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感想・レビュー・書評
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タイトルからは結構固そうな印象を受けるが、だいぶゆるい本だった(「はじめに」で真っ先に断りが入る)。中国語の文法や発音などの特徴を諸外国語との比較で示す、みたいな真面目な口調では全然ない。どちらかというと中国語を学習するうえで躓きがちポイントにはどういう事情があるのかを説明しつつ、ついでに大幅に脱線して著者のエピソードトークが挟まれるような、半分エッセイみたいな内容。というか背表紙の本書説明に「おもしろ語学エッセイ」って書いてあったわ。
そんなわけで皮肉交じりの面白トークを聴いている感覚で楽しく読むことができた。途中で脱線する内容も語学と全然関係ないのに短くまとまっていて面白い。なんで著者の中国ゲテモノ料理体験記とか、キューバ旅行記とかが入ってくるのかよくわからないが。なのにそれが読んでいて楽しい。不思議だ。
本題の中国語の不思議さの説明に関しては、後半第六章以降からが良かった。特に第八章、第九章のメインテーマである「流水文」(句点ではなく読点で文をつなぎ、結果異常に長い一文となる中国語文章)は、確かに不思議だ。孫引きになるが、流水文の命名者である呂叔湘は「(中国語では)一つの節に次の節が続くが、多くのところではそこで終わりにしてもいいし、続けてもいい」のだというし、それこそが著者が求めていた中国語の特徴だという。あまりにも変すぎて面白すぎる。
うろ覚えだが、日本語文章は、句読点を使用するという規則が定まったのが近世に入ってからで、それまではほとんど使用されていなかったとかそういう話を読んだ記憶があるのを思い出した。じゃあ日本語の場合はどうなって今の規則になったのだろう。本書を読んだことで中国語文章の不思議さを楽しめたのと同時に、日本語文章の不思議さはどこにあるのか、に興味がわいてきた。何か良い本はあるかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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