Sports Graphic Number(臨時増刊)「阪神タイガース」セ・リーグ優勝 [雑誌]
- 文藝春秋 (2023年10月5日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (68ページ)
- / ISBN・EAN: 4910204071033
感想・レビュー・書評
-
巻末の金子達仁さんのエッセイに“我が意を得た”思いだ。
金子さんは書く-「MVP選びが史上もっとも困難な今回の優勝」であり「傑出した選手がいないのに優勝できた」と。まさにそのとおりだと思う。
私としては、今季のタイガースがなぜ優勝できたのか?ということを真面目に考えると、本当に素人的な言い方になるのだけれど「トラブルメーカーがいなかった」ことになるのかな。不良外国人はいないように見えたし、西勇輝もシーズン前は岡田監督とのバファローズ時代の確執が言われたものの、(投手としての成績はともかく)チーム内の良い兄貴分としての役割を十分務めたようだし。なによりも大山がよかった。大山のあの全力疾走を見て心が動かない球場のファンやまわりの選手はいなかったはず。そしてそれらが合わさってできたチームの良い雰囲気が顕著に現れたのが、リーグ優勝のあの歓喜の輪ではないだろうか。
話は変わるが、セ・リーグ優勝の瞬間、サンテレビはとても良い仕事をしてくれた。マウンドに集まる全選手一人ひとりにカメラを向けてアップにしてくれたのだ。そのなかには岩崎や大山や坂本や佐藤輝明ももちろんいるのだが、湯浅や浜地などの今シーズン満足のいく活躍ができなかった選手も優勝戦士の一員として同列に表情を映し出してくれたのだ。タイガースファンとしてこんなにうれしい演出はあるだろうか。何が言いたいかというと、この雑誌もそういう編集はできなかったのかな、と高望みしてしまう。
この冊子は広告の掲載が極端に少ないことからもわかるように、それこそ緊急につくられたのだろうか。薄い冊子には岡田監督をはじめ大山、近本、村上、岩崎、大竹…と、優勝の立役者と言っても文句の出ない者の記事で占められている。確かにそれらは今シーズンを振り返らせてくれてワクワクする。でもサンテレビの粋な計らいを見た後では、「イヤイヤ。ホンマにファンが読みたいんは他のもっと多くの選手のことやで」というところではないだろうか。(でも1ページとはいえミエセスを取り上げているのは「いいね」をあげたい。テレビには映らなくてもベンチの一番前で常に体を揺らし続けていたミエセスの姿は球場のファンの心を確実につかんでいたから。)
そこで私が独断で、今回の優勝の“隠れ”キーマンとして優勝特集で取り上げるべきだったと思う方たちをあげていきたい。
1 原口文仁の存在 原口って帝京高校卒で阪神に入団した虎生え抜きの選手だけど、それまで関西には住んだことがなかったはず。それなのにあのノリ。リーグ優勝が決まった瞬間ベンチから真っ先に飛び出してきた選手。今シーズンはスタメンではなかったし一時期打てない時期があった?それがどうした。ずっと見てきた虎ファンは知っている。原口も優勝の“立役者”と呼ぶ価値があると。なぜこの選手を取り上げなかったのか。
2 コーチングスタッフの充実度 新任コーチのうち今岡コーチについては、キャプテン制が廃止された今季からは、打撃コーチとしてだけでなく必要に応じて選手とコーチ間とのパイプ役も務めるなどで力を発揮したのだろうなとはわかる。だが私が注目したいのは、阪神OBではない新任コーチの馬場敏史氏(内野守備走塁)と水口栄二氏(打撃)の存在だ。ともにバファローズでのつながりで(岡田さんから声をかけたのかは不明だが)岡田新監督の意気に感じて来たということだろう。そういう強い志をもった外様の者が組織でどう動くかは、会社人間の私たちでも容易に想像がつく。2人とも派手さはないが、今季のタイガースの優勝は間違いなくそのような派手ではないタイプが集まって得られたものだから、そういう者たちの隠れた奮闘を拾い上げた記事も読みたかった。
…まあ、ここまでにしておこうか。ブクログのレビューではbadがつかないので好きなことを書いたが、最後に、私は金子さんのエッセイでの「今回のMVPは誰だろう。わたしだったら、坂本にあげたい」という意見には、諸手を挙げて「いいね」を送りたい。自分の力以上の力を出す-それが集まることでスーパースターがいなくても今季のタイガースはリーグ優勝できたのであり、その象徴が坂本誠志郎だと私は強く思うから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023年セ・リーグ優勝の阪神タイガース。その過程から監督、選手へのインタビューと記録。特に対ロッテ(先発 佐々木朗希投手)との対戦におけるベンチワークの記録は野球というスポーツの面白さが伝わってくる。
-
阪神優勝
そろそろ西武ライオンズも復活して欲しいな -
坂本と梅野の関係性もよかった!
リーダー気質があり、引っ張っていくタイプの2人がぶつからない理由になっとく。梅野の離脱による坂本の心境などチームにとっては長い目でみたら良い影響がでる。第3の捕手が早く出てきて欲しい! -
巻末のエッセイ「この優勝、再現性あり」これに尽きる。
傑出したMVP候補が以内優勝。ふつうにやれれば、来年もチャンスあるで!!