下町サイキック [Kindle]

  • 河出書房新社 (2024年7月18日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 他の小説と違い独特な言い回し(~と言った)などが逆に味があっていい。不思議な体験や他の人の感情を垣間見つつも、家庭でも周りでも結構揉め事が起きているのに淡々と暮らしていく主人公はよかった。
    話は面白かった。ちょっとえ?と思う点はあるけど

  • 目に目ないものが見えるキヨカと関わるご近所の人たち
    少々厄介なことがあったりしてもキヨカがその人たちと
    関わり自分の持っている能力で助けになってあげたりしていることが
    現実の世界ではなくどこか現実ではない下町の世界なのかなと思いました
    不思議な感じでした

  • オーディブルにて聴了。
    久しぶりの吉本ばななさん、やっぱりこの空気感が好きだなと思いました。
    下町の淡白でゆるやかな人間関係と、サイキックな感覚が自然に混ざり合っていて、どこか懐かしく、でも新鮮でした。

    過剰に感情を揺さぶるのではなく、日常の中でじんわりと回復していく描写が心に残ります。餃子を包むシーンなど、とてもよかったです。

    主人公が特殊能力を持ちつつも、普通の女子中学生として大人に保護されていて、彼女自身もそれを自覚している健やかさも良い。
    キャンディキャンディと並んでハチミツとクローバーが言及されているところ、ハチクロも古典になったのかと笑えました。

  •  娘がある程度大きくなって妻と離婚し、別の女と済んでいた父が自殺未遂を起こし、病院へ入院した時本当は複雑な心境のはずの娘と妻が死ぬ前に会っておきたいと言う事で見舞いに行った事から少しだけ仲直りするきっかけが出来たり、 すでに死亡しこの世に体は残っていないが未練が残っていて 成仏できない女の人と主人公が出会ったことがきっかけでその人の家に線香をあげに行く話など様々な優しさが描かれた 物語でした。

  • なかなか判断がむず浮かしい感じ。人物の描写としてサイキックなところがるのは違和感なくよめたけど、サイキックだけの描写になるとしんどい感じ。好みがわかれる小説。最初に出てきた時も不思議な小説を書く人だと思ったけど、だんだん慣れて、よくなってきたからなあ。

  • この本を読んで、
    「面白くないな・・・」と思える人のほうが、
    この世の中は生きやすいのかもしれません。


    最初の問いかけ然り、
    けっこう直接的な文章で書いてるな、と
    感じることが多い小説でした。

    うまく表現できないけれど、
    著者の書き方が変わる境目はいつもこんな感じだと
    個人的には捉えているので、そういう時期なんだろうなと
    勝手に推測しています。

    p.146
    「これからの時代は、私たちみたいな『大人子ども』でいっぱいになっていくんだと思う。それが進化か退化か、だれにもわからないけれどね。」

    やっぱり、そう感じている人はいるんだ。


    下町のような関係は、時代とともになくなってしまったかもしれないけれど、
    今の世の中にはインターネットというそれとは比べ物にならないくらいの人と繋がれる世界に生きている私たち。

    玉石混淆だから、気をつけないといけないけれど、
    広い世界の中でのびのび、思いっきり息のできる場所が絶対あるから。


    家族だからって一緒にいなきゃいけないわけじゃない。

    血の繋がりがないほうが、心で深くつながれることもある。

    そしてきっと、これからの世の中はそうなっていく。

    合わない場所にいることほど、不幸なことってない。

    キヨカちゃんにとっては、下町で一生を過ごすことが幸せ。

    生まれ育った地元が合わなかった私は、これからも自由に生きていきたいと考えさせられる、下町物語。

  •  
    ── 吉本 ばなな《下町サイキック 20240718 河出書房新社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B0D97FCFDM

    …… 中学生のキヨカと、近くに住む友おじさん。人間の精神の肌合い
    といったものを考えさせる作品集。今月のもう一点(写真:読売新聞)
     
    (20240829)

  • 人の色々なものが見えてしまう少女。
    そんな彼女の周りの人々との暮らしを、彼女の不思議なチカラが少しずつ色を変えていく。
    サイキックなのに清々しい。
    そんな物語。

  • 「十年後くらいに読むとちょうどいいかもしれません」とあとがきで著者が述べているように、たしかに新しい小説だと感じる。その新しさとは文体や構成のことではない。まして流行のAIやDXを扱っているわけでもない。では何が新しいのか。それは人間の可能性について、また人と人との関係の可能性についてではないか。装丁がとてもかわいらしい。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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