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- / ISBN・EAN: 4988021142151
感想・レビュー・書評
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鳳来高校3年D組の担任教師・九条里奈(松岡茉優)は、涙一つ流れぬ卒業式を迎えていた。
様々なハラスメントや人間関係に配慮が必要なこの時代に、九条は教師としてただ適切な距離と適切な判断を選ぶだけの1年を過ごした。
そんな1年に感動や感傷の想いはなく、そこにあるのは無事に1年を終えたことに対しての「安堵感」だけであった。
旅立つ生徒たちを校舎の吹き抜け廊下から見つめながら、心にある葛藤を吐き出すように溜息をもらす。
そして職員室へ戻ろうとしたその時、九条は背中に強い衝撃を受け上階から突き落とされる。
状況が理解出来ないまま落下していく最中で、九条の視界に入ったのは、自分の背中を押したであろう何者かの「生徒の手」であった。
そして、その 「犯人の手元」には、“D組 卒業おめでとう”と記された深紅のコサージュが見えた。
「私は生徒に殺された」。
そう確信し、正に地面に体が着きそうになった次の瞬間、目を開けるとなぜかそこは3年D組の教壇の前であった。
九条は1年前の始業式の日に時を遡っており、目の前に映る担任生徒は1年後自分を殺害する「30人の容疑者」である。
自身の死の未来を変えるために、3年D組全員が心から笑って卒業できるように、九条は命を懸けて生徒と向き合い、「何でもする」覚悟を決める。
そして2周目の人生では、教室、人生、その全てを覆すべく「再教育」に奮闘していく。
菅田将暉主演のドラマ「3年A組 今日からあなたたちは人質です」のスタッフが再集結した学園サスペンスドラマ。
学園ドラマによくいる熱血教師は、うかつに生徒たちの家庭に踏み込んで悩みを解決しようとすればモンスターペアレントに怒られ、学校内での人間関係はSNSなどで見えにくい現実では、存在しにくいことを、生徒たちのややこしい問題に踏み込んでこなかった九条先生のナレーションで語る冒頭から、あくまでも現実に苦しむ生徒たちに真っ直ぐ向き合う学園ドラマを作ろうとするスタッフの意気込みが見える。
そして九条先生が、2度目の人生で向き合う生徒は最初から先生に期待せずに悩みがあっても自分で解決しようとしてさらに苦しむ冷めた生徒ばかり。
SNSなどでのいじめや貧困家庭や学校内での同調圧力などに苦しむ冷めた生徒たちに真っ直ぐ向き合う為に九条先生はかなり思い切った手段をとるが、九条先生の本気に刺激されて、いじめに苦しむ鵜久森さん(芦田愛菜)や学費の工面に苦労する瓜生(山時聡真)や自分の居場所を求めて彷徨う江波(本田仁美)や鵜久森さんへの想いを抑えてきた東風谷(當真あみ)そしてクラスを裏で支配していたリーダーの相良(加藤清史郎)や西野(茅島みずき)たちが自分の気持ちや悩みを言葉にすることで周りや自分を変える1歩を踏み出していく授業のシーンは、わざと演劇的なセリフや音楽の演出にすることでよりドラマチックにすることで観る者を惹きつけ毎回九条先生が向き合う生徒役の俳優が演じる生々しい感情を込めた熱演もあり毎回「魂の授業」として心揺さぶられ、「周りからダサいと笑われても、自分の気持ちや悩みを言葉にすることで、自分や周りや環境を変えること」の大切さを教えられた。
最終回近くに、クラスを目立つ生徒をいじめて支配していた相良と西野が何故鵜久森さんたち目立つ生徒をいじめて支配していたかが明らかになる回では、無自覚に目立つユニークな生徒を傷つけるいじめの軽率な悪意の怖さや異質な者たちを排除することで安心する同調圧力の怖さや気持ち悪さが、リアルだった。
九条先生と同じくクラスや学校生活を変えるべく最後まで奮闘し続けていた鵜久森さんの誇り高い生き様は、本編の前半を引っ張るだけでなく、周りの生徒を変えていく太陽のような力強さがあった。
また九条先生が、一周目の人生で離婚を突きつけられた夫の漣(松下洸平)や親友(サーヤ、森田望智)と向き合って絆を結び直すことで、九条先生の支えになっていく夫婦愛やシスターフッドには、辛い展開が多い中でもほっこりさせられた。
クライマックスで明かされる九条先生を突き落とした生徒の正体と動機は、学園ドラマで目立たない生徒の中にある闇を描いていて、九条先生と生徒たちがその生徒の闇を救う展開が、このドラマを見るクラスで目立たない生徒すら救う内容になっていて、松岡茉優や芦田愛菜たち若手俳優の演技のぶつかり合いに惹き込まれ、同調圧力で息苦しさが蔓延する時代に風穴を開ける学園サスペンスドラマになっていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鑑了
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1話から松岡茉優、芦田愛菜の演技が凄くて、凄すぎて、ぐっと引き込まれ涙した。
松岡茉優ちゃんは勿論のこと、各話スポットを浴びる生徒の演技がこのドラマの重要な核で毎話泣いてた気がする。
話の展開も面白くて凄いドラマだった。