疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス) [Kindle]

  • 講談社 (2023年12月14日発売)
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本 ・電子書籍 (231ページ)

感想・レビュー・書評

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  • オーディオブックで聴了。研究が遅れていた疲労の問題について、新型コロナウィルスの後遺症の問題を端緒に、急速に進む。そしてそれはうつ病の治療にもいい影響を与えるかもしれない。少しはマシな未来を見させてくれた一冊でした。

  • 疲労とは脳の炎症
    うつ、アルツハイマー、コロナの後遺症、新患発症を引き起こす

    ウイルスによって起こり、脳内遺伝子シスワンと名付けられた。

    はじめの説明の時からシスワンのシスってスター・ウォーズの敵役みたいだなと思って聴いていたら、ほんとにそこから名付けられていて、性質も似ていてビックリした。

    疲労には短期的に起こる、生理的疲労と長期化すると治りにくい病的疲労とあり、鬱などで自殺に至る際は後者の状況にあるため、判断ができない、考えられないようになっているとのこと。
    いろいろと勉強になった。

  • 難しい内容だ、専門用語が多すぎる。

    疲労してても疲労感はしない事があるというのは経験としては知っている。残業時間が月当たり60を超えると幸福感が増すのと同じだろう。

    疲労感が症状の一つである鬱病に研究が向いたり、後遺症の一つが疲労であるコロナに向いたり、話があっちこっちな感じ。

    それでいて話が難しい。

  • オーディブルで聴いた。
    難しいところは聴き流していたので、あまり覚えてないけど、ビタミンB1をサプリで飲もうと思った。あと、疲労自体はなくすことはできないらしい。
    疲労とウイルスって関係あるの?と思っていたが、確かに疲れが溜まるとヘルペスができたりするのは納得がいった。

  • 疲労と疲労感は違う。
    疲労とは結局、末端の炎症。
    うつなどは脳内の炎症。
    腸内細菌の遺伝子もヒトに大きく作用するが、潜伏ウィルスの遺伝子もかなり影響を与えている。というか、遺伝子レベルでは何由来かはあまり関係がないんだね、多分。

  • 以下のように、広範囲にわたる大変興味深い内容が述べられている

    ・脳が炎症性サイトカインを受けることで疲労感(休養の願望)を生じる
    ・その原因としては統合的ストレス応答による生理的疲労と、脳内炎症による病的疲労(慢性疲労症候群、うつ病、新型コロナ後遺症など)がある

    ・生理的疲労は酵母にも備わっている生物共通の機能だが、強いストレスが逆に炎症性サイトカインを抑制したり、HPA(脳下垂体・視床下部・副腎)反応やエナジードリンクが疲労感を抑制することで、疲労と疲労感が乖離することもある
    ・軽い運動やビタミンB1不足の解消、ガンマ・オリザール、ケルセチン、アンセリン、ベータアラニンの摂取は生理的疲労を軽減する
    ・一方で、実験動物の生理的疲労を強めることで小胞体ストレスによる心不全が改善される

    ・欧米では疲労は自己管理不足という印象を持たれることもあり、慢性疲労症候群(CFS)は世界的にはME(筋痛性脳脊髄炎)/CFSと呼ばれている
    ・ME/CFSと新型コロナ後遺症では共通する多くの自己抗体が検出されるが、このような免疫異常と病的疲労の関連は不明

    ・HHV(ヒトヘルペスウイルス)-6が発現するSITH-1(シスワン)タンパク質をマウスの脳(嗅球)に発現させると、HPA反応促進後の疲憊やアセチルコリン産生の低下によりうつ症状を起こし、さらにマウスを睡眠不足にすると脳内炎症を起こす
    ・新型コロナウイルスが発現するS1(スパイク)タンパク質をマウスの鼻腔に発現させると、炎症やアセチルコリン産生の低下によりうつ症状と脳内炎症を起こす
    ・うつ病患者の80%(患者以外では24%)、新型コロナ後遺症患者の61%に、CAML(カルシウム調節リガンド)と結合したSITH-1への抗体がみられる
    ・うつ病は遺伝要素がありながらオッズ比の高い遺伝子が見つかっていないが、HHV-6の母子感染によるSITH-1の発現がこの現象を説明できる
    ・ ドネペジル(アリセプト)によるアセチルコリンの補充や、アセチルコリン受容体に作用するニコチン(タバコ)は病的疲労を軽減する

    ・ 生理的疲労はHHV-6やHHV-7を活性化させるため、継続するとSITH-1による病的疲労につながる
    ・ うつ病にならない(ストレス耐性の高い)人には「対人関係に極めて鈍感で戦力にならない」側面もある

    本書を読むことで

    ・なぜ人は過労死するまで働くのか
    ・なぜ(スパイクタンパク質を発現させる)コロナワクチンで病的疲労になるのか
    ・なぜ(私が出会った)愛煙家に優しい人が多いのか
    ・なぜ「バカは風邪を引かない」のか

    といった疑問に対する答えが得られたような気がする。
    ウイルスによる脳内炎症に対して、「疲労は自己管理不足」という見方は当たらないと思う。

    ただ、著者がHHV-6を研究していたため、それ以外の病的疲労の要因を軽視している印象も受ける。
    実際、マウスでの実験を比較するとSITH-1よりS1の方が病的疲労の誘発力は強く、このようなウイルスは他にも存在すると考えられる。
    免疫異常の病的疲労への影響、ME/CFSの発症メカニズム、うつ病にセロトニンが効く理由等についてほとんど説明が無いこともあり、特に5章のタイトル「ついにすべてがつながった」は誇大広告と感じた。

  • 最近仕事が忙しくて疲れてる時に、疲れとは何か? というタイトルの本を見つけると読んじゃいますね

    疲労からうつ病の原因ウイルス、シスワンを発見していく過程は、ストーリーとして面白くて、長い年月をかけて大変だったとは思いますが、そういうストーリーで語れる仕事をしているのは羨ましくも思います。

    この本で一番感銘を受けて考えさせられたのは、新しい科学的知見との付き合い方。テクノロジーとの付き合い方と言ってもいいです。

    シスワンウイルスがうつ病の原因だから取り除けば良い。安易に考えてしまいますが、なぜシスワンウイルスが人に残っているのかの問いをちゃんと持ち、そのイメージを持って、共存する選択を提案しているのがすごく良かったです。

    シスワンウイルスがいたから、人類は不安と戦う気持ちになって、集団生活を始め、そして、生き残ることができた。

    こういうストーリーを理解した上で、シスワンウイルスとどう付き合うのかを考えていきたいですね。

    できることがわかった時に安易に飛びつくのではなく、普段はやらない選択肢を取る。

    まさに能ある鷹は爪を隠す、ですね。

    テクノロジーとの向き合い方で日常的に使わない選択をすることが今後の鍵になるんじゃないかと思っております。

    最後に、この本をaudibleで聞いたのですが、長いウイルス名や専門用語がいっぱいでてくるのに、こんなにスラスラ読めるのはさすがプロだなって、なんか途中から笑えるくらい感心してしまいました。この本をスラスラ読んでもらって本当にありがとうございます

  • 「疲労」の研究。疲労という客観的に数値化しにくい、比較しにくいところにどうデータをとるか。創意工夫が面白い。
    外国の「疲労」に対するイメージのギャップも興味深かった。
    外国人とチャットしたとき、「お疲れ様~」と日本人組が挨拶したら、外国人が「私は疲れてなどいない!」と反応した理由がやっとわかった。

  • シス1という名前。
    スター・ウォーズが由来と知って、やっぱりなーって思った。

  • 疲労することが恥とされてきた欧米では、疲労の研究はタブーとされ、結果として、日本が世界の疲労研究をリードしてきた。今でも”過労死”はそのまま世界で通用している。

    筋肉の疲労と、気持ちの疲労感は異なる
    疲労感が出たら唇の周りに出る口唇ヘルペスの発生をもとに疲労感の量を調べる研究など面白い

    年をとって疲労感が増してきているのを実感するが
    これは筋肉が弱ってきた体力の低下と、ストレスが合わさって疲労感が出てきている。好きなことを夢中でしていると疲労を感じないというのは、疲労感を感じていないということ。
    ストレスもストレスを与える要因ストレッサーに対する反応です

    年をとって確実に体力は弱り、外的ストレッサーに対する反応も短気・気が短くなってきている。これを分解して、体力はランニング・歩きで維持する、ストレスは本を読み映画をみて、家族や友人と話して消火することをしていきたいと思った。

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著者プロフィール

近藤 一博(東京慈恵会医科大学教授)
1958年三重県生まれ。愛知県と大阪府で育つ。
大阪大学医学部卒業後、大阪大学附属病院研修医、
大阪大学微生物病研究所助手、
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー、
大阪大学医学部微生物学講座准教授を経て、
東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授。
同・疲労医科学研究センター センター長を兼任。
日本ウイルス学会評議員、日本疲労学会理事。
著書に『疲労ちゃんとストレスさん』
『うつ病は心の弱さが原因ではない』(河出書房新社)がある。

「2021年 『うつ病の原因はウイルスだった! 心の病の最新知見Q&A』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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