ようこそ！FACT(東京S区第二支部)へ（３） (マンガワンコミックス) [Kindle]

魚豊

• 小学館 (2024年6月11日発売)

感想・レビュー・書評

[holisticolyさんの感想 · 2025年5月4日]

第3巻では、陰謀論のロジックが非常に明快に整理されており、驚かされました。「展開・発見・接続」という三段階の思考パターン、そして「確定・却下・保留」という3つの分類。特に印象的だったのは、「保留」の情報が積み上がることで陰謀論の“資産”となり、それが論理を強化していくという構造です。

さらには、確定させるために被疑者に直接問いかけ、否定された場合には「隠蔽している」と解釈することで、むしろ陰謀が真実であると“確定”するという、無敵とも言えるロジック。その理屈の恐ろしさとリアリティに、背筋が寒くなるような感覚を覚えました。

陰謀論に惹かれる心理だけでなく、その論理構造までも描き切ったこの巻は、非常に読み応えがありました。

[charmie11さんの感想 · 2025年1月26日]

陰謀論にどっぷり浸かったタイミングで同志の志の低さ、
センセイの胡散臭さに気づきピンチ
地獄

[ginevra-potterさんの感想 · 2024年9月19日]

相変わらずやばい。解像度高すぎる。

大きな不安と小さな偶然…わかりすぎる。
現実は色々個々人の事情や感情が複雑だったり、自分を省みることができず現実逃避続けたり、もっと長引くだろうけど、サクサクと核心に迫ることが続いて読んでいて爽快感がある。
ただ、陰謀論信者を刺すようなことだけでなく、数%の真実とも言えるような難しい部分もうまく取り込んでいて、そのバランス感覚に感心。
「上級国民」の話とか。たまたま、たまたま自分のみに降りかかってないだけで、往々にして現実で起きてるんだなと思える。
陰謀論信者が全部認知が歪んでるとは思わなくて、少しは鋭い視点とか、疑問を抱く姿勢とか、目を止めるべきものはあるのだろうけど、いかんせん大半が…。

[弦音なるよさんの感想 · 2024年7月10日]

SNSで流れてきて読んだマンガ。
現在3巻まで読了。

表紙を見かけて以前そういえば気になってたが、作者は「チ。」の人だった。「チ。」は「科学（的態度）とは何か？」を主題にしていて、その意味では本作は裏表になると思う。が、科学という態度もまた一つの信仰である、と言ったことまで踏み込んでいるわけではなく、一般的な陰謀論のメカニズムを分かりやすく描くにとどまっていた。そこを結び付ければもっと深みが増すと思うが、その表現はかなり難しくはなるだろう。

自分は、陰謀論はエコーチャンバーの先鋭化したものではあるが、何かを信じる自分たちすべてが同じ傾向を持っていると考える（都知事選で各支持者が他の支持者を指弾したり、投票率が上がれば勝てると言ったり、反ワクチンだったり、目覚めていないと言ったりするのと同じ）。また、陰謀論は「真実か否か」には意味がなく、その背景にある、陰謀論を信じざるを得ない何らかの病理や、社会とのミスマッチが原因だと考える。が、それらにうっすら触れられつつも、踏み込んではいない印象だった。

とはいえ、キャラの立ち方とか、モノローグとか、漫画としての演出は非常にうまいとおもった。「先生」のキャラも秀逸。

三幕構成としてキレイに設計されていた。
第一幕では主人公の欠点、主要人物、そしてInsigt Insident、迷いのとき、PP1（FACTへの出会い）がしっかり描かれている。
「おたのしみ」にあたり第二巻では、様々な事象から主人公が陰謀説の世界にハマる過程が描かれる。これが「お楽しみ」ということは、陰謀論に陥るメカニズムが読者の興味として想定されていることになる。

[testさんの感想 · 2024年6月16日]

私自身は、陰謀論へのスタンスは距離を置いている派だが、この主人公の境遇に感情移入、というか自分と同じものを見出してしまって、読み続けるのが辛くなるほど頭と感情が掻き乱されている。陰謀論へ同化していく過程を、疑似体験している…

心に脆弱性を持つ界隈の人にとっては、この漫画は危ないと思う。森達也さんのドキュメンタリーを観ている感覚に近い。「チ。」よりも責めたテーマを扱っていると思うが、エンタメとしては消化できない重さ。

[劣性サニィ@漫画垢さんの感想 · 2024年6月11日]

マルチへの逆襲めっちゃスッキリした！師匠が急に小物になったな笑
次が最終巻