- Amazon.co.jp ・電子書籍 (255ページ)
感想・レビュー・書評
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図書館に無し
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「創造性について」という書籍にはビジネス書に近いものや、脳神経科学からそれを見つめるものが散見されるように思うが
本著は門外漢の生物学者が、そのバックグラウンドを活かしつつ芸術とは何かを掘り下げるというもので良くも悪くも想定外だった。
軸とする「天然表現」という概念については、他の著作で取り上げているようなのでいずれ手に取ってみようと思うが、
「芸術とはなにか」をメタ視点で創造性の観念に繰り上げた上で、それを消化する為にさらにメタな視点が述べられているような感覚で、(一般人が知るような著名な作品よりはるかに抽象的な、近代的と呼ぶべき?)アートに不得手な自分としては根本的な発想の転換を促されるようなベクトルの重みを感じたじろぐばかりであった。
観念的な問題を研究の対象として述べる専門書じみた章を於いておくと、得体のしれない動力が主人公を突き動かしている様は、彼のライフヒストリーを交えつつ語られる中で、芥川賞作家の境遇と作品への縺れ具合のような、エンタメ性を遠ざけた文学的な趣すら感じられた。 -
肯定的矛盾と否定的矛盾の共立、すなわちトラウマ構造こそ「完全な不完全体」を創り出す明確な方法であり〜…といった話を目を白黒させながら読んだわけだが、チョイチョイ挟まる自作の美術作品の解説のお陰で微笑ましい気分で読めた。
現代アートについてはあまり鑑賞経験がないので分からなかったものの、小説読みとして読者は読書を通じて創造している、という指摘は成程と思った。
しかし、「愛でる」が「やってくる」ことで人は腐女子となる、ほんとに??散々語り尽くされたはずの天然表現について最後に一層分からなくなってしまった…
著者プロフィール
郡司ペギオ幸夫の作品





