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感想・レビュー・書評
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「だが、情熱はある」にハマって若林正恭さんのことをもっと知りたくなり、読みました。
以前読んだ「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」も再読。
実は同じタイミングで、ハマっていた朝井リョウさんの本も購入したんだけど、この「ナナメの夕暮れ」の解説がなんと朝井リョウさん…!!
こんな偶然もあるのかと、なんだか鳥肌が立つほど感動。
自分の好きな作家さんの2人がまさか繋がっていて、それも解説を読む限りけっこうな親密度合だそうで、勝手に一方的に好きだったのが、一つの輪になったような気がして嬉しい気持ちに。
内容の感想とはズレてしまったけど、そんな感動を裏切らない、かなり熱い作品だった。
心の内の、誰しもが墓場まで持っていきたいようなイタイ思い出や見られたくない内面、挫折やがむしゃらな体験や闇や光が素直かつとても赤裸々で、読みながら色んな感情が目まぐるしく交差する感覚を味わった。
若林さんは、こんなコンプレックスは僕にしか持ってないと思っていたけれど、きっと誰しもが共感しうるしそれさえも心の中にしまい込んでる人が多いんだと思う。
Instagramのような、人生のハイライトばかりを写し出す媒体が多い時代に、若林さんの赤裸々すぎる本たちは個人的にめちゃくちゃ魅力的だったし、ますます好きになった。
最近MCなどもしている若林さんを見ると、この作品を書いた頃とは恐らくずいぶん変わってお子さんもいらっしゃって。
過去とは違う現在の心の内や変化を綴ったエッセイがまたいつか読みたいなぁと密かに心待ちにしています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芸人さんのエッセイという事で、軽い気持ちで読んだのですが、とんでもない。言葉選びや文章力も素晴らしいのだが、色々葛藤してきた若林さんの包容力に心が落ち着きました。ちょっと生き辛さを抱える人に程よく寄り添ってくれるような感じ。すごく笑えるものでもないけれど、とても心地よいです。成功者の自己啓発本よりも、ずっと身近でスッと心に入ってきます。こんなおじさんになりたいなぁ。若林さんが好きになった本でした。
以下、良かったものを抜粋。
ぼくは紅茶を飲みたいか?
自分の気持ちを素直に言えるようになるための第一歩は自分に自信を持つ事ではなく、自分が臆病である事を認める事である。そしてそれを大いに笑って(受け止めて)もらう事である。
ナナメの殺し方
他人の目を気にする人は心の中で他人をバカにしまくっているクソ野郎なのだ。他人の価値下げによる自己肯定は楽だから癖になる。
それを抜け出すのは、肯定ノートをつくる。自意識過剰のせいで自分が本当に楽しいと思うことに気づいていない。好きな事を書き込む。自分が我を忘れて楽しめる事が増えていった。好きな事があれば世界を好きになれる。
そして自分が好きな事が見つかったら、次はノートに他人を肯定する文言を書く。
世界の見え方は思い込みだ。肝心なのはどう思い込むか。だ。
生きづらさの原因のほとんどが他人の否定的な視線への恐怖だった。それを殺すにはまず自分が、他人への否定的な視線を辞めるしかない。 -
自分が感じてきた『生きづらさ』を、こんなに分かりやすく言語化できるなんて、すごいなぁと感動した。
でもそれは、若林さんがこれまで感じてきた葛藤に対してきちんと向き合い、考え、行動にうつしていった努力の結果なんだなぁと。
あとがきで
「子どもの頃から、違う星にやって来て違う星の風習を外からずっと眺めているような気がすることが多かった」とあり、
最近読んだ朝井リョウさんの『正欲』での、印象的な言葉とリンクしたような気がしました。
(そして『ナナメの夕暮れ』の解説も朝井リョウさん…!!)
『自分の正解』と、『ナナメの殺し方』がお気に入り。
人生の先輩の話を聴いているような感覚で、いろんな言葉がするすると心の中に入ってくる本でした。 -
今までずっとどこかに抱えていた生きづらさが言語化されて突き刺さった
言語化されることでなんだか安心できた
自分の生きづらさを救ってあげられるのは自分だなとも思った
ナナメの夕暮れを自分事として読めるような、「合う」人に会うために、生きていきたい -
前作から読んでいると人格の変遷と言うのがよくわかります。
挫折や無力感を味わってこそ人に優しくなれるのだと。
それでも心の奥底には「へっ!」と言う気分が潜んでいるもので。
次は老荘の頃の若様を拝読したいものです。 -
まえがきに、「生き辛いという想いを抱えていて、息をひそめて生きている人はもしよければお付き合いください。毎日が楽しくて充実しているという人は、今すぐこの本を元の位置に戻して、引き続き人生を楽しんでください。」とあり、自分はどちらに近いかを考えた。幸い生き辛さは感じていないが、毎日が楽しく充実していると胸を張って言えるほどでもない。とりあえず、読んでみることに。
「えー、こんな風に感じるの?やっぱり若林さんは面倒くさい人かも・・・」という思いが強くなり、最初の3分の1ほど読んだところで、読むのをやめてしまった。
源さんの抱えているものが陽な暗さ(変な表現だけど)だとすれば、若林さんのものは、陰の暗さ。でもだからこそ、今のような人気者になっているんだろう。きっと共感する人も多く、本に、笑いに救われている人が多いのだろう -
時々正論を言って反省することがある。正論はネットで調べれば出てくるし、何よりも面白くない。
物事を正面で捉える実直な人と、物事を斜めから見る捻くれた人がいる。あくまでも後者で居続けたい。 -
よくオードリーのラジオを聞いており、聞いたことある話が多くてすっと内容が入ってきた。
はたから見ると若林さんはとても才能に満ち溢れた人物に見えるが、自問自答する姿や、周りに合わせる姿が共感しやすい場面もあるが、ここまで気にするのかと神経質な面も見えて驚いた。
個人的には芸能人のぶっとんだ価値観を求めていたが、こんな内容もたまには良いかと思う。ただ、期待していたのとはちょっと違ったので☆3つ。 -
どうしてだか、胸が熱くなるような一行がたくさんあった。朝井さんの解説にもあるように、わかりやすいコンセプトらしいコンセプトがある一冊ではないのだけれど、それは誠実なことなのかもしれない。著者の本は前作2冊とも読んでいるのだけど、ゴルフを肯定している話を読んで、私も世界を肯定したくなった。
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若林先生の生き様
随所に出てくる秀逸な言葉選びは、常に何かしらに疑問を持って自分の意見を大切にしてきたんだなと思う。
読み進めて思うのは、生きづらさを感じた時に自分の教養がどれだけ自分を救ってくれるのかということ。
人は生きづらさを感じた時に、何が不快で何に要因があるのかを考えた時、環境のせいにしたり自分のせいにしたりすることが一般的ではないだろうか。
そうではなくて、筆者は自分の教養をベースにその状況をどうしたら打開できるかを考えているように思った。
自己啓発本とはまた違う新鮮な本だった。