シナプス [Kindle]

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  • ・「木村さんがウンコしているあいだに、俺が全部撮り終えたんで。帰りますよ。」
    ・不倫が商売になっていて、給料が出るくらいには、世間はこういうことに関心があって、スキャンダルが売れる。沿って単純に、資本主義経済の構造ですから。
    ・「君の病んでるところが好き。」
    ・27歳アイドル。彼女は自分に好意を寄せる男を少しだけ利用とした。そのたった一瞬を、週刊誌に撮られてしまったことは、果たして罪なのか。
    ・人前に出る商売をしている以上、何事も『バレたら負け』
    ・これまでは、週刊誌という存在自体が、“悪”なのだと信じて疑わなかった。だからこそ、自分の仕事に情が芽生えずに済んだのだ。

    ・「コンマ五秒。  その女性が自分より可愛いか、可愛くないか判断してしまう。  そんな自分が情けない。  その判断は、自分よりブス。  ブスなトレンチコートの女。  ブスなトレンチコートの女と、一緒にいるのは先生。  私は、地球上の全重力が降ってきた感覚に襲われて、しばらく動けなかった。」

    ・「迷った挙げ句、私はツイッターで「しいたけ占い」を開く。いま、誰かに背中を押してほしくてたまらなかった。  ふたご座の欄に、「自分の気持ちに素直になって良いんですよ」という優しい一文を見つける。  私は、すがるように都合の良い部分をつまみ食いして、背中を押してもらうことにした。」

    ・目の前のチンコのついたおじさんは、ただポカンとしながらその言葉を聞いていた。

    ・「立ち上がり扉を開こうとした時、急に背後が熱くなりローズの香りがした。  その瞬間、焼けるように甘美な痛みが脳内の神経に走った。  初めて編集者として先生に出会った日は、たしか朝から晴れていた。」

    ・「彼は激しく腰を動かす。粘膜がこすれるだけの、ただの運動。無機質に恋人に消費されることを、今夜も許してしまった。そこには何も残らないのに。」

    ・五百円のハッピーセットを注文するのに、五百円の手数料を払う人間の顔を想像する。

    ・「もう二十歳のババアなんで。そう言うこと言うのやめてくださいよ~」

    ・「一度目は抱かない」と言う選択も、彼の計算には含まれていたのだろう。しかし、そのすべての駆け引きが、もうどうでも良かった。私の敗北は決定したのだから。

    ・私は、「コドモ」と「コストコ」という汚れのない言葉を聞いて早々と観念した。

    ・リカは時々、B級映画の吹き替えみたいな台詞を平気で吐く。
    ・「うわぁ。これからは、もうアイツのこと『歩くペニス』って呼ぶことにするわ。」
     「『歩くペニス』か・・・・・。でも、好き。」

    ・この女性は、“正義の匂い”がする人だと思った。
    ・第二子について探りを入れてしまう自分を殴りたい。

    ・この年齢で道ならぬ恋をし、その男に愛想を尽かされ始め、妻のまばゆさに敗北を感じ、会社のトイレで妊娠をチェックしている。

    ・俊太郎は、私がこのアイコンを見ても傷つかないと思っているのか、もしくは確信犯か。

    ・すると彼は、この期に及んで「子供ってやっぱり可愛いよなぁ」と、いけしゃあしゃあと言った。まるで、いつでも自分は正義の人間に戻れるから、と宣言するかのように。

    ・「まず、朝起きると俊太郎の顔が浮かぶ。あの男とセックスがしたい。以上。  それが叶わないなら、せめてこの持て余した性欲を健全に処理したい。  思い切ってベッドの上でスマホを握り、「女性 風俗」と検索する。出張ホスト、レンタル彼氏……、聞いたことのある単語が並ぶ。 「俊太郎の代替品」として考えるなら、もはや誰でも良い気がした。しかし、彼以外の男性と行為に及ぶ自分を、いまいち想像することができない。」

    ・人通りの多い場所でお金をいただくと、闇取引感があるので

    ・「私達はソファで横並びになると、二人揃って、シャコシャコと歯を磨く。  シャコシャコシャコ……。滑稽な音が室内に響く。 「メイプルさん、セックスはいつぶり? それとも初めて?」  彼女は、私の心にストンと入るトーンで聞いてくる。 「約二ヵ月ぶり」 「OK。今回はなんで利用してくれようと思ったのか、聞いていい?」  シャコシャコシャコ。 「うん。えっと……」  視界がぎゅっと歪む。私は泣かないように注意深く堪えた。」

    ・「これはあくまで私の予想だけど、哀しいことがあったんだ。それで今日は予約してくれたのかな?」 「うん……。そう」  ナオは「そっか、そっか」と言い、涙で詰まる私の背中を優しく撫でてくれる。 「ありがとう。そんな時に私を頼ってくれて」

    ・「「では、いってらっしゃい。楽しんでね」  まるで、遊園地のアトラクションが始まる直前のような台詞だった。  スッと彼女はひとつ深く呼吸すると、頭から私をそっと押し倒す。  私の両脚が優しく開かれ、その中心を優しく彼女の舌が這った。  ピチャピチャと、部屋中にいやらしい音が響く。」

    ・「一連の流れがピアノの即興演奏のように軽やかで、自由で、繊細だった。彼女の指の角度が、私のなかで鋭角になったとき、私は叫んだ。」

    ・「応援しないし、軽蔑する。だけど友達だから見守る」

    ・「あの頃の私は、俊太郎の左手薬指を見るのが憂鬱で仕方なかった。でも、今は違う。  俊太郎。  あの夜、私を抱いてくれて、ありがとう。  今、私の胸のなかにいるあなたの妻を、私はきっと今夜、癒やしてあげる。」

    ・えこひいきも実力のうち

    ・「分かってくれる人が分かってくれればいい。じゃあ私、行きますね。」

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著者プロフィール

1989年、千葉県生まれ。2005年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)で女優デビュー。数々のドラマ・映画に出演後、2010年、秋元康氏プロデュースSDN48として活動。その後、作家に転身。本書はウェブ記事が話題を呼び、書籍化したもの。新聞やテレビにも取り上げられ、多くの反響を得た。著書に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』『シナプス』。

「2022年 『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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