本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・電子書籍 (236ページ)
感想・レビュー・書評
-
オーディブルにて
期待以上に興味深く示唆に富んだ内容だった。
ヨーロッパで魔女狩りがあった、魔女というのは、薬師的な立場の女性だったりが冤罪によってそういうレッテルを貼られて迫害されたりする 的なざっくりしたイメージを、ドラマや映画などから持っていたのだが。
そもそも中世からではあるが、魔女狩りが最盛期はルネッサンス、大航海時代などの15世紀、16世紀、社会構造が大きく変わっていった時代であり、古い社会規範を残す地域社会と新しい勢力とのぶつかり合いや人間関係、家族関係の拗れなどがベースにある。
さらに、そこに宗教改革、対抗宗教改革、絶対王政などの影響がある。
また、都市か農村か、山間の孤絶した地域か辺境かなども絡んでくる。
ドイツ、フランドル、オランダのルネッサンス期の画家たちの画題に現れる悪魔や魔女などなどが、本人たちは流行の画題を描いただけかもしれなくても、広くそのイメージを浸透させる役割を担っていたことも、驚きではあったが納得できることでもあった。
そして、本書は最後にこの時代のヨーローパの魔女だけでなく、現代他地域の魔女についても言及しているところも興味深い。
結局魔女とは、不安定な社会の中で自分の勢力を保持するために、スケープゴートとされる人であったり、自分とは違う他者を認めない不寛容さから作り出される存在なのだと思う。
それは、現代社会でも、形は違っても変わらず生み出される存在だと思うと暗澹とした気持ちになる。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
魔女狩りといえば、中世ヨーロッパで起きたもの、科学が発達していない時代に身の回りで起きた現象を魔女によるものだと置き換えたものだと捉えていた。
しかし、実際はそうではなく、現代でも同じ構図で、同じ事象が起きている。 -
本書では、ファンタジーではなく、近世ヨーロッパに実際に存在した「魔女」と、その迫害の様相が鮮明に描かれる。多くの事例と史料が用いられ、そのリアルさに不快感を覚える場面さえあるほどだ。
魔女狩りは、今では信じられないような理不尽かつ残虐な出来事だ。しかし、人々の間で噂や迷信が広まり、無実の人が「魔女」へと仕立て上げられていく様は、SNS社会に生きる私達にとっても妙な生々しさを持って感じられる。
魔女狩りを過去の過ぎ去った歴史として客体化してはならない。私たち自身も、魔女狩りの主体的なアクターとして歴史を形成しているのかもしれない。
そして、『魔女狩りのヨーロッパ史』は、そのような現代の私たちへの警鐘のようにも感じられるのである。
[中央館2F:文庫・新書コーナー 081//I95//NR2011]
【https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD06124409?hit=11&caller=xc-search】
著者プロフィール
池上俊一の作品
本棚登録 :
感想 :
