「日本語はなぜ特異な言語となったのか」「ヒトはなぜ、直立二足歩行したのか」「日本人の「命の源」である季節風はなぜ吹くのか」「ピラミッドの「からみ工法」はなぜ生まれたのか」「なぜ日本人はロボットを長町だと見なすのか」「工業地帯に囲まれた東京湾の魚介類がなぜおいしいのか」「なぜ中部地方でモノづりがさかんになったのか」「「赤穂浪士の討ち入り」謎解き完結編」「国土を造った「流域」は、なぜ崩壊し、再生するのか」「日本文明インフラの礎である「治水の原則」とは?」「なぜ1930年代生まれの行政官たちは、驚くべき判断を下したのか」、11の謎を地形・気象から解き明かす「日本史は「地形」で解ける」第3弾。本作では視点がぐんと広がり、地球規模の地形と文明の謎にまで挑んでいる。
本作でも著者の独断が冴える(ややもすると、根拠の薄い珍説になってる部分もあるような…)。
例えば、民族同士の抗争が絶えなかった大陸では、敵と味方が入り乱れる中で恐怖を隠し複雑な意思を伝え合うために子音中心の曖昧な発声の言語が発達した(ヨーロッパ諸国の言語や中国語)。一方、異民族による征服を経験していない孤立した島国ではおおらかで無防備な母音中心の言語が保存された(日本語やトンガ、サモアの言語)。これって面白いけど本当かな??
2万年前大災害に遭った日本人の一部は日本列島を脱出し、エジプトでピラミッド建設に貢献した(「ナイル川の「からみ」ピラミッドを指導したのは、遠く日本から旅をしてきた連中だった」)ってのも夢があって面白いけど……。
とは言え、第2章で紹介されている「人類起源のアクア説」は説得力あったな。「700万年前、アフリカ大陸の大地溝帯の水辺空間に閉じ込められた霊長類は、毛皮を脱ぎ皮下脂肪を付け、直立二足歩行という進化を開始した」。いろんな疑問が一挙に解ける、目から鱗の説だった!
奴隷制度を持つ文明(欧米)には、ロボットを仲間として見る発想はない。何故なら「「ロボットは労働する奴隷」と考えていたからだ。 奴隷制度を持つ文明では、奴隷の反逆は何度も繰り返された。だから、奴隷のロボットもいつか反逆する、という恐怖感を心の奥底に抱えている」。なるほどなあ。ロボット=近代奴隷という発想、欧米人の心の中にはあるのかな。ロボットの反逆と言えば「新造人間キャシャーン」を思い出す(懐かしい)。
「利根川流域の山々が供給する大量の地下水は、365日、 24時間休むことなく東京湾に流れ込んでいる。この地下水が東京湾内の海水の入れ替えをしている」というのも、知らなかったなあ。地下水の流れが陰ながら自然環境を支えているんだなあ。