資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたか (講談社現代新書) [Kindle]
- 講談社 (2024年5月16日発売)
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感想 : 4件
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感想・レビュー・書評
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Audibleで聴きはじめたものの、ランニング中のながら聞きをするには、少し内容が複雑だったかもしれない。文字で確認しつつ読みたい。
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本書の著者は日本で「格差社会」を最初に言い出した方と伺っていましたが、さすがに本書は現在の「日本の格差」の現状を鋭く抉って、かつわかりやすく書いています。
とりわけ、資本主義社会には格差は付きものだとのリアルな見方には、思わず納得しましたね。
ただ「歴史」を遡っての「格差の通史」は、少し系統的な知識がないと読みにくいとも感じました。
本書の中で特に記憶に残ったのは、「経済成長(効率性)と公平性(平等性)」はトレードオフの関係にある」という言葉でしたね。
現在の「日本の格差社会」を思うと、なんともため息が出る思いを持ちましたが、おそらくその間のどこかに日本の格差を着地させるのかは、国民の総意で決めるほかないかとも思いましたよ。
さらに「G7諸国で日本が一番相対的貧困率が高い格差社会だ」とは、情けない思いも持ちました。
また「社会主義中国」が日本を上回るジニ係数で格差が大きい社会であること、そしてその「社会主義中国」でさえ格差の改善ができていないのだから、「資本主義国日本」で格差をなくすことはできるはずがないとのリアルな意見んには、思わず納得させられてしまいましたよ。
更に著者の「累進課税」は、1970~1980年代の最高税率70%が「経済効率性と公平性の双方を満たす最適な累進状態であった」との主張は納得と快感すら覚えましたね。
本書は「日本社会の現状」をリアルに見つめることができる良書だと思いますよ。
著者プロフィール
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