霧をはらう(上) (幻冬舎文庫) [Kindle]

  • 幻冬舎 (2024年8月8日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 先の読めない展開が面白い。まずいきなり衝撃の事件が発覚し、まさかの人物が捕まる。それに巻き込まれる家族は苦労しながら人生を歩む。時を経て、あの事件の真相について調査を進めていくことになる。「下」も楽しみに読みます。

  • ☆4.1
    この巻は読むのが辛い。こういう、ものかたりもあるのだ。
    人は見たいものを、見たいように見る。という言葉が、とても納得のいくものかたりである。

  • 母親が病院内の事件の犯人として逮捕されてしまった、その娘の物語。
    上巻は導入という感じで、母親も少し不気味な雰囲気で描かれています。
    事件が起こってからジェットコースター的に転落していく主人公の人生に心が痛みます。
    暗い展開が多いですが、先が気になって一気に読み進めました。

  • オーディブルにて。
    殺人事件なのだが、弁護士が主役のため犯人探しよりも被疑者弁護の目線で進む。
    こういうちょっと変わったおばさんっているよね、というレベルではあるが、その人の周りで事件が起これば真っ先に疑われそうなレベルでもある。絶妙に怪しい。娘にすらそう思われてしまうのが悲しい。
    一方で、警察ってそんな雑な捜査や取調べするのかなーという気もした。

  • 古溝病院の小児病棟で起きた点滴殺傷事件。4人の女児の点滴にインスリンが混入され、2人の幼い命が奪われた。物証がないまま逮捕されたのは、生き残った女児・紗奈の母親・野々花。
    献身的な看病の一方で、周囲との軋轢も生んでいた彼女は取り調べで自白するが、後に否認する。
    野々花の長女(紗奈の姉)由惟の視点と、弁護士の伊豆原の視点とで描かれており、特に実の母を信じられず、嫌疑の目で見る由惟の心情が痛ましい。

    作中の「人を信頼できるのは持って生まれた才能だろうか」の問いが、その辛さを物語っている。

    下巻は、一転、冤罪事件の証明へと展開していく。

  • 色々と胸がつまる。このお母さん苦手なタイプだけどこうなると可哀想だし、長女と次女のコントラストもストーリーにメリハリ与えてる。主人公の弁護士もいい人。後半が気になる。

  • 下巻に期待。わたしも伊豆原と同じペースで疑いを持ったままじりじりと事件と向き合っています。霧に覆われたまま。途中霧の意味を知り、タイトルが素晴らしいなと思いました。

  • ただ、ひたすら主人公がカッコイイ。絵に描いたような好人物だが、それを差し引いてもなお。

  • Audibleにて
    最初のページから引き込まれて聞いた。聞き進めて行くうちに早く次の展開が知りたいと思うようになった。下巻も期待する。

  • 上下巻終わったあとの感想です。楽しく読めました。
    娘の気持ちの移り変わりや、看護師たちとのやりとりの中でジリジリと事件が進んでいく感覚はじっくり楽しめました。

    反面、次々に犯罪が起こるわけでも、真犯人にものすごい過去やトラウマがあるというわけでもなく、弁護士としての法廷でのテクニックで無罪まで詰めていく感じで爽快感はあまりありません。

    キャラクターも伊豆原弁護士は事務所付きでない破天荒さや一匹狼さを期待したが、真面目すぎるし主人公補正がかかってた。そうじゃないと物語が真っ直ぐ進まないから仕方がない。むしろ益田のほうが結果的には弱さがあって人間的に同情できた。

    母親のキャラクターもいまいちピンと来なかった。周囲を苛つかせたりどこか他人事なところがあり、自供してしまったことは仕方がないという意味で良いが、強く否定したり主張するだろう。

  • オーディブル試聴。
    とにかくめっちゃ面白かった。冤罪で逮捕された母親を弁護することになった弁護士が主人公なんだけど、上巻ではその母親の娘視点の描写も多くて、それがまた辛い。早く解決してくれ…と願いながら読むくらいに。割と淡々と丁寧に状況証拠を集めながら進んでいく物語だけれど読むのが止まらなかった。
    母娘に辛くあたったやつザマアミロ!みたいな展開ではなく切々と上品な語り口でよかった。
    あとオーディブルでは朗読が安達祐実さんなんだけれど、ものすごく上手かったのでびっくりした!

  • オーディブルで視聴
    安達祐実さんの朗読が素晴らしく、上下ともに最後まで楽しめた。

    小説やドラマ、映画の中でしか「冤罪事件」というものに触れたことがないが、この本を聴読し最初に抱いた感想は

    人は嘘をつく
    でもその嘘も本当も、当事者しか知り得ない

    ということだ

    当然小説という物語だからこそ、登場人物のそれぞれの心情が文章となり読み手の私たちは彼女らの心のうちを知ることができる。

    現実はどうだろうか?
    自分自身以外、「ほんとう」を知っているものはいない。

    世の中に小さいものから大きなものまでたくさんの事件が溢れていく中で、事実を探し出し立証していくことの難しさ、必要さを実感した。

    タイトルとなっている「霧」
    誰もが皆霧の中に生きている。
    それは自分以外の他者の本心を知る術はないからである。
    実の親子でさえ、信頼を確信を持って得るのは難しい。他人の意見に左右され、私は間違っているのかもしれないと疑う。

    本書の中に
    「人を信頼できるのは持って生まれた才能だろうか」という問いがある。

    この手の才能はあると思う。
    そして、その才能を持って生まれたものは幸せだろうなとも感じた。

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  • 〈古溝病院〉の小児病棟で起こった点滴殺傷事件。女児たちの点滴には糖尿病治療に使用するインスリンが大量混入していて、二人が死亡する、という痛ましい事件で逮捕されたのは、生存した女児、紗奈の母親である野々花だった。
     彼女は他の女児の母親とのトラブルがあり、それを動機として、取り調べを受け、自白してしまう。その後、無罪を訴える彼女に、弁護士の伊豆原は関わっていく……というのが、物語の導入。伊豆原の視点と野々花の長女である由惟の視点が交互に語られ、飽きさせない展開でスピーディーに進んでいく作品で、法廷ミステリとしてはもちろん、世間からの容赦ない敵意に心を閉ざしていた由惟が、一歩、足を前に踏み出していく物語としても印象的でした。
     サブエピソードとして由惟と伊豆原が関わることになる痴漢をめぐる事件がそのきっかけのひとつになって、そして物語の本筋とも大きく関わっていくのも、大変好きでした。

  • 素晴らしかった。先が気になって、読む手が止まらず。ひとつの事象でも、捉える人、捉え方によって語られる内容が大きく変わってしまうのが恐ろしい。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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