「人口ゼロ」の資本論 持続不可能になった資本主義 (講談社+α新書) [Kindle]

  • 講談社 (2023年9月22日発売)
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  • 本 ・電子書籍 (198ページ)

感想・レビュー・書評

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  •  マルクス経済学と聞いただけで、読んでも無駄と思ってしまうが、資本主義がうまく幸福を実現できなくなっていることも事実です。特に人口減少に関しては、何もできない。資本主義が発展すればするほど格差が拡大し、人口も減少していく。しかし資本主義においては、常に生産を拡大し続けなければならず、人口減少とは矛盾することになる。人口問題は資本主義では解決できないのも事実なのだ。

  • 資本主義から脱却し、格差を無くす事が結果、子育てし易い環境を作り、人口が増え、そして世界平和に繋がるという夢物語。よ!マルクス!!

    とは言え、貧困者をつくらなければいけないのが資本主義という点は非常に納得。
    貧困者によってローコストで生産が可能でになり、資本化が潤う、その貧困者は結婚・出産へのハードルが高く、これが更に国の人口減を招く、納得です。

    でもねー、みんな幸せでみんな裕福と言う事はあり得ないんですよね、その失敗が社会主義国。ま、筆者さんは別に社会主義国になれとは言っておりませんが、行き着く所はそうなるんでしょうね。私は格差は涙を呑んで受け入れての大資本主義者です。

    一つ一つは非常に勉強になりますし、あえて反論する所と言えば、国防に関してはちょっとお花畑的な感じがするので、そこは、あゝあっち側の人だから仕方ないので軽くスルーします。

    今後の日本の急激な人口減に対する警鐘として、読まれるのもありだと思います。

    先進国出生率トップのフランスの地にて高齢化が加速している日本が今戦います。
    がんばれニッポン!

  • audible 。マルクス経済学者の人口論。とてもわかりやすかった。国に先導されている少子化対策では人口減は止められないとわかってはいたし、結婚できない、子どもが持てない若者たちが低賃金にあえいでいる現状を変える気がなく格差拡大に手を貸すばかりの政治はくそくらえだ。
    資本はとりあえず目先の利潤を追求し、いけるところまで突っ走ることしか考えてない。低賃金、福祉の後退に晒され続ける私たちはどうする?

  • この書籍では、現代の深刻な人口問題を経済学的視点から考察し、その原因を根本的な社会システムに求めています。著者は、日本の特定の経済システムが将来に及ぼす影響を詳細に分析し、予想される結果に対する解決策を提案しています。読者にとって、この本は経済システムの根本的な問題点を理解し、日本の将来に対する重要な洞察を提供するものでした。

  • ラジオのインタビューで知った本だが、作者は大学でマルクス経済学を教えているマルクス経済学の大家のようだ。資本主義がもう賞味期限切れであることをいろいろ証拠をあげて示している。マルクスが、生命の再生産をする「家族」のことを議論から抜かしていたのに晩年気づいてショックを受けたというところがおもしろい。学問も、一人の天才も重要だが多くの人の研究が蓄積されて発展するのだなぁと思った。
    ともあれ、労働者の貧困が人口減の根本原因だという著者は、貧困者がいないと立ち行かないのが資本主義であり格差問題は必然であるのと、ジェンダー差別は生命の再生産を阻害することから、すでに維持不可能になってきている資本主義を超克する必要を説く。格差がなくならなければ人口減の問題は解決しないため、いわゆる少子化対策など小手先の対応ではとても間に合わないということで、そういう具体例はほとんど書かれていない。社会自体を変えていかないといけないという大局的な視点の本だ。

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著者プロフィール

大西 広(おおにし・ひろし):1956年生まれ。京都大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士後期課程修了。経済学博士(京都大学、89年)。立命館大学経済学部助教授、京都大学大学院経済学研究科助教授、同教授、慶應義塾大学経済学部教授を歴任。慶應義塾大学・京都大学名誉教授、世界政治経済学会副会長。著書に『マルクス経済学(第3版)』(慶應義塾大学出版会)、近著に『「人口ゼロ』の資本論」(講談社+α新書)『ウクライナ戦争と分断される世界』(本の泉社、国際アジア共同体学会岡倉天心記念賞受賞)、編著に『マルクス派数理政治経済学』(慶應義塾大学出版会)などがある。

「2024年 『バブルと資本主義が日本をつぶす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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