エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [DVD]

監督 : ダニエルズ 
出演 : ミシェル・ヨー  キー・ホイ・クァン 
  • ギャガ (2023年9月6日発売)
3.19
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本棚登録 : 105
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4589921416504

感想・レビュー・書評

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  • アカデミー賞主要部門をあらかた受賞したと聞くと、えっとなる作品。
    でも面白かったな〜。
    鑑賞後に『スイス・アーミー・マン』の監督だと知って、そうか、奴だったのか、と納得した。
    『スイス・アーミー・マン』は無人島に漂着した男がその島で見つけた死体のおならの力で脱出を試みるという、変な映画で、私の偏愛映画だった。
    『エブエブ』も根底に流れるものが似ているような気がしてしまう。
    短歌を読むとどの歌人がなんとなく分かるように。
    『エブエブ』は、新しく、そして普遍的な家族映画なのかもしれない。
    あと、香港映画への愛とリスペクトがいっぱい。
    ミシェル・ヨー姐さんの勇姿が見られたのも良かった。

  • アカデミー賞総なめとは思えない、へんてこカルト映画!観る前にあらすじを読んでもよくわからないなと思っていたけど、観た後でもあらすじの説明をできる気がしない。
    突拍子もないサブカルギャグ漫画のような展開に、なぜか目が話せなかった。AI動画のような見たことない奇妙な映像は、すごく示唆的なようでもあり、ナンセンスジョークでしかないようでもある。
    最終的に、人に優しくしよう、みんないろんな思いを抱えてるけど、家族一緒にいようというメッセージに集結するのはよかった。結局人間は、どこでも誰でも、そのシンプルな結論に辿り着く。

  • コインランドリーを舞台にしたSF物語。マルチバースもので、ころころと舞台が変わる。キャラクターも姿を変える。
    なんとアカデミー賞で7部門を受賞したという。

    。。。が、私は残念ながら最後まで楽しめなかった。
    久しぶりにミシェル・ヨーの演技を観れたのはよかったのだけど。

    7部門受賞したというのは、きっと何か強い文脈があるはずで、むしろその文脈を知りたい。本作は決しておせじにも面白い映画ではない。

    それにしても、最近の映画はやたらと長くなったというのはほんとうだ。チャプターごとにタイトルがつく始末。

    この傾向はやめたほうがいいと思う。30分くらい観てつまらないと、ほんとうにうんざりしてくる。
    つまらなくても、90分くらいにおさまっている映画のほうがよほど良い。

  • ラジオでたびたび名前を聞いたり、絶賛の評論を聞いたり、していた。
    結構期待して鑑賞。
    実際面白かったし、映画史の中でも意義深い映画だと思った。
    が、微妙にに個人的な好みとは言い切れず。
    というのも、コメディも、アクションも、カンフーも、嫌いなわけではないが、やや遠ざけているジャンル。
    馬鹿な行為をすることでバースジャンプできるという設定って、うーん。
    もし、あらかじめ「たまむすび」にて町山智浩の推薦に対して赤江珠緒さんが、
    >そうね。そして、ちょっとバカなことをしなきゃスイッチが入らないというのもなんか、ちょっと自分の枠を壊せ、みたいなね。
    と言うのを聞いて、頷いていなければ、全然乗れなかったと思う。
    なるほど日常や常識から少し離れるって、稲垣足穂のいう薄板界(余所見)とか、萩原朔太郎が「猫町」で描いたものに、通ずる。
    でもそれがケツにトロフィーをブッ刺すという行動とは。
    呆れ……たといいたくはないが、やっぱり微妙に乗り切れない自分もいる。
    あるいは、エブエブを発見したという祭りに乗り切れなかった寂しさか?

    また、個人的な嗜好として、マルチバースとか多元宇宙とかを作中ギミックの中核に据えた作品が、あんまり好きじゃない、ということなのかもしれない。
    人生の別の可能性があったかも……というのは判るし、むしろ村上春樹のしかつめらしい態度に共感するのはほぼその一点においてのみというくらいなのだが、ハッキリとマルチバースを歌い上げる映画って、えー何でもありじゃん……と少し醒めてしまう。
    「シン・エヴァンゲリオン」も「グリッドマンユニバース」も「スパイダーマン:スパイダーバース」も、それぞれの文脈で大好きなのに、頭の先から爪先まで自分のための映画だとは思えないのは、作中でマルチバースとか多元宇宙とか言うから何でもありじゃんとがっかりしてしまう部分があったからだ。
    本作は、ギミックのためのギミックではなく、母エヴリンと娘ジョイにおいてマルチバースを意識することの意味が、筋に有機的に関わっている。
    よくできている。
    のにもかかわらず醒めてしまう、というのは、もう自分がマルチバース嫌いというか飽きてしまったということなのかもしれない。
    むしろ生の一回性(穂村弘「短歌の友人」)に目を向けたいフェーズに、今自分がいるため、なのかもしれない。
    あるいは、監督ダニエルズも言及しているという、湯浅正明「マインド・ゲーム」にホロリときてしまったということを思い出して整理してみれば、マルチバースマルチバースと流行に乗ったり明言したりせず、こっそりとマルチバースを扱っている手つきに、マルチバースを感じたい、ということなのかもしれない。
    マルチバースもの最高峰の作品でも乗り切れなかったので、そんな自分がいるという知見を得たのを収穫と見做して、ちょっと時間を置いてみたい。

    石のシーンは大好き。
    実は百合という、指がソーセージという世界線、面白い。
    足でピアノも。
    いってみれば娘が自殺未遂……ニヒリズムに呑み込まれそうなのを、引き留める親という。
    もちろん中二病に浸されそうな娘を、あらかじめ家族の絆で未然に防ぐ、というのではなく、娘の決意を尊重していったん手を離したけれども、でも自分の気持ちとしてはあなたと一緒にいたいんだと言う……最終的には闘いではなく対話(溜めていた悪口の言い合い)、というのも、いい。
    あれ、思い出せば思い出すほど、よく思えてきたぞ。
    壮大な戦いが繰り広げているけど、なーんだ結局家族の問題じゃんガッカリー、という「スター・ウォーズ」に対して、
    うわー宇宙巻き込んで壮大になったのに、結局家族の問題じゃんスゲー、という逆ベクトル、のように思えてきた。
    結局いろいろ思ったが楽しめたということである。

  • エヴリン(ミシェル・ヨー)は、経営するコインランドリーが破産寸前、ボケているのに頑固な父親ゴンゴン(ジェームズ・ホン)、いつまでたっても反抗期の娘ジョイ(ステファニー・スー)、優しいだけで頼りにならない夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)と、盛りだくさんのトラブルを抱え、まさに人生どん底状態。
    さらに税金申告の締め切りが迫りテンパりモードな彼女の前に突如、「別の宇宙(ユニバース)から来た」と名乗る夫が現れる。
    大混乱するエヴリンに「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚愕の使命を背負わせる。
    そんな「別の宇宙の夫」に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(多元宇宙、並行世界)にジャンプした彼女は、カンフーの達人の“別の宇宙のエヴリン”の力を得て闘いに挑むが、娘のジョイが巨悪の正体と知り……。
    製作・配給スタジオ「A24」史上初、全世界興収1億ドルを突破したアクション・エンターテイメント。
    家族の問題とコインランドリーの経営に悩むフツーのおばさんが新たなヒーローとなり、マルチバース(多元宇宙)と連結、カンフーを駆使して全人類を救う物語。
    主人公のエヴリンには「グリーン・デスティニー」「シャン・チー/テン・リングスの伝説」のミシェル・ヨー。夫のウェイモンドには、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」「グーニーズ」で天才子役として名を馳せ、20年ぶりにハリウッドに復帰したキー・ホイ・クァン。それぞれ、第80回ゴールデン・グロープ賞(ミュージカル/コメディ)で主演女優賞、助演男優賞を受賞。第95回アカデミー賞にて作品賞を含む最多10部門11ノミネート。

    近頃、マルチバースが絡んだ映画が、流行っている。アメコミ映画や邦画などでマルチバースが絡んだ映画が、相次いで公開されたけど、この作品はかなり難解でカオスなのでついていくのが大変かもしれないけど、ダイバーシティなど多様性が叫ばれる最近ならではの万華鏡か曼荼羅のような映画に仕上がっている。
    とはいえ、ただのおばさんに過ぎないエヴリンが、マルチバースの自分にジャンプしその自分の特技を使って戦うジョイと戦うため、カンフーの達人の自分にジャンプし即席カンフーマスターになって戦うカンフーアクションは「マトリックス」、独身時代のエヴリンとウェイモンドの大人のラブロマンスのシーンは「花様年華」、「レミーのおいしいレストラン」「2001年宇宙の旅」などのオマージュやマルチバースの自分にジャンプするために変なことをするなどコミカルな要素も散りばめられ、マルチバースを曼荼羅のように仏教などの哲学的な解釈する世界線の中で、「全ては空で全である」という思想を突き詰めたエヴリンとジョイの親子の葛藤やエヴリンとウェイモンドの破綻寸前の夫婦仲の決着の付け方が、多様性を突き詰めた世界観とその果てと先を見せてくれる破天荒な内容が、単なるマルチバースSFサスペンス映画以上に楽しめる。

  • ☆4.5

    「なんでもどこでもいっぺんに」

    私の感想を一言にすると『自分が変われば世界が変わる』。

    映画のテーマや感じは「ガーディアンズオブギャラクシー」を思い出す。
    あの作品も笑って泣ける。
    ファミリー愛や多様性をテーマに組み込んであるなと感じる。

    最初は周りに不満ばかりで自分自身の選択もこれで良かったと思えなかったエブリンが、
    夫の優しさに自分とは違う戦い方や護り方を知り、気付き、自分も変わろうと思い行動したところから世界は変わる。
    エブリンはエブリンなりに剣には剣で戦っていたんだと思う。
    夫の声に耳を傾けることで、剣を持つ相手を抱きしめてもいいんだと思えるようになる。

    娘の孤独さや虚しさは人間誰もが抱えているものだと思う。
    ナウシカの虚無的な。
    岩のシーンでの会話は本当に頷ける内容で、そういう気持ちを抱えた自分へのアンサーみたいなものがその後に描かれていく。
    「そういう思いを抱えたままでもいいじゃない」と言ってくれてる気がする。
    誰をも批難せず、受け入れること。

    岩のシーンやアニメーション、人形のシーン、娘の芸術的なファッション。
    この監督さんは多くのものに影響を受けてきたんだろうなと感じた。
    全体的に発想がすごく好き。

    夫の吹き替えが水島裕さんなのが激アツ。

  • アカデミー賞の報道であらすじは読んで知っていたが、実際に見るのは大違い。メタバース的なプロットなのだが特撮表現は抑え気味。かわりに俳優達のメイク・衣装・演技でキャラが別人格になっていく。主人公エベリンにとっての父・夫・娘それぞれとの物語を紡ぎつつ、脇役たちそれぞれの人生の断片も垣間見させる映像構成。複雑なプロットだけどセリフでは無く、目まぐるしく変わる場面(多元宇宙)の連続で話が構成されていく。
    チャイ語と英語のチャンポンのセリフ回しも最高。

  • 見終わってから知ったけど「スイス・アーミー・マン」の監督なのね。なら納得。多くの賞をとったということでお馬鹿映画のふりをした大作映画かと思ったら、家族愛だとか同性愛だとか多人種とかVFXとかハリウッド映画らしいアイテムをたくさん詰め込んだお馬鹿映画でした。ハマれないとちょっとツラいぐらいの長さがあるので、期待して真剣に見るよりも気楽に見た方がいいです。

  • 「うまくいかない中にも必ず良いことがある。
    そう思って乗り越える」
    弱いなりの戦い方がある。
    弱いからこそ戦えることがある。
    テーマがとてもシンプルで見やすかった。

    くだらないことをすると時空間ジャンプができる。
    クッキーを持っていったり、丁寧に事情を説明すると書類に提出期限を延ばしてもらえる。
    ギョロ目を付けると何でも面白く見える。
    全部全部本質的ではないけど、必要不可欠だと思う、私は。
    そして、そう思える世界の方が豊かだと思う。

  • こんなはずはないと見続けたが堪えきれず離脱
    少しジュネのデリカテッセンの映像観を想起
    漫画で並行世界ものに触れてるものには物足りなかったのではないか

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