かか (河出文庫) [Kindle]

  • 河出書房新社 (2022年4月26日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 作者の推し燃ゆは、すごく良かったのだが、くるまの娘と、こちらの作品は自分には合わなかった。前編方言で書かれ、全然違うが、おらおらでひとりいぐもや、あくていを思い出す。暗いのが嫌いと言うわけではないが暗すぎるかなぁ。表現力は相変わらず素晴らしいし、若い作者ならではの今の言葉、文学の生モノは確かにここにあった。あくまで合う合わないの問題。これからも作者の新作は追い続けたい。

  • 「推し、燃ゆ」を読んだことがあったので、手に取ってみた。

    かか
    三十一日  の二編。

    表題作は独特の言葉遣いで、最初は取っ付きにくく感じた。
    その言葉遣いが、感性とか表現の鋭さのようなものに繋がっているかのよう。

    思わずハッとした一文
    「沈黙はおりるのではなく、背中から追い付いてくるんです。」

    全体的にやるせないような切ないような気持ちになる本だった。

  • 夫の不倫から精神バランスを崩した「かか」と、
    19歳のうーちゃん。「かか」が子宮摘出の手術をで入院する前日、
    うーちゃんは「かか」を妊娠するためにかみさまに会いに行く。

    浴槽にゆらぐ金魚のこと、かみさまに会うのに生理がはじまったこと、
    かかの子宮摘出。ちいさな子供と母親。

    母親がすべてでかみさまのように無防備に信じる幼児の存在は
    かつてのうーちゃんとかかの関係性を思い起こさせ、苦しめる。
    無機質な顔も知らない、SNSの友人たちが、かたりかける優しいことば
    生きた言葉はアカウントを消せば、つながりさえも断たれる。
    弟へ語りかけるうーちゃんの言葉は、SNSで飾る文字と違い、
    生々しい。生臭くても、家族とのつながりやそれに伴う感情は
    簡単には断ち切ることなんてできない。

  • 血は嘘をつけない。なんでこんな人のもとに生まれてしまったんだろうと思いながら、血液レベルでその人のことを、歪んだ形であれ愛してしまう。へその緒で繋がれていた血は体を巡り生理となり新しい命になって巡っていく。
    憎すぎるかかをもう一度うんであげたい、という一見意味のわからない序盤の言葉は、読み進めるにつれてうーちゃんの最大限の愛だと言うことがわかってくる。
    表面だけの姿を見せるSNSでは明らかに“標準語”であるところを見ると、このカカ弁がうーちゃんにとってはとっさに出てしまう本当の自分の言葉なんだろうなって思ったしそれほどカカとは切っても切り離せない関係なんだろうなって思った。

  • 主人公が話す言葉が何弁か分からなくて読みづらかった。
    大阪弁かなと思ったらちょっと変やし、最後まで謎だった。それがこの本の醍醐味なのかもしれない。

  • 愛情と憎みとか家族や性別についての葛藤だったりとか心にくる対比だったり描写があったけど、自分はこの本を若いうちに読めて間違いなく良かったと思う。

  • 「推し、燃ゆ」で有名かと思いますが、
    この人のものはこれが初めて。

    思ったよりもナラティブを意識した書きぶりで
    それがフォークロアでありながらも現代的であるようにして書き上げていて
    こんなに腕力のあるタイプの書き手だとは思わなかった。

    一人称の語り手として弟である「おまい」に語りかけるうーちゃんこと私。
    家族だけでしか使わないような言葉と、
    SNS上で飛び交う言葉、
    親戚の付き合いで発する言葉、
    そのどれもがほんとうでありながら切実さにはグラデーションがあって
    それでも尚、どれもほんとうのままであり、そのためにうーちゃんは熊野詣をする。
    だってこんなに八方塞がりでは神仏に祈るしかない。

    祈りは届くかどうか、そうなる前に話を終わらせてしまうのも
    いずれのほんとうも受け入れざるをえない諦念と覚悟を感じさせる。
    その力強さが女性性を強く打ち出していながらも
    人と人の摩擦から生じる熱の普遍性の方に目を向かせている。

    解説も町田康でなるほど、好きそうな感じである。



    >>
    おそらく誰にもあるでしょう、つけられた傷を何度も自分でなぞることでより深く傷つけてしまい、自分ではもうどうにものがれ難い溝をつくってしまうということが、そいしてその溝に針を落としてひきずりだされる一つの音楽を繰り返し聴いては自分のために泣いているということが。(p.40)
    <<

    宇佐見はこの声をよく聴いた。
    それはそのまま、ひとりのために泣いているひとがひとりではないことを示す行為でもある。

  •  順番にと思って、デビュー作の表題作を読んだのだけど、何これ! 19歳でこんな文章・物語を書ける人ってすごいなあ。ただただ感嘆と思ったら町田康が同じ感想を書いてた。。。「そらおそろしいどころではない、もはや怪物級」。→でも町田さんの解説には注意。「かか」のストーリーと読みどころがほぼ全部書いてある!! 解説から読む人はこの文庫注意です。私も解説から読む人種なんだけど、今回は助かった。。。(最近の解説は「以下、ネタバレ」という前置きをおいてくれたりするから自己判断できるけど、この解説はそれもない。町田さん、ギケイキ面白いけど、これはねー)。純文を読む人で未読という方には絶対おすすめ。

  • 不遇の「かか」=母親に対する娘・うーちゃんの心理描写が鋭く、哀切でたまらない気持ちになる。

    主体であるうーちゃんから「おまい」に宛てた三人称の語りは、「かか弁」と敬体をベースにした生温かい文体、現代的な感覚を宿した言葉選びによって独自のものになっており、固有の淋しさを表現しきっている。母と娘という関係性の中には普遍的な感覚も見出せるようで、でもその思いはある種激情的でありながら、どこかぬるさや平凡さを滲ませているのがすごく上手いと思った。描出されるうーちゃんの心はがんじがらめだけれど、伸びやかさもあって読者が寄り添う余地が担保されているし、視覚的要素を丁寧に積み上げることで情景を立ち上げ、登場人物の配置と細やかな描写によってテーマと情感が的確に打ち出すに至ってるのは、宇佐美りんがすごい小説家だからと思う。

    かかのはっきょう、その原因と思しき子宮の手術と、うーちゃんが熊野に行くというストーリーの重ね方、ふたつの物語の軸の行き来の仕方も巧みで、読んでいるとずぶずぶと深みにはまっていくような心地よさ、ズキズキとした痛みの両方が押し寄せてくる。

    うーちゃんの那智参詣曼荼羅のパートに入るまでは、じっくりとするする淡々としたリズムで描写を積み上げていって本当にかっこよくて素晴らしかった。

    でも終盤、うーちゃんのかかを産むという願いと曼荼羅、SNSでのかかの死の偽装、かかの子宮摘出手術が噛み合いそうで噛み合わない、言いたいことがわかるようでわからなかった。勢いで最後突っ走った結果だったのか、私にはわからなかった意図があったのか。

    それはもしかすると、かかとととが結ばれてうーちゃんが生まれた、のではなく、うーちゃんがかかとととを結びつけ、かかの尋常でない状況の原因となった、という逆転した考えの帰結、あるいは信仰の信仰たる超越性みたいなものと解釈しうるのか、と町田康の解説を読んで思った。

    SNSアカウントを消すことに意味があったのか、うーちゃんのくるっていく感覚を描写してたのか、かつてかみさまだったかかをいなくなってしまったこと、うーちゃんとみっくんを産んだ母の子宮が失われたこと、うーちゃんのセックスへの忌避感、千手観音への欲情、これらが繋がりを見出せそうなのに、描写の比重がうーちゃん自身に起こっていることに偏った結果からか、最後の最後で締め急いだ感じがあり、個人の感想で大変勝手と承知しながら、それはもったいないくて少し悔しいほどだった。でも素晴らしかった。

  • めちゃくちゃ良い小説だ。
    あまりに身体感覚が鋭敏すぎて、描写のキレがすごい。ちょっとした細部でその人の人となりや、関係性が立ち上がる。
    叔母のの告別式で、かかにムヒを塗ってもらうけど、ムヒは痒いところとは違う場所に塗られる。その時、ムヒを塗ってくれる人がいなくなったのだという卑近にすぎる実感によって明子への共感が可能になる。子供には母親が死ぬことは想像できないが、ムヒを塗ってくれる人がいないことは想像できる。そして、痒いままになった虫刺されはそのまま痛みへ変わっていく。

    言い出したらキリがないな。明子の彼氏で1番嫌だったやまけんくんが家に来た時のスリッパも、電車で席を譲ってしまったあかぼうの憎たらしいあくびも、電車でかかの隣には誰も座りたがらないからかかを端の席にして隣に自分が座ることも、一緒に住んでいる人みんなで食べたやきそばも、SNSのタイムラインの動きも、全部すごいと思った。


  • 2年くらい前に読んだ。娘と母の関係性について、娘視点から語られていて境遇が近いので共感できるポイントがたくさんあった。お風呂に浮かぶ経血のことを、金魚って表現していたところが印象に残っている。
    最後、私が母を産み直すみたいな気持ち、感覚的に分かるなぁと思ってその時好きな1冊になった。

  • 2025.02.07
    Audibleにて読了

    独特な語り口調だけどそこはAudibleがいい仕事してくれました!これは聴いて読むとよい作品な気がする!

    なんというか、ずっとしんどかった

    かかという人物と一緒に過ごすことが
    それ自体が苦しいと思った
    私も似た苦しさを感じたことがある気がした
    母娘ならではの感情なのか
    あの距離が近くて、詰まる感じ

    それが悪いというよりは
    仕方ないものだと思うけど
    物語としてみるとリアルに思い出されて
    なんとも言えないしんどさ。

    よかったです

  • 寂しさ(愛されたさ)と憎しさを同じくらいの熱量で持てて、行動に移せる若さがあるとこんななのかな、と思った。ニセ方言も、「おまい」が誰かも、私はあまり気にならなかったので凄く好きな本です。

    以下、少しネタバレ。



    「神様がいたらこんなに寂しいはずがない」
    が、この話の根っこかなと思いました。
    主人公の嬉しさや悲しさよりも、己の不幸を優先する憎くてでも大好きな母親(神様)。でも彼女に素直に愛されていたらこんなに寂しいはずがない。
    父親を憎むのはわかるけど、「おまい」こと高一の弟に向ける言葉の端々に、男性全体へのうっすらとした憎しみを感じました。大好きな母を傷つけなければ母と私は出会えないなんて間違ってる、とかも。

    SNSの使い方が凄く上手い!主人公がポツポツ悲しみを吐き出すと、同い年くらいの若い子や年上のクールであまり関わらないフォロワーは慰めてくれるのに、そこそこの年齢の女性がずっと同じことで更なる不幸マウントを取ってくるのがリアルで!!
    でもそのSNS上で苦手と思った人がやる「イヤなこと」って、主人公がでっかい感情を向けてる母親が同じことしてるんだよね。悲しい。
    あと注目されたくて嘘をついてしまうのも、ある意味羨ましいくらいの若さだなぁと思いました。

    感情とかその時の狭い世界の描写が主なのに、胸焼けしつつも勢いで読ませてくる若さ、私は好きです。

  • 母親の存在と母親の精神安定は重要だなあと思いつつも私も生理前は荒れ荒れだし、2人の子供に翻弄されつつあるので、なんとなく反面教師として呼んでしまって、ちょっと嫌悪感も芽生えてしまった。うさみさんの本、なんか変わってるよなぁ。とても内面的な文、というか。

  • 「かか」、語り口調?文体?ではじまり、そのまま続いていくため、最初とっつきにくさもあるが、次第にのめり込んでしまう、うーちゃんさんの母親信仰からの脱却にまつわる家族間のお話(?)。
    「三十一日」、飼い犬との出会いから別れを描くお話(?)
    の2編。

    母親との関係、家族との関係から旅に出るというロードムービー的な。SNS文化なども関係したりして、古風でもあり、現代的でもあり、そんな雰囲気があり。

  • 生々しく痛みを感じる。
    過去、家族、性別、様々な縛りに息苦しさ以上のものを感じた。

  • なぜ娘という生き物は、これほどまでに母に執着するのだろうか。

    よくマザコン男などと言われるが、マザーコンプレックスを抱いているのは、実は息子よりも圧倒的に娘の方が多いと思う。
    「母親を産み育て直したい」なんて発想はその究極だろう。

    女というものは、最も身近にいる女を最も愛し憎んでしまう生き物なのだ。
    それが、母であっても娘であっても。

    母と娘の終わることのない、産むと産まれるの普遍の連鎖。
    ニワトリが先か、タマゴが先か。

    スタートもゴールもないこの『マミートラック』を走り続ける私達の喘ぎ声を、本作品は代弁してくれたのではないだろうか。

  • 著者の大ヒット作「推し、燃ゆ」に続いて読みました。
    最新作も出てるみたいだから買わないと。

    「かか」、このタイトルと表紙絵、
    そして「推し、燃ゆ」から何を想像して読みはじめたか。
    きっとこの女の子の大切な「かか」が
    失われるか何かして、それがとても辛いのだろう。
    それくらいの想像をして読みはじめ、
    その想像が100倍以上重くのしかかってきたような、
    そして、後半についていた短編の読後には、
    150倍、町田康さんの解説を読んで300倍
    辛くなるような心持ちになった。

    この作者は、19歳の時にこの小説を書いたという、
    まさにとんでもねえ奴だ。
    そんな口調になってしまうくらい。

    主人公のうーちゃんの一人称で語られる全編。
    語り手はつねに弟の「おまい」に向かって話している。
    その言葉の独特の言い回し、独自の言葉、
    それらがうーちゃんのリアルな感情を
    痛いほどに読み手に伝えてくる。

    彼女の生まれた環境は、子が育つには
    あまり適していない環境だったんだろう。
    子が話し、見て、触って覚えていく感覚が、
    通常とは違うものだったのだろう。

    そんな気がしながら次第に分かってくる
    彼女の考えにドン引きし、理解し難いと思いながら、
    物語は終わってしまった。

    うーちゃんが主人公の本編の後について短編。
    同じ小説として隣り合っている意味を私なりに想像すると
    この短編も本編も同じ悲しみを表現しているのかなと。
    ただ、それぞれの語り手が、その悲しみを
    理解するまでに要する時間や思考の整理に、
    ページ数の違いがあるのかなと。
    そう思うと、うーちゃんがまた可愛そうに思えてくる。

    宇佐美りんの次の小説も読まねば。

  • 『推し、燃ゆ』を読んで以来、気になっていた作家さん。
    今回は(おそらく)境界性パーソナリティ障害を抱える母親と、自他境界線が曖昧で母を憎みながらも愛し続ける娘の話。タイトルの"かか"とは母のことを指している。

    冒頭から方言めいた語りと、年齢に見合わない幼い言葉遣いに面食らった。だが話の概要が見えてくると、この口調も納得できる。クセのある言葉遣いは主人公の母が多用しており、自他境界が曖昧な主人公が母親を受け入れ、染まった結果なのだろう。

    両親に愛されず、夫に捨てられ、自分のことしか考えられず「愛されたい」と泣きわめく母親。
    母を愛し愛されたいが、叶わぬ苛立ちと理不尽な仕打ちに苦しむ娘。
    負の連鎖だな、と感じた。

    幼い語りの合間にときおり紛れ込む描写はぞっとするほど美しく、またこの重いテーマを書き切ったのは見事だと思う。だが『推し、燃ゆ』と同様に著者がこの作品で何を訴えたいかは読み取れなかったため★3としてある。

  • 【動機】
    ・前回読んだ「推し、燃ゆ」が面白かったので、他の作品も読んでみようと思って

    【感想】
    ・作品を読めた感じがしなかった。
    ・自分は、知らないことが多いと思った。こういう家庭で生きることや、女性として生きることのリアルが全然分かっていないんだなと思った。
    ・どちらかというと、弟に感情移入した。弟の描写は少ない(いうよりも自分の読解力がない)ため、どういう人物なのか、なぜあのような行動をとっているのか分からない。ただ、状況は全く違うけれども、かつての自分と少しだけ重なっているように勝手に見えて感情移入した。家を出た母、暴れ回る姉。冷めた目で母と姉を見ていたことを思い出した。

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著者プロフィール

1999年生まれ。2019年、『かか』で文藝賞を受賞しデビュー。同作は史上最年少で三島由紀夫賞受賞。第二作『推し、燃ゆ』は21年1月、芥川賞を受賞。同作は現在、世界14か国/地域で翻訳が決定している。

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