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みんなの感想まとめ
様々な架空都市が描かれた短編集で、想像力を刺激する独特の世界観が広がります。各都市には異なる歴史や文化が息づいており、読者はその背景を想像しながら楽しむことができます。時には現在の社会構造を風刺するよ...
感想・レビュー・書評
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様々な架空都市が次々と展開され、想像力が刺激される。こういった世界観設定集は読んでいて楽しい。この世界はどんな歴史があるのか、どんな人がどんな暮らしをしているのか、どんな文化があるのか、どんな音やにおいが感じられるのか等々、想像することに欠かない。夜寝る前に読んで、そのまま夢に見たい本。
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36個の架空都市についてを描いた短編集。おお、と引き込まれるような設定の都市から何を記述しているのかよくわからん都市まで様々。惜しむらくは何らかの神話をモチーフにしたのであろう都市や、筆者の生地ルーマニアの社会情勢を皮肉ったであろう都市なども散見されたが、僕自身の教養が足りずよくわからん都市にカテゴライズせざるを得なかったこと。好きだった都市はムセーウム(学芸市)、モエビア禁断の都、ステレオポリス(立体市)、オールドキャッスル(古城市)、セレニア(月の都)あたり。
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副題に「偽説・都市生成論」とあるように、幻想とSFが入り混じった想像上の都市についての36の短編集。
小説は、本文より解説から読む派だ。そしてこの本こそ、その読み方が一番面白い。
ルーマニアで2年かけて書かれたこの36編は、社会主義の検閲にひっかかった。しかし検閲で消された短編のいくつかは多数の国で翻訳され、20年後、やっと完全版が出版された。しかしフランスでだ。その10年後に母国でも完全版が出版され、初稿から48年後の今、日本語訳となり、本として僕の手元にある。
良い物語とは、なんとしぶといのだろうか!歴史に負けず、踏みつけられても生き延び、複数の言語で誰かが語り続ける。
「本書の、それも過去、現在、未来の各言語一冊が『バベルの図書館』の際限ない書棚に見つかることはほとんどまちがいないでしょう」
この数奇な歴史を踏まえて本書を読めば、検閲官には随分と文化的素養があったのだなと関心する。
荒唐無稽にも思える幻想都市の短編小説が、当時の社会主義向けた批判とは、どうにも解釈しにくい。皮肉に読んでも——たとえば夢での浮気を現実で責めるように——批判には無理がある。こう思ってしまう僕に、きっと検閲官は無理だ。
代わりに、数奇な都市の数々に魅了された。階級社会を繋ぐ油を流した階段、死んだ探検家たちのダンス、4000年前から用意された棺桶、全てが当質な故に人間も同一化してしまった都市。
様々な思考実験に、思わず「キノの旅」を思い出した。あれも多様な主義主張の都市が登場する物語だ。しかし本作はそれよりも視点が広く、故にソリッドな短編が集まる。
幻想的な夢を見たくなった時、またこの本を開くだろう。そして自分だけの幻想都市を夢想するのだ。
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