暗殺 (幻冬舎単行本) [Kindle]

  • 幻冬舎 (2024年6月19日発売)
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  • 本 ・電子書籍 (352ページ)

感想・レビュー・書評

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  •  これはノンフィクション的な小説であり、とてもよくできていて面白かった。オーディブルで聴いたのだが、現実に起こった元首相の暗殺を書いたものなので、フィクションとは思えない。考えてみれば、単独犯ではなくて背後に何かありそうだし、周りの人が犠牲になっていないのもおかしい。真実ははたしてどうなのだろう?元首相が突然辞任したのもおかしいし、背後にはトマホーク500発の裏取引があったようだから、真実は何でもありだよね。

  • 賛否が分かれそうだなという印象でした。。

    実際にあった元首相の銃撃事件をモチーフに掘り下げていくのですが、最初の令和と宗教団体のつながり以外は、妄想というか、少し陰謀論っぽくて、途中から飽きてきてしまいました…。

    ノンフィクションとして書くのであればもう少し事実の積み上げがあってほしいなと思いましたし、完全なフィクションでしたら更にぶっ飛んでほしいなという気持ちになりました。。

    なんとなくモヤモヤしてしまう読了感でした。。


  • 「この本はフィクションだが」と前置きした後、
    「しかし、とにかくよく調べているんだ」と、調べ尽くして書いている事に感心したから出版を決めた、と幻冬舎の社長が話しているのを聴いて読んでみた。
    虚々実々、どこまでが事実でどこからが作者の作り話なのか、、、

    あの事件直後、奈良医大のドクターの会見と、警察の遺体解剖後の会見を聴いて、私自身が感じた明らかな矛盾による違和感。
    真相を究明しようとした国会議員が、上からのあからさまな脅しを受けた、と暴露していた動画や
    音響専門家が、散弾銃以外に捉えた銃の音を警察に提出したが無視された、と話していた動画を視聴した現実が、この本がフィクションで有りながら、ノンフィクション?と納得させられる部分に重なった。

    「そもそも歴史は〝陰謀”の積み重ねだ。〝陰謀論”を否定することは、歴史そのもの否定することに等しい。歴史の真相をすべて、闇に葬ってしまうことになる。」と書かれてあったが、自分がいかに「作られた歴史」を信じて今日まで来たか、歴史を知れば知るほど、驚く現実に突き当たる事を考えれば、きっと、この事件の裏にも、とんでもない陰謀があるのではないか?と思える。

    しかし、この本では触れていないが、違和感しかない人物が写り込んでいる、あの事件の動画を繰り返し観ながら、、、私が立てているのは、この本とは違う仮説だ。

  • (audibleで聴く)
    参議選挙で起きた元首相銃撃事件を題材した小説です。
    昔の阪神朝日新聞社銃撃事件から元首相銃撃事件をつなぐかたちになっています。
    フィクションといえ、あまりにもリアルさがあって、聴いてぞっとしました。
    誰からこの話を聞いて書いたのではないかと思うぐらい、リアリティがある小説です。
    最後はあまりにもしっくりこないがありますが、これだけ聴いて奇妙な感じを覚えたのは初めてです。
    本当の闇を知るきっかけになります。
    #読書
    #読書記録
    #audible
    #読書好きな人と繋がりたい
    #暗殺柴田哲孝

  • 現実性と創造性に欠ける

    評価2.1
    audible 10時間20分
    kindle 352ページ

     誰もが記憶に新しい総理大臣の暗殺事件の描写から始まる。加えて昭和時代の新聞社襲撃事件、最近の令和への元号の変更など事実をベースとはしているが、ところどころ小ネタが挟まれており、どこからがフィクションなのかが分かりにくくて混乱する。願わくばあまり特定の思想の強い物語でなければいいなと思いながらの序盤戦。 
     首相と宗教団体の共倒れを狙って暗殺事件が計画されていく。どこかで聞いたような聞かないような話ではあるが物語としては序盤から出落ち感満載。そして暗殺の準備が着々と進められていくがこれも何か想像の範囲内で盛り上がりには欠ける。昭和時代の事件とのつながりがショボかったらただの駄作だと心配しながらの読書であったが、やはりイマイチ創造性に欠けるというか想像力のみというか夢中になれないストーリーであった。右翼の立ち位置なども今ひとつわからず、ただの曖昧な記事一つで記者が殺される理由もよくわからなかった。最後のシャドウもさっさと日本を出ればいいのに雑な仕事にやや呆れるし、物語の着地点もなんか曖昧。
     日本人であれば誰もが知る事件であると同時に言葉を選ばずに言えば、これほど主張を知らしめることに成功したテロリズムを他に知らない。それだけに小説の元ネタとしてはこれ以上ないものなのであろうが、今ひとつ生かしきれていない印象。どうしても人懐っこく演説も上手な元首相と宗教虐待の現実が思い出されてしまい物語に集中できなかった。

  • 実際の事件をもとにしたフィクション。単純に面白い。しかし事実、日本のメディアを信用してはいけないと思った。

  •  安倍晋三の暗殺に対する考察、背景を炙り出す。歴史的な時系列のプロットがきちんと抑えられている。フィクションと言いながら、限りなく現実に近いと思われる。いくつかの謎が最初に提起される。
     謎1、遺体から致命傷となった銃弾が消えてしまったにも関わらず、警察は深く調べることもなく操作を打ち切った。謎2、3ヶ所の銃創では、被害者を低い位置から撃ったものとは別に、逆方向の高い位置から右前頸部に着弾したものがあった。謎3、政府要人暗殺という重大事件であるにも関わらず、警察による現場検証は事件の5日後まで行われなかった。謎4、41歳の狙撃犯はその場で取り押さえられているが、動機や事実関係がほとんど明らかにされぬまま鑑定留置がなされ、以後の情報は半年に渡り遮断されている。なぜなのか?確かに、なんとなく不自然なことが多い。この謎を解き明かしていく。

     アメリカのように、トランプを銃撃した人間をすぐさま射殺すれば、その動機や事実関係は明らかにされないまま、闇に葬ることができる。なぜなのか?をなくすために重要だ。銃の規制に反対するトランプが銃で狙われるとは、アメリカの矛盾なのだろう。それにしても、元大統領の演説会に訓練されている軍隊が配置されてているのは、さすがアメリカだ。日本の警護の甘さが、今回のトランプ銃撃でも目についた。

     本書では、プロローグで、1987年5月3日朝日新聞阪神支局銃撃事件から始まる。一人の新聞記者が殺された。この事件は日本民族独立義勇軍別動赤報隊による犯行声明が出ているが、犯人は捕まっていない。から始まる。
     そして、日本皇道会の総裁である高野晃紀(このモデルが実在するか)が登場する。高野晃紀は政財界のフィクサーである。首相を暗殺することを計画する。高野晃紀は、令和という年号に対して不満を持ち、首相の祖父が韓国の統一教会の設立を認め、代々統一教会と仲良くしていることに、義憤を感じている。統一教会を通じて韓国に流れた金は、小国の国家予算に匹敵するほどの膨大な額となる。またトランプも統一教会を支持している。

     日本皇道会の高野晃紀、神道系教団の副総裁の山道、警視庁OBの戸塚、防衛省統合幕僚監部の倉田(いやはや、現役の自衛官が登場するのだ。今回の自衛隊の不祥事なんかも、よくわからないなぁ。)が集まって、統一教会にダメージを与えながら首相を禁厭(暗殺)すると会議をする。そして、オストワルド役として、統一教会によって家族崩壊した上沼卓也(山上徹也)が海上自衛隊繋がりで、ピックアップされる。そして、韓国にいたシャドウがプレチャージ式エアライフル(銃声がしない?)で、自衛隊の富士学校や北富士演習場で射撃練習をする。エアスラッグ型のアマルガム弾を使用する。なるほど、実にうまく構成された物語となっている。かなり、怖い話だ。ほんとに、フィクション?
     首相はビデオメッセージを出した。「朝鮮半島の平和統一に向けて長年にわたり努力されてきた開祖の故文鮮明氏、並びにUPF総裁の韓鶴子をはじめ、敬意を表します」それが、暗殺者の動機づけとなった。

     なぜ安倍首相は、撃ちやすいところの奈良県大和西大寺駅北口で演説したかから始まって、謎解きが始まる。推理小説の手法で、謎が解かれていく。一ノ瀬という記者が調査を進めていく。
     著者はいう。オリンピックの本来の目的は金だ。スポーツのためだけではなく利権を持つ政治家や組織委員、大手広告代理店などの利益のために強行される。コロナにおいても、利権が人命にすら優先される。ふーむ。結構鋭いなぁ。この著者の本は、読んでなかった。読んでいいかなぁ。それにしても、幻冬舎はよく出版したなぁ。

  • なかなか感想を言葉にするのが難しい小説でした。つい、現実の事件と比べてしまい、実際に起こった出来事の方が(決して美化するつもりはありませんが)よりドラマチックに感じてしまいました。
    多くの人がどのようにこの作品を受け取ったのか、とても気になります。

  • 本当に“彼”が元総理を撃ったのか? 真相は、1人の記者の矜持が明かすのか、闇に葬られるのか-。日本を震撼させた実際の事件をモチーフに描くサスペンス。

    安倍元総理暗殺事件に材を取った作品だけに、謎の多いあの事件の真相に少しでも迫るのかと思ったら肩すかしだった。令和のこの時代に右翼の大物老人の実在は信じ難く、暗殺の動機の薄っぺらさにもがっかりした。
    (C)

  • 日本全国、いや全世界に衝撃を与えた安倍元首相銃撃事件。
    新聞記者の私は、あの日のあの時間、校了が迫りゲラの校正に追われていました。
    ニュースで事件の一報を受け、校正が手につかなくなったのを覚えています。
    本作は、その事件を材に取ったフィクション。
    フィクションとは言い条、登場人物の大半は実在の人物で、実名で出てくる人もいます。
    ハードカバーで381ページですが、巻を措く能わず1日で読了しました。
    いや、これは、すごい。
    元首相を銃撃したのは、宗教団体に恨みを持つ若者。
    ここまでは事実と同じですが、その裏に「真犯人」がいるという設定です。
    しかも、事件の裏で右翼団体、公安、警察がリアリティーを伴ってうごめくのですから、ページを繰る手も止まらなくなるというもの。
    安倍元首相銃撃事件が、過去に起きた朝日新聞阪神支局襲撃事件などとつながってくるというのに至っては唖然茫然。
    著者の想像力のたくましさに、ただただ脱帽です。
    しかし、よくもまあ、ここまで調べ上げたものです。
    著者の作品は、「下山事件 最後の証言」をかなり前に読み、歴史資料を渉猟する著者の胆力に感服しましたが、本作でも健在。
    それが本作のリアリティーを支えています。
    「令和」に、あんな意味があることも知りませんでした。
    それにしても、本書を読了後、これまで日本で起きた未解決事件の裏側を想像すると背筋が寒くなります。
    日本は本当に安全な国なのか?―
    夏休みにぜっひ読んでほしい1冊です。

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著者プロフィール

1957年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンから作家に転身し、現在はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍する。パリ〜ダカールラリーにプライベートで2回出場し、1990年にはドライバーとして完走。1991年『KAPPA』で小説家デビュー。2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラー作家となった。他の著書に『DANCER』『GEQ』『デッドエンド』『WOLF』『下山事件 暗殺者たちの夏』『クズリ』『野守虫』『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』『ミッドナイト』『幕末紀』など、多数ある。

「2021年 『ジミー・ハワードのジッポー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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