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本 ・電子書籍 (186ページ)

感想・レビュー・書評

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  • [こんな人におすすめ]
    *ままならない自分自身をもてあましている人
     生きづらいと感じる夜があり、その原因が自分自身の身体や性にあると考えている人におすすめです。

    [こんな人は次の機会に]
    *本は図書館で借りる派の人
     同じ人が読んでも、その人の心の状態やその人を取り巻く環境によって感想が大きく変わる本です。私自身も2週間前に読んだ時は☆1で、昨日読み進めた時は☆4.5でした。
     2週間の制限を設けて読み切る本というより、購入して、すぐ読める場所に置いて、気になったら開く、思い出した時にもう一度読むといった長く楽しむタイプの本だと思います。

  • 男視点として、これはむしろ男が読むべきではと思う1冊。

    自分の体への責任や、将来への不安、恐怖は、やはり男性よりも女性の方が強い気持ちがあるのではないか。

    定期的に読み返したい

  • 身体にまつわる色んな作家さんによるリレーエッセイ。共感できるものも、そうでないものも、どちらも興味深く読んだ。ある作家さんは身体を車体に例えていて面白かった。万能な容れ物など皆無で、皆さんが身体について悩まされたり、戸惑ったり、宥めたりしながら何とか上手く折り合いをつけようと四苦八苦なさっていた。これの男性作家版も出して欲しいなと思った。

  • とても面白かった!
    私の大好きな鈴木涼美が寄稿してるじゃん!と思って図書館で借りたが、17篇をゆっくりと噛み締めるように読み、手元に置いて折に触れて読み返したい大切な一冊になった。

    特に気になった書き手は、鈴木涼美以外だと、藤野可織さん、金原ひとみさん、柴崎友香さん、藤原麻里菜さん。

    ◾️「妊娠」と過ごしてきた 藤野可織

    妊娠出産に関する意思決定の重みを女性だけが負わされることのプレッシャーを言語化してくれている。子どもを産むのは当然女性だし、産むために何かを捨てたり苦労するのも圧倒的に女性なので、夫が子どものことは「任せる」と言うのは至極賢明で、子どもを産んでくれとも産むなとも言われたいわけではないのだが、子どもを産むことや産まないことを自分の責任で選び取らなければならないことは、女性にとって物凄いプレッシャーで、産みたいわけでも産みたくないわけでもないのに、いつもそのことを考えては死にたい気持ちになっていたという筆者の気持ち、めちゃくちゃわかる… 結局筆者は子どもを産んだので、私とは違う「側」に行ってしまったのだが、一度の出産を経て、もう二度と産まないと決めることができて満足だという言葉には勇気をもらえた。

    ◾️胸を突き刺すピンクのクローン 金原ひとみ

    朝のまどろみの中でのパートナーとの幸せな性行為の描写から始まり、石膏で彼の生殖器の型を取って張型を作ることについて思案するエッセイ。読むと幸せな気持ちになれる。芥川賞作家である筆者の名前はもちろん知っていたが、小説を読まない私は彼女の書いた文章に触れるのは初めてで、するすると流れ込んでくるような軽い文体だけれども、ひりひりとする部分を掠めるような鋭さも感じた。おそらく常人であれば、「私は今の彼のことが大好き」という言葉で言い表してしまうのだが、それを「時代的に間違っていた前の恋愛は破綻し、時代的に正しい今の彼との恋愛を選んだことが、自分自身の中にある時代的に許されない暴力的な衝動への抵抗」と表現しているところが、さすがだなと思った。

    ◾️私と私の身体のだいたい五十年 柴崎友香
    ◾️捨てる部分がない 藤原麻里菜

    女性の身体を持て余しており、無生物になりたいという共通した願望を語る両者。前者は機械人間になりたくて、後者はピンクの球体になりたい。女性的なものに対して拒否感があるといえど、男性の身体になりたいわけではない。けれど女であるせいで息苦しい。柴崎さんは、自分の足に合った靴を見つけたことや、低用量ピルや発達障害の薬のおかげで身体症状が改善したこと、そして老化による身体の変化をポジティブに面白がることで、少しずつ自分の身体に馴染んできたようだ。藤原さんのほうは、自分の女の身体を愛しており、女であることを喜んでいるが、女であることによる気持ちの悪い体験を排除したいと言う。どちらもめっちゃわかる。自分の身体を愛し、手入れをしたり着飾ったりすることは、他者の無遠慮な目線に晒されることを受け入れることとはちがうし、そういった目線を受け入れる日とそうでない日があることだって至極当然なのに、いつでも「いいんだろ?」とばかりに土足で踏み込まれることには断固抵抗していきたい。

  • 若手からベテランまで様々な作家さん、クリエイターさんによるそれぞれの「性」に対する価値観。
    西加奈子さんの名前があったのですぐに図書館で予約。

    今まで見ようとしてこなかったもの、感じたことのない感覚を覚えた方の話もあった。
    私はどちらかというと育った土地柄とりわけ「女性」という性には「奴隷感」と「弱さ」の象徴として虐げられる存在として生きてきた。歴史の進まない家だったのだと思う。
    この作品を読んでから今までは考えたことがなかった(恐らく無意識に目を背けようとしていた)自分の「性」に対する価値観や考え方と向き合ってみようと思った。

    この作品を通じて
    児玉雨子さんという作家さんを初めて知った。
    この方の心の病の苦しみに共鳴してしまった。
    この方の他の作品を読んでみたいと思った。

  • オムニバス形式で全部雰囲気が違うのでちょっとつづ読むのにちょうどよい。女性の体がモノ化されたり権利が自分じゃなくて配偶者にあるような扱いをされる日常に激しい怒りを伴う作品は、代表して怒ってくれてありがとうという気持ちになった。エリイさんや鳥飼茜さんなど、アートや漫画のジャンルで活躍されてる方の文章もあって貴重な感じがする。

  • からだ、より性について多かった

  • ゲームプレーヤー、かく語りき
    「消費は気持ちいいのだ。他者の欲望を自分の身体に反映させることは、場合によっては気持ちがいい。性被害の実態を一部見えづらいものとしているのはこのことも無関係でないと感じる。モノとして性的に消費されること。それが身体が主体的に求めるところ、な訳がないが、私たちは意外とそのような欲求を増幅させて生きてないだろうか。」
    消費されることで私たちの身体は「客体」になってしまうが、客体になることそのものも主体的に行おうとしてしまう、という逆説的だがリアリティのある洞察に納得、共感した。

  • 出産入院中に読むか〜と購入。
    スカート履くのが嫌で泣いてた自分が出産か〜、、、という気持ちにマッチするエッセイがいくつか。

    自意識についてがテーマなので当然っちゃ当然なんだが、「こういう私、どう?」が何気ない振りして3日目の経血くらい滲んでる文章も結構あったなかで、(そのヤンキーという修飾語いるか?みたいな)藤原麻里奈、すごすぎる。
    女を捨ててるのに"女なのに"のリングの中で評価されることに気持ちよさを感じる、ってところ、こんな素直に自分の欲求捉えられるのすごすぎる。(2回目)
    自分も自分しか見ないような日記ですらすぐ滲ませちゃうので、ああいう文章を書けるようになりたい。文章というか、自分の考えとか心の動きをカッコつけずにそのまま捉えられる力?

  • 著名な作家さんたちが赤裸々に自分の性について経験も踏まえて書いている。
    まず、思ったことは”女”という性を持って生きるとは難儀なことだなと正直思った。
    かく言う私も女だけど、ここまで意識してこなかったのかも。
    皆、ほとんど痴漢にあってるし平たく言えばなんらかの性被害の合っている。
    そして婦人科系病いの辛さ(藤野可織)
    柴崎友香にいたっては毎日がめっちゃしんどそう。
    千早茜は小柄(151㎝)ゆえ”なめられたらあかん”とすっごい戦闘態勢ですごし、西加奈子も関西弁の親しみやすい作家さんというイメージだけどいろいろなことを(性にまつわる)乗り越えてからこその明るさだったんだろうし。
    あー、とにかくすべての章が見につまされた。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

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