福田村事件 [DVD]

監督 : 森達也 
出演 : 東出昌大永山瑛太田中麗奈井浦新 
  • Happinet (2024年4月3日発売)
3.90
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4907953251472

感想・レビュー・書評

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  • 知らないだけだ、と、いつも思う。
    知らないだけ、無知と、無知による恐怖。
    そしていつのまにか持ってしまっている差別感情。
    恐怖、は、理解できる。
    生き物は基本的に他の生き物が怖い。
    だから、怖くないよ、仲間だよ、と、確かめあってどうにかこうにか暮らしている。
    そこに「仲間」と「仲間以外」が生まれると、だいたい問題が起こる。
    「仲間」は「仲間以外」を排除するようになる。
    食べ物も居場所も愛情も、パイは限られているからだ。

    あと、無意識に沈殿していく罪悪感も恐怖に拍車をかける。
    復讐が怖いのだ。
    自分「たち」が、加害していることにどこかで気づいている。
    その、「共感」は、たぶん、人間らしい側面だと思う。

    差別感情は、周りと、自分自身で育て上げてしまっているもの。
    狭い世界では一生気づくことのないものなのかもしれない。

    狭い世界で集団が視野狭窄に陥ってしまったことで起こる悲劇。
    誰か、止められたのだろうか。
    止められられるのか、私たち人間に。

    ……と、狭い世界に生きているバカな私はおもう。

    役者陣ではコムアイの異物感と水道橋博士の馴染みっぷりが良かった。



  • 映画館で2回観た。観てからだいぶ時間も経った。が、まだ考えがまとまらない。

    この映画は、事件が起こるまでが長い。行商団の旅の暮らしや村民達の閉鎖的な人間模様がかなり丁寧に描かれている。そこを無駄に感じたという意見もちらほら見かけた。1度一緒に観た夫も「不倫の話とかはいらないと思った」と言っていた。
    でも、私は全てのシーンが必要だったと思う。殺した人間も、殺された人間も、止めようとして止めきれなかった人間も、人間だった。差別する人間も、差別される人間も、そうした社会構造に疑問を持つ人間も、みな人間だった。人間として生まれ、愛し愛され、仲間を想い、情けをかけ合い、いがみ合い、過ちを犯し、未来に希望を持ったり、人生に失望している、一人ひとりがモンスターでも聖人でもない人間だった。

    戦争、震災、新たな思想の広まりとそれへの反発や抑え込み、偏向報道、無知、不安、思い込み、教育、集団心理、様々なピースが不幸にも重なり、その日、その村で、人間の集団が別の人間の集団を殺した。その凄まじい暴力の様子を見て、「私たちとは時代が違うから」、「当時の人権意識の低さや当時の社会の体制が悪いんだ」とはとても思えない。「今自分が生きる時代や社会とは関係ない」と切り捨てられないのは、事件に至るまでの登場人物たちの日々の営みをじっくりと観てきたからだ。彼らも、私も、人間だ。

    私はこの映画を観て何を知るべきなのか?何を考えるべきなのか?今、この瞬間に、私は何から目を逸らしているのか?
    『福田村事件』は観た人の心に「問い」を植える映画だ。

  • 前知識一切なしで鑑賞。

    前半~ほぼ終盤に差し掛かるまで「誰が誰を殺して事件に発展するのか?」とからっきしわかりませんでしたが(不倫の末の愛憎劇かな~とばかり)まさかそういう風に話が急展開していくとは思いませんでした。

     事件名すら初めて聞いたので、関東大震災という大きな災害に紛れ時代背景とともにこんな惨劇があったんだなあと思いました。
     これは現代にも通ずるものがありますよね
    移民政策が全世界で増える現代、これに近しいことは既に起こっている、そうなりかけているんだと思いました。

    人間ってなんなんでしょうね。

  • この人たちは日本人です!
    日本人では無いからと決めつけて殺そうとする人々に対して投げる言葉。そこで当事者から返される、「鮮人であったら殺してもいいのか」
    「穢多の薬など本当に効くのか」と同じ日本人から差別を受けてきた人間の言葉。

    それぞれの立場の掘り下げを丁寧に行いつつ、そのいくつかが最悪の形で惨劇に繋がってしまう流れ。

    森監督はドキュメンタリー映画と本を何冊か読んでいたけれども劇映画も撮れるなんて……と違う感動も覚えてしまった。

  • 限られた情報しかない世界で起こりうる残酷な現実。

    無知、思い込みは恐ろしい。

    後味の悪い映画。

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや) 広島県呉市生まれ。映画監督。作家。テレビ番組制作会社を経て独立。1998年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i―新聞記者ドキュメント―』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社) 、『死刑』(朝日出版社)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(ちくま文庫)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)、『集団に流されず個人として活きるには』(ちくまプリマー選書)、『歯車にならないためのレッスン』(青土社)、『COVID‐19』、『極私的映画論』(以上、論創社)など多数。編著に『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会』シリーズ(論創社)など。2023年9月1日、関東大震災の5日後に千葉県の福田村で起きた行商団9人の虐殺事件をテーマにした映画『福田村事件』が公開された。

「2025年 『人はなぜ他者を差別するのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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