清算 (角川書店単行本) [Kindle]

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  • 時代はリーマンショック直後の混乱時期。
舞台は経営悪化に陥っている広告代理店の「八千代アドバンス」は、会社を解散して精算することになる。
    広告制作部一筋の畑井伸一が突然総務部長に任命され、全く未知の分野の会社解散手続きを担当させられる。
    なんで俺なんだと不満を抱きつつ、会社の辞令には素直に従う術しかない畑井は、渋々と従うことにする。

    解散後、いよいよ畑井は精算会社の一員として勤めることになる。
    そんな折、負債の返済用資金二億円の通帳と印鑑が、同僚社員と共に消えてしまう。
    本当に同僚は二億円を横領して姿をくらましたのか、通帳から金は引き出されたのか、盗難事件として警察に届けるべきなのか、親会社に報告をするべきなのか、精算業務に携わっている人たちは混乱する。
    社内の人間模様、上司と部下たちの関係、そして元社員が社員を刺殺する事件が絡み、サスペンスの要素が複雑に絡み合う。

    果たして二億円の行方はどうなるのか⋯
    行方不明だった同僚はどうなったのか⋯
    精算後の畑井の仕事はどうなったのか⋯
    第一章は畑井の人の良さ満載で展開するのだが、第二章から俄然物語が進展して行く。
    さすが伊岡瞬氏が綴った物語だった。
    精算業務で右往左往しながら、二億円の行方、同僚の行方を探る畑井の活躍は面白かった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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