ベーシックサービス ~「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会~(小学館新書) [Kindle]

  • 小学館 (2024年4月1日発売)
3.22
  • (0)
  • (3)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 36
感想 : 3
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・電子書籍 (210ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ベーシックサービス、井手さんの本を2冊続けて入手して読んだが、、
    なんだ、前回読んだ本の改訂版だった。大幅加筆はされていた。
    私が問題とした、無償化する範囲について、大学授業料についての言及はあったが、
    本質的な問題については語られていなかった。というか語りようがないのだろう。
    前回の感想では供給の質に疑問を感じた。保育園のような一律のサービスでよいもの
    以外は安かろう(無料)悪かろうになるのでは?と。
    それ以上のものがあることにそのあと気づいていた。というか気づくのが遅い。
    医療費。
    今でさえ老人は病院をサロン代わりにし、病院は薬代で儲ければいいと、
    老人を薬漬けにする。
    これが無償になれば、さらにこれが進み、医療費が天文学的になる危険性がある、
    いや、高い。今の仕組みのままであれば。
    いまでさえ日本の国庫は社会保障負担、医療費で絶望的な状況なのだ。
    これを何とかする仕組みを作る必要がある。
    健康を維持するための費用を無償にして、病気になったあとは各自負担にしたら、、
    貧乏人は病気に慣れない、死ねというのか、といわれそうだな。
    しかしこの崇高なベーシックサービスの理念を実現するためには、
    何か仕組みをつくらなければいけなくなる。

    ここに言及する本を書いてほしかった。

    序章 運で未来が決まる理不尽に怒りを!
    第1章 政治にひねりつぶされて生まれたベーシックサービス
    第2章 私の幸せとあなたの幸せは矛盾しない
    第3章 できる大改革とできない大改革~ベーシックインカムとMMTを批判する
    第4章 ソーシャルワーク~真のライフセキュリティをめざして
    第5章(終章) 価値ある国を、自分たちの手で

  • 非常に読みやすく筆者の熱い思いが伝わってくる。ベーシックサービスはベーシックインカムとは違って、貯蓄がなくても不安なく暮らせるよう医療、教育、その他を無償にしようという考え方。そのかわり税金が上がる。最近『ザイム真理教』を読んだり減税を強く唱える人のメルマガを読んだりして増税が諸悪の根源のように思っていたが、この本を読んで、それは税の使いかたが良くないからだと思った。この筆者が講演会などで、税金は上がるけれど、その分あるいはそれ以上にサービスが無料になって生活が楽になるという話をすると、それなら税金が上がってもいいと皆が言うそうだ。ベーシックインカムはいいアイディアだと思っていたが、月々12万くらいないと意味をなさないので膨大なコストがかかるらしい。一方、ベーシックサービスは必要な人だけが使う(小学校を卒業した人にはもう小学校は必要ないなど)ので、たとえば教育なら給食その他学校関係をすべて含めて無償にしても、こちらのほうがコストが少なくてすむそうだ。ベーシックインカムだと究極の自己責任社会になって人間関係がぎすぎすするとも。考えてみればたしかにそうだろう。著者の家族の悲劇にも触れているほか数字もまじえて具体的なデータを挙げてあるので説得力がある。
    副題にあるように、貯蓄ゼロでも不安ゼロの社会が実現したら人々のメンタルもどれだけよくなるだろうか。弱者を救済するのではなく弱者を作らないという考え方はすばらしいと思う。政治家をはじめ広く読まれてほしい本だ。

  • 私の頭が悪いのか、語り口が易しいのに、何が言いたいのか最後までよくわからなかった。
    ベーシックサービスは教育、医療、介護、障がい者福祉などを無料にする仕組みだそう。
    ベーシックインカムとの違いの一つは、必要な人しか使わないから、ベーシックインカムよりお金がかからないことだという。
    そこまではなんとなくわかった。

    だけど、それをどうやってやるの?というところは私は理解できないまま読み終わった気がする。
    財源については触れられていた。
    消費税増税らしい。
    ただ、ベーシックサービスは生涯を鑑みれば、誰でも使うサービスだから、上昇した税も、いずれ自分にサービスという形で還元されるということらしい。

    これぐらいは理解できたんだけど、いろんなネタを盛り込みすぎてわかりにくくなった気がする。
    ただ、これは私の頭が悪いからだと思う。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

井手 英策(いで・えいさく):1972年、久留米市生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本銀行金融研究所、東北学院大学、横浜国立大学を経て現在、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政社会学。著書に『ベーシックサービス――「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会』(小学館新書)、『幸福の増税論――財政はだれのために』(岩波新書)、『欲望の経済を終わらせる』(インターナショナル新書)、『ふつうに生きるって何?――小学生の僕が考えたみんなの幸せ』(毎日新聞出版)、『18歳からの格差論――日本に本当に必要なもの』(東洋経済新報社)など、共著に『ソーシャルワーカー――「身近」を革命する人たち』(ちくま新書)、『分断社会を終わらせる――「だれもが受益者」という財政戦略』(筑摩選書)など。2015年大佛次郎論壇賞、2016年慶応義塾賞をそれぞれ受賞。

「2025年 『令和ファシズム論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井手英策の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×