〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす [Kindle]

  • 太郎次郎社エディタス
4.50
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 82
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (249ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第一部までスイスイ読めたけど、第二部以降の論旨を辿るのは一部(特にバザールの比喩のあたり)若干難しかったり戸惑ったりした。とはいえ基本的にテーマの割にかなり読みやすいし正義について言語哲学で紐解いていくというアプローチも新鮮・有用ですごく面白かった。個人的に普段ぼんやりと考えていることに理論的な説明を与えられたようでホッとしたりもした。力をつけて再読したら更にすっきりわかるようになるかしら。

  • 3.8

  • ロールズの公正の批判的分析とそれをめぐる他の哲学者の意見及びトランプでの選挙に関わる分析である。
     教員養成系大学の学生にとっては、道徳教育で、学習指導要領が、こころというざっくりしたものを基本としているという指摘があるのでそこを中心に読むといいであろう。

  • ふむ

  • 多様性はとても大切だ。だが、各々異なる価値観を持ちながら共生する社会を想像すると、すぐに壁にぶつかってしまう感覚があった。金子みすゞの如く「みんなちがって、みんないい。」は理想だが、本当に社会はそれで成り立つのだろうか?─という疑問だ。
    そんな閉塞感を起点に本書を手に取った。著者はジョン・ロールズやリチャード・ローティを引きながら一つずつ丁寧に議論を進めている。人は自分が信じてやまない価値観や信仰を「正義」であると錯覚してしまいがちだが、それは自分自身が私的に良いと思う「善」(の構想)でしかなく、本来わたしたちが追求すべき「正義」は公共的な理念である。そして、わたしたちは未来に向けて不公正を解消していく責務を担っている。なぜならば、人と人とが共生せざるを得ないのがこの社会の現実だから。私的領域に偏重しすぎず、公的領域とのバランスを取ることが求められている。そこには、そもそも唯一の解決策や「ひとつの信仰」が当てはまる訳ではない。けれども、わたしたちは常に訂正可能性に開かれながら、特権や「力」の存在に自覚的になり、正しいことばをもたない他者の声を聴きとることによって、丘を登る歩みを止めてはいけない。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1985年大阪生まれ。専門はプラグマティズム言語哲学とその思想史。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。大阪大学社会技術共創研究センター招へい教員ほか。
著書に『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす』『バザールとクラブ』、共著に『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』『世界最先端の研究が教える すごい哲学』『在野研究ビギナーズ』『信頼を考える』など。共訳に『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』など。

「2024年 『人類の会話のための哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱喜哲の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×