令和元年の人生ゲーム (文春e-book) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 作者がコメントしていたが
    人生ゲームの令和版にはゴールが無いらしい

    現在の若者の考え方を学ぼうと読了
    ・意識高い系とは?
    ・向上心なし 現状維持派とは?

    よく考えると、昔からある価値観をフレーズでバズワード化してるだけだと学ぶ

    私は、沼田さんの考えは共感できる
    憎めない
    寧ろ人間観察しディスる浅ましさに拒否感を覚えた

    目からウロコのような感覚は
    残念だけど私には無かった

    ■「ああ、不安だ 正しくないことが、こんなに不安だなんて」
    ■誰かに迎合して得られる愛は、ありのままの自分のままで得られる愛よりも価値がないと、そんなズルいことを考えていた

  • 意識高い系大学生のあるあるを凝縮して物語にしたような作品!
    時代の変化やテクノロジーの進化はありますが、20代の若者の考えることは変わらないよなぁ、と。本書を読んで過去の自分を思い出し、共感性羞恥が刺激されました!

  • Z世代の苦悩がわかるみたいな触れ込みだったので、読んでみました。おそらく現代の若者が悩む点というのはわかったのですが、それ以上に良かったのは人の悩むところや迷うところ、欲求なんかのベース部分は、我々世代もZ世代も何も変わってなくて、時代や世相っていう外側に合わせてディテールが変わってるぐらいの物なんじゃないかということに気付けたことです。だからZ世代だろうとX世代だろうと共感は出来ると。

    一つ例を挙げるとすると、多様性が氾濫して正解らしいものが無くなった分、人生で向かうべき方向について悩む人が過去に比べて相対的に増えたというのは大きな変化に見えますが、その正解らしいものを妄信して目隠しで走っていたX世代と、正解を見つけられずに悩んで走りだせないZ世代、どちらも根は自己理解不足にあるんじゃないかとか、そういうことです。

    そして、もちろんどちらの世代にもそういった罠にひっかからない人はいるし、逆にひっかる人もいるというだけの話なんじゃないかと思ったりします。

    「Z世代は正しいことをしたがる」というのはシンプル過ぎて最早間違っています、「人は正義の側に立ちたがる、逆に言うと非難される側に立つことを嫌うので、その時代が定義している非難され辛い側に立とうとする、現代においてはSDGsなんかで、わかり易く正しい方向が示されているのでそこに飛びつく人が多い。」というのが「Z世代は正しいことをしたがる」の詳細なんじゃないでしょうか。

    逆に、YやZが多感だったころにはそれぞれの正しさがあったのでそれに乗っかった人が多かったんじゃないかと思います。まぁ、私はY世代ですがそもそもマジョリティな生き方は出来ていないので、Y世代で主流の人たちがどんな正しさを求めていたのかはピンとこないですが、何となく正しさが現代よりも個人に向いていたんじゃないかと予想していますが

    作品の感想としては、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない 』の時にも思ったのですが、登場人物が有名大学出身で、有名企業に勤め、フリーランスとして活動みたいな私とは対極にある人ばかりで、完全に他人事として読めて面白いです。実際にそういった境遇にある人は共感する箇所も多いんでしょうけど、SFCをこの前因幡はねるさんと白鳥翔さんの対談で初めて知った私からすると別世界の話過ぎて前作同様、動物園的に楽しめました。まぁ、シロクマも出てきますしね。

    作中、日本のメガベンチャーを混ぜたみたいな会社が出てくるのですが、それぞれの元ネタを考えるのもちょっと面白いですね。社長はサイバーエージェント、名前はパーソル、業種や立地はリクルートみたいな感じで。

    短編集なんですが、どの作品にも一人の人物が共通して出てきます。その彼の変化が楽しめるのもよいです。

  • なんか特異な才能の持ち主で、著者すげーなって思った。東京の今をすごい解像度で切り取ってるから。自分が若かったら胸に刺さって痛くて辛かったと思う。いわゆる「意識高い系」いじりじゃなくて、そういうのへのアンチまでいじっていく視野の広さ。おもろ。
    外資とコンサルと港区!みたいなレースから降りたつもりでのんびり系の場所に落ち着いても結局マウンティング勝負の舞台が変わっただけ、というのは人権派の弁護士として生きた数年で俺も見たからよくわかるんだ。そういうレースから本当に降りるには子どもを作って愛することだと今は思うんだけど、数年後には子どもを使ったレースに参加することになるのかね?
    時代の空気を切り抜く写真家としての腕はいいんだけど、主人公がおんなしようなパーソナリティーで、ちょっと飽きる。答えが見つからず宙ぶらりんになるのが答え、それが令和、みたいなちょっと使い古された結末ばっかりなのもやだ。著者がほんとに頑張ればもっと面白いの書けるんじゃねえの?なんか楽してないか?ちょっとむかつくよ。
    あと出てくる女の子はどのタイプもみんな魅力的で好き。小悪魔ちゃん、サバサバちゃん、アンビバレントちゃん、しっかりちゃん、コンサバちゃん。。。
    みんなかわいいぜ。幸せになってねって思わされる。
    著者の女性感が〜〜みたいな意地悪はいいたくなくなるほどかわいいんだ。少しだけ考えてみると、著者は個々の女の子に興味はなくて、女の子の総体みたいなものを書いてる、書こうとしてるんじゃないかな。
    女の子みーんな好き。それぞれ健気。かわいい。

  • タワマン文学※を代表する麻布競馬場の2作目です。
    今作は令和Z世代を題材にしています。

    私は性格が悪いので、タワマン文学のような人がもがき苦しむ話は大好物。

    この作品に出てくる高学歴若者像を、作中の言葉を使って表すとだいたいこんな感じになります。

    子供の頃より親・教師に言われてるがまま勉強し、一流大学に入る。
    そこでは企業受けするボランティアなどの活動に勤しむ。
    そのような意識高い学生にありきたりな夢を語るものの、実現性を高めるための努力はせず、外からの見られ方ばかりを気にする。
    そして彼らは、そのことについての罪悪感は持たないようにできている。

    彼らはその場にふさわしそうな、なんだかそれっぽい言葉をどこかから借りてきて、吐きだしているだけ。
    自分の言葉で、自分の責任で自分の人生を生きようとしない。
    当然そこには信念などというものはない。

    また、他人から評価される以外の人生の喜びを見つけられないでいる。
    結局のところ競争の子なのである。
    何もしたくはないけれど、誰かより少しだけ勝っていたい。
    それが学生時代は学歴だったり、社会に出てからは企業名だったり、キラキラ感であったり。
    そういう外からの見られ方で自分を表現するようになってしまった。

    そのくせ「仕事だけが人生じゃないからね」と、ハードワークしてバリューを出すでもなく、自分の怠惰さに向き合うことから逃げている。
    立派な大学を出た賢い彼らは、そうやって自分を好きになってあげることで満たしている。


    昭和おじさん像もなかなか的確。

    今っぽい若者と交流し、今っぽい若者を褒めることで、自分たちは若者と理解し合えているとアピールする。
    それを記念撮影して、SNSにあげちゃったりして満足げ。


    「人からどう見られるかなど気にせず、自分のやりたいこと・好きなことにフルコミットするのが、令和時代をよりよく生きる術」と著者は言いたいのだと思う。

    ※現代日本の格差や嫉妬、生きづらさを描く作品

  • 自分も若い時にはよく分からない横文字使ってかっこつけてた事があるなぁと昔を思い出して、懐かしいような、少し気恥ずかしいような気持ちに。
    年齢と共に自然と肩の力が抜けて気負わなくなったと思う。小説の彼、彼女らの悩みも時間が解決してくれることもあるので、ゆっくりねと親目線で読んでいた。

  • 自分は昭和生まれの平成育ち、そして令和を生きている。
    昭和に生まれたからと言って、昭和の頃に常識とされていた考え方をしているわけではなく、それどころか忌み嫌ってもいる。
    この作品に描かれているZ世代と呼ばれる若者たちも、一括りに表現されることに、どんな思いを抱くのだろうか。
    近年入社してくる若者たちは、どこか達観している感も拭えないのは事実だが、昭和に生まれた自分たちと同様に、悩み、苦しみ、正しくあろうとしたり、何者かになろうともがいている姿が描かれていた。
    彼らから学べるものも、きっとあるはずだ。
    煙たがられない程度に、もっとコミュニケーションを取ってみようと思った。

  • 一部〜二話までは記号的なキャラクター造形、物語の展開で、かなり退屈に感じた。三話だけは沼田の心理を深掘る話のためか、他の話と比べてシニカルかつユーモアのある展開もあり、比較的楽しく読めた。この作品の末尾である四話終了時点で沼田についていろんな意味で投げっぱなしで未消化な部分が多すぎるので、続編が無い前提だとこの作品だけではあまり魅力を感じなかった。一部のキャラクターを除き、ほとんどの人物が薄っぺらいキャラクター造詣で、その後の展開でも深掘りされないのが小説として退屈に感じた原因かもしれない。z世代や老人の方々を馬鹿にしすぎてないか?この作者。

  • 結局「自己実現」みたいな大仰な理想や、記号化された言語では何者にもなれず、かと言って行動すればよいというわけでもなくて、流れながら自分がぴたりとハマる枠を延々と探し続けている。
    そんなものは無くて、ちょっと何かに引っかかたりしながら流れていくか。流れるのを拒否して、ただの石となるか。

    能力や知識はおそらくそれの活かし方を見つけることが一番難しい。資料批判できてパワポ爆速で作れてもビジョン(というより覚悟)がないまま、国の補助金事業にのっかる人が増えていく現代が婉曲的に描かれているような気がした。(深読み)

  • ※この本は途中で挫折しました


    こういう時代なので、個人で仕事を受注していると時折"ベンチャー立ち上げました"と名乗る学生さんから問合せが来ることもある。まあそれが見事なまでにこの本に登場する人物たちと被るわけだが、総じて彼らの語りは薄っぺらく、読めば読むほどキツい。
    それだけこの本の再現度が高いということだろう。

    昭和だろうが令和だろうが、金銭の授受が発生する関係に一番重要なのは【信用】だと思うんだがなあ。

    『本当に儲かる話は他人には広めない』とも、誰かが言っていたね。

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