日本の政策はなぜ機能しないのか?~EBPMの導入と課題~ (光文社新書) [Kindle]

  • 光文社 (2024年7月18日発売)
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  • 医療が相手にするものと比べて、行政が相手にすることは更に複雑さがあり、エビデンスの取り扱い方が難しそうだ。
    EBPMからEIPMの潮流もそんな感じなのだろうな。

  • 臨床医としてEBMを重視しその適用に毎日苦戦し、また博士過程にてエビデンス作成の過程も経験した人間としては日本の現状の政策形成過程のレベルの低さとエビデンスを実際に政策に落とし込む難しさは読みながら痛いほど感じました。
    厳密なRCTが比較的行いやすくまた外的妥当性もある程度担保しやすい医学という分野ですら、個々の患者に最も効果の高い治療戦略を立てるため、玉石混交の論文の中から質、適切性、選択の厳密さなどを担保しながら選び治療に落とし込む作業は非常に難しく、Artの側面を少なからず持ちざるを得ません。
    そしてまた、医師の中にも外的妥当性を過剰に低く見積もりエビデンスでなく経験を重視するEBM嫌いが少なくないのも事実です。カーネマンがFast&Slowにおいて紹介しているように経験を通した能力の強化は再現性が高くかつ数時間〜数日など短いサイクルで繰返されるものにしか適応されないにもかかわらず、数週間〜数年後の予後をコントロールするような治療を経験に基づいて行うという全く非科学的で患者の利益にも反するようなことを平気で行っている医師は、残念ながら少なくありません。

    比較的それを実現しやすい医療という分野で、教育を受けたはずの医師ですらその体たらくですから、本書の扱うはエビデンスの質の担保も難しくまともな教育すら存在しない分野である以上かなり困難な道と言わざるを得ませんが、きちんとEBPMと呼べるような手続きが日本で普通に行われるような未来を願いたいです。また、読みながらハッとさせられたのが、EBPM自体は政治指針を決定するような使い方は基本的に想定されておらず、政治哲学をもとにした政策の方向性の決定は必須であるということです。課題は山積みですね。

  • EBPM(エビデンスに基づいた政策形成)について書かれた本で、その名の通り日本の政策決定の過程や評価方法、エビデンスの関係などについて解説されている。

    印象的だったのは政策評価についての部分で、本来有効性について評価するはずが効率性に重きをおいて注目されるようになってしまったということ。

    これは何にでも言えることで、有効であることは効率的であることだけを指すものではないはずなのに、それが目に見えやすいからなのか簡略化や分業などで効率性だけを求めがちになることが多いように思う。

    また、代議制民主主義など現状の仕組みの問題点からエビデンスを利用した合理的な政策の意思決定を提案していて強く同意する。

    もちろんデータがすべてとまでは思わないが、誤りはなくても意図的に誤解するような資料を停止するなどで政策とエビデンスがよい形で結びついていないのがいまの日本の政治の現場だと思う。

    仕組みの変更には時間が掛かるだろうが多くの国民が納得できるようなエビデンスに基づいた意思決定を望む。

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著者プロフィール

京都大学大学院人間・環境学研究科 相関環境学専攻博士後期課程を経て、岩手県立大学総合政策学部 講師

専門分野:公共政策学

「2023年 『〈京大発〉専門分野の越え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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