろんな男性と寝て、家福を裏切ることで、なんとか日常を保っていた。

    家福は暗い過去を持つ専属ドライバーみさきと四国から北海道までドライブし、過ぎ去る過去の景色や時間、お互いの永遠に行き場所を失ってしまった怒りと哀しみを共有することで、感情を取り戻し、生きる苦しみから少しずつ解放されていく。
    感情とちゃんと向き合うことで、自分らしさを取り戻していく。

    前者後者、どちらの生き方がいい悪いではなく、その時その時の、怒りや悲しみを蔑ろにせずに、しっかり感じ切る。
    泣いて、叫んで、暴れてもいいから、ちゃんと自分の中で起きた感情をしっかり感じ切ること。
    それを後回しにすると、ずっと、ずっと、ついてくる。
    この世を生き抜くためには、喜怒哀楽をひとつひとつ味わって、ちゃんと消化していかなくてならない。

    私も昔から、自分を守るために、現実逃避するように、感情に蓋をして、まるで無かったことのようにして、生きてしまうくせがある。
    こういう生き方は、年月が経てば経つほど苦しくなってくる。

    そういう人間が、こういった映画を観ると、人に理解できないような、複雑な怒りや苦しみや哀しみを共有できたような気がして、心が救われる。
    村上春樹氏の著書はすべて性と生がテーマであり、そうやって救われながら、私は今までも生き抜いてきた。
    そういった意味でも、村上春樹ワールドの集大成で、とても素晴らしい作品だったと思う。

    話は変わって、私の主人はこの作品を観て、退屈で何がなんだかさっぱり理解できなかったのだそう。
    私の主人は感情の赴くままに、その場で喜怒哀楽をぶつけることができる人。感情をすぐに発散消化できる人。
    だから、私は主人を選んだ。
    ふたりともが、ややこしい生き方してたら、共倒れしてしまう。
    どちらがいい、悪いのではなくて、どんな形であれ、自分の中に生まれた感情とちゃんと向き合って、それらと上手に折り合いをつけて生きていくしかないのだと思う。

  • 映画館で観ないとわたしは遊んでしまう。

    アカデミー賞って聞くといい作品に違いない。
    いい作品なんだろう。
    よくないとは言わないけど、わたしは丁度真ん中くらい。

    車をすごく愛している。走る時間も。
    朝晩、セリフの棒読みと会話する。 
    相手は死んだ妻。
    妻への疑念、消化しきれない気持ち、
    深く愛していた記憶‥
    忘れられない、忘れたくないんだろう。
    自身への戒めに感じて辛かった。

    絵になるシーンがちょこちょこあるけど、
    ルーフから出た2本のタバコは
    狙ってんなぁと思った。

    多言語劇は意外と違和感なく入れた。
    気持ちって母国語以外だと、ちょっと無理ある。
    いちばん伝わってくる。 
    想いって、言語だけじゃないんだね。
    最後の手話は、泣きそうになったわ。
    しゃあない、そんなもんか。生きるしかないか。
    って思った。自分へのメッセージに聞こえた。

  • 3時間の長尺だがまったく飽きさせない、繊細で手の込んだストーリーテリングの妙に唸る。登場人物たちがそれぞれに語る複数の物語が、入子状になりながら絡まり合って『ワーニャ伯父さん』に抱きとめられていく。舞台演出と同様、俳優たちの演技はときに不自然で棒読みのように見えながら、「物語に自分を差し出して」驚くべき瞬間をもたらす。とりわけ韓国手話で演じる女性の存在感。わかりやすい物語ばかりが好まれるこの時代にこういう映画作家がいるというのはうれしいことだ。ラストシーンも、彼らのその後を想像する楽しみをくれる。

  • 1回目。ほぼ寝ちゃって全く記憶がない。
    2回目。ちょっと深めのエピソードまで寝ずにたどり着く。、でも全体に眠い。
    3回目。ん?結構面白い、かも?

    村上春樹は、筋に盛り上がりを作らず、でも全体として人間の内面の複雑さを描くような印象的な小話が時にはひとつ、時には複数、一見脈絡のない形で織り込まれている作り。文章の醸し出す情緒とか、風景描写やくどいほど生活感が無いことを説明する生活空間の描写とか、文章と自分のイマジネーションで小話と小話の間を埋めながら話を読み進める感じ。
    やっぱり村上春樹は映像より小説、なのかな。

    今回の小話
    ・妻の相談を早く帰宅して聞いていればくも膜下で倒れた妻が助かった可能性があったかも。妻の話を聞きたくなかった理由に、妻が隠れて仕事仲間の男性と寝ていたことを見て見ぬふりをしていたから。
    ・妻の夜伽話(八目鰻女)を間男の方が知っていた(この小話自体が村上春樹。語り口は平板だけど、特に転結のところが衝撃的。妻は夜の営みが激しいほど高い創作性が発揮される様子。)
    ・ドライバーは学生時代に地滑りの中で母を見殺しにした。母は二重人格だった。14歳の人格はドライバーの唯一の友人だった。

    それにしても、主人公。よくよく考えると、ドライバーの家が地滑りで崩れた北海道の現場にわざわざ赴き、ドライバーの喪失感を生々しく感じることで、自分の妻に対する喪失感を薄める、なんてちょっとどうかしてる。

    最後の韓国のシーンは、主人公が妻の声が聞けるカセットテープを使える車を卒業したこと、そしてドライバーが車が故障して依頼、広島で心も立ち往生していたところから解き放たれた、という意味かしら?

    個人的には、敦賀から車を乗せて北海道に行くフェリーのシーンであった雑魚寝のピンクのフロア。
    学生時代の北海道旅行を懐かしむ。
    寝相が悪い私は他人に迷惑をかけないように友人二人に挟まれて寝たっけ。

    星3つと考えてたけど、これだけ色々書いた時点でかなり楽しんだのに気づく。星4つ。
    もう3回も見ちゃったし(正確にはそのうち2回はほぼ寝てたけど)10年後ぐらいであればまた見返す、かもね。

    補記
    劇中劇のチェーホフ、読んでたらもっと深い理解ができたのかも。
    感じたのは、セリフが主人公や死んだ奥さんの心情を映し出している、そして声を出して再体験することで悲しみや悩みを深めている、ということ。
    10年後はチェーホフを読みながらもう一度映画を見よう。

  • 原作を読む前に観た。なかなか。
    原作の前にワーニャ叔父さんを読まないと

  • 何か結論があるような映画ではないだろうと思って見始めたがまぁ予想通りだった。
    理解出来ないほど抽象的で意味の分からない映画の可能性も見る前には考えたけどエピソードの一つ一つにちゃんと意味があり最後まで飽きることはない。
    奥さんが死んだことに何か意味があったのか、この物語に登場する人たちに共通する「身近な人の死」をテーマとすることに必要だったこと以外の意味は分からない。
    奥さんの話す「前世が八目鰻の女子高生」にまつわる死が1番興味深かったのだが。

    ラストのワンシーンは色々なことの意味が唐突すぎて全く分からない。(結婚して韓国で暮らしてるんだろうけど、何故?)

  • 淡々としていて、セリフの一つ一つがあぁ、村上春樹だなと思わせるものばかり。(個人的に村上春樹は苦手な作家の1人です)
    一緒に観た夫はつまらないと言っていたけど、そこまでつまらないとは思わなかった。淡々としている映画にも良さはもちろんあるしね。でも長かったかなぁ…三浦透子さんの演技がとても良かったです

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』がフィルメックスに出品、東日本大震災の被災者へのインタヴューからなる『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(共同監督:酒井耕)、四時間を越える長編『親密さ』、染谷将太を主演に迎えた『不気味なものの肌に触れる』を監督するなど、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。

「2015年 『カメラの前で演じること』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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