すべての罪は血を流す (ハーパーBOOKS) [Kindle]

  • ハーパーコリンズ・ジャパン (2024年5月17日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 私の好きなミステリーとしての第一条件はグロいこと。それにプラスして、舞台となる国の歴史や社会情勢が絡まっているとなお好き。今回、初めて読んだS・A・コスビーの作品は、バッチリ私好みだった。

    南北戦争において、南軍を率いたリー将軍の銅像の建つヴァージニア州の架空の町・チャロン郡で起こった、人種差別者であり小児性愛者による里親からの虐待により、精神を病んだサイコパスによって引き起こされる殺人が描かれる。それを解決するのは、黒人コミュニティのための保安官になったわけではない黒人のタイタス。彼は過去の経験ゆえ、神を信じて祈ることはできない。(しかし、常に聖書の言葉と教えが身に染み付いている)
    異常な程に几帳面で、善人。白人からは目の敵にされ、同じ黒人からは黒人(ブラック)ではなく警察官(ブルー)として見られながらも、忠実に職務を全うし、事件を解決に導く。

    訳者あとがきによると、インタビューでコスビーは「悪人より善人を主人公にするほうがむずかしい、悪人はルールに縛られないが、善人はルールにしたがって生きなければならないから」と語っていたそうだ。
    そのあたりの善人ゆえの葛藤・贖罪、そのもどかしさが伝わってくる。
    それでいて、逸脱したラストが痛快だった。

  • 過大評価な気がする

  • 白人至上主義がいまだに残る米南部の小さな町で起こる殺人事件。前作『頬に哀しみを刻め』同様にハードボイルドで少し肩が凝りそうな気がしたけど(私好みの)前回よりもエグさが多くて、グイグイ読めた。
    聖書の引用が頻繁に出てくるのが南部らしい気がする。

  • S・A ・コスビーの最新作。
    今作はアメリカ南部ヴァージニア州の架空の町チャロン郡で、黒人の警察官として従事するタイタスが主人公。
    これまで同様にヴァージニア州が舞台で、黒人による差別の問題が描かれているが、本作はこれまでの『頬に哀しみを刻め』や『黒き荒野の果て』とはまた違った世界が描かれていた。
    今作はその州というか町というか、長いこと人の心に根ざしている暗い差別感情が描かれている。そこの町にある血塗られた歴史、そこで黒人として生きていくということがどういうことなのか。
    平和で安全な町だとチャロンに暮らす白人の住民たちは言うが、それは知らない、目を向けないだけだ。
    ある事件をきっかけに町の裏の顔が明らかになっていくが、とてもおぞましい。
    南部ゴシック的な側面もあって、気味が悪かった。

  • 2024年の13冊目は、S・Aコスビーの「すべての罪は血を流す」です。これまでの2作品から、趣きを変えて、完全なる善人、法を遵守する黒人保安官を主人公に据えています。個人的には、これまでのクライムノベルよりも、こちらの方が、断然、好みです。
    作品についてですが、まず、主人公タイタス・クラウンの造形が素晴らしいです。いつものようにアメリカ南部を舞台にしつつ、(当然ながら)黒人の保安官を主人公にする事で、白人、黒人双方から妬み、忌避されるキャラクターを創り出しています。タイタスが、人種関の微妙なバランスに立っている事で、物語に不安定さ、不穏さをもたらしています。タイタスの病的なまでの几帳面さや母親を病気で亡くした事からアメリカ南部の典型的なキリスト教の宗教観を否定している性格も造形に深みを与えています。それにしても、アメリカ南部というのは、善きにしろ、悪きにしろ、キリスト教や聖書の教えに囚われている事に驚いてしまいます。今、アメリカで起きている分断の本質が、少し、分かったような気がしました。
    アクションシーンは、勿論、素晴らしいですが、タイタスと父親アルバート、弟マーキスとの家族愛の描かれ方もジンと来ます。
    ☆4.8

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