なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか (ホーム社) [Kindle]

  • 集英社 (2024年9月26日発売)
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本 ・電子書籍 (175ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 多くの意見に、協調的に溶け込むことができるニューロ・マジョリティ。
    自らが自閉スペクトラム症、注意欠如多動症と診断された文学研究者が、トーベ・ヤンソンの作品、ムーミンシリーズを分析し、トーベ自体のニューロ・マイノリティ性と、作品、登場人物に現れるそのマイノリティ性を提起している。

    ニューロ・マイノリティには様々な性格があるが、てんでバラバラで自分が興味を引く事柄に拘泥し、通知表には「落ち着きがない」と書かれそうなムーミンの登場人物達。昔からムーミンに惹かれ、その登場人物に自分を投影してしまうのは、キャラクターが可愛いという理由だけではなかったのかなと気づく。
    昔は、マイノリティはその性癖を隠し、マジョリティの一員として過ごすことが求められてきたと思う。よほど強い人でなければ、自分を押し殺すことが。
    多様性を認める世界において、それを自ら認めて、自由に過ごしても良いのかもしれない。

  • まず、「神経発達症」という言葉を知ることができたことが収穫だ。
    特性を障害と定義することに強い違和感があったから。
    語られる言葉が、私にはない立ち位置からのもので、その位相から届けられた説明に納得感がある。
    ネットの情報に知らず知らず慣れて、好みの傾向に偏って届けられる情報におぼれていたことに気づく。
    そうだった。
    読書は、こんなふうに、新たな視点をくれたり、解きほぐしてくれたりする経験だったと思い出すことができた。
    ムーミンをこんなふうにも読むことができるのかと、興味深かった。
    たくさんの人に読んでもらえるといいなぁと思う。

  • 自分が心地よくいられる場面を思い出しながら読んだら腑に落ちるところがあった。おもしろかった。ちょっと自分とは意見が違うかもと思いながら読むところもあったけれど、それはそれで人と意見を交わしながらムーミン小説を読んでるような気持ちになれたので楽しかった。

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著者プロフィール

京都府立大学文学部准教授。1979年、大阪市生まれ。博士(文学)(京都大学)。専門は文学・当事者研究。著書に『信仰から解放されない子どもたち――#宗教2世に信教の自由を』(編著、明石書店)、『発達障害者は〈擬態〉する――抑圧と生存戦略のカモフラージュ』(明石書店)、『アダルトチルドレンの教科書――回復のメタメソッド』(晶文社)、『酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話』(松本俊彦氏と共著、太田出版)など。

「2025年 『「ほどよく」なんて生きられない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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