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Amazon.co.jp ・電子書籍 (390ページ)
感想・レビュー・書評
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アメリカもヨーロッパも日本も、こういう荒んだ時代になってしまったので、どうしてこうなってしまったのかを考えるために読む。
この荒んだ時代の前提となる今日の所得と富の分配をめぐる争いは、承認と評価をめぐる争いであり、特に労働に関する部分の承認と評価である、という一説にはフムフムと納得した。全て自己責任だと教わってきた氷河期世代としては、妙に納得した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
刺さりまくった。しかし日本での「能力主義」とは別の「功績主義」と読んだほうがいいというのは解説のとおりだと思った。解説の本田由紀さんの本を次に読みたい
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2020年に米国で出版された本書は、2016年の米国大統領選でトランプが当選した背景や、近年顕在化している著しい所得格差の道義的評価を中心に、能力主義(meritocracy、功績主義とも)の弊害を考察している。
出自に関わらず能力によって評価される能力主義の社会は、貴族制や人種差別のある社会に比べて公平で公正で「良い」と考えられがちである。しかしそれによって人々が幸福になるとは限らない。なぜなら、そのような社会で低収入の仕事に就く人々は不運ではなく無能で努力不足の烙印を押されることになり、単に金銭的に貧しいだけでなく尊厳を傷つけられることになるからだ。トランプ当選は能力主義を称揚するエリートへの反発や不信感が原因だと考えるのは恐らく妥当だ。
そもそ能力(あるいは功績)には努力だけでなく生まれつきの才能が大きく影響しており、それは本人の功績でも責任でもない。それは果たして称賛の対象になるのか。また、高学歴であることが成功の条件となっている実情と、学歴が(本人の努力の結果であると信じられていながら)実際は親の財力と学歴の影響が大きいことなどが指摘されている。その結果「アメリカンドリーム」はいまや失われ、生まれた家庭の階層から抜けられる若者はヨーロッパや日本より少ないという。
著者は、あるべき社会に必要な共同体意識を取り戻すためには現在の能力主義の弊害を取り除く必要があると主張している。しかし現実的な代替案があるわけでもない。確かにそうだろう。現在の制度を作った人たちとて、社会を悪くしようとしたわけではない。
基本的に米国の話であるが、同じことは日本でも起きている。日本では「自己責任」という言い方が広まっている。低収入な職業の人々を「底辺」などと呼んで蔑視し、高収入であることと立派な人間であることを同一視する風潮だ。その結果日本でも共同体意識は失われていると感じられるが、やはり米国と同様、保守政党だけでなく左派政党も能力主義に意義を唱えてはいない。
社会が方向転換することは当分期待できないが、少なくとも自分は本書で指摘されている視点を失わないようにしたい。 -
mybest2024
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■評価
★★★✬☆
■感想
◯エリートが傲慢になるプロセスと結果が解像度高く書いてある本。
◯自分より上がいるという前提はあったとしても、多分に自分にもメリトクラシーに基づく傲慢さがあるとわかってハッとした。
◯トランプの当選は、傲慢なエリートに抑圧されてきた人々の怒りの結果というとここがあり、エリートは毛嫌いすることも多いが支持者も多いという構造に納得感が会った。
◯メリトクラシーとテクノクラートという単語に馴染み深く慣れてよかった。 -
オーディブルで聴いた
『これから正義の話をしよう』と『それをお金で買いますか』が感情をグラグラ揺さぶられる感じで面白かったイメージだったので読んでみた
meritocracy(能力主義)は、努力が報われる当たり前の世界と思っていたが、そんなことないというのは驚きだった。
アメリカでは、学歴がお金で買われ -
新たな考え方を与えてくれる良い本だった。実力主義や機会の平等はいいことばかりだと思っていたが、人の感情に与える負の影響にまでこれまで思いが至っていなかった。努力までもが才能と言ってしまっていたのが違和感があったが、それも自覚していないだけで環境が与えてくれたものが大きかったのかもしれない。今自分の力を発揮しやすい職場で働けていることや、高い学歴を得ることができたことに対する周りの人のサポートについてもっと感謝すべきなのだと感じた。
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キリスト教の世界観と能力主義・成果主義には色々と共通点があるよと指摘したところが興味深かった。公務員、特に国家政策に携わる方に一読いただきたい内容。
※原書がヒットしなかったので和書で登録。
著者プロフィール
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