文藝春秋2024年9月号[雑誌] [Kindle]

  • 文藝春秋 (2024年8月9日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 第171回芥川賞。今回受賞の2作品は、ベテラン作家の書かれた安心感の感じる中にも、純文学らしい個人の内面を暴き晒す部分もあり、読んでいてわくわく感もあるものでした。そこが良いともいえるのですが、芥川賞を読む時の独特の緊張感、先の読めなささというものが欲しいという欲が不完全燃焼となってしまいました。難しいのですが。
    「サンショウウオの四十九日」。1個の肉体を共有する姉妹からみた生活や世界。1個の肉体から分かれ取りだされた兄弟の、それぞれに対する本音への興味。周囲から見れば、その生き方や感じ方について興味津々といったところでしょうが。当事者にとってはそれは現実で、それで生きてきた当たり前のこと。そんな独特の世界と感性について伝えることなど不可能に近いことについて、ここまで読みやすく、面白く書かれていることに驚きます。誰の言葉なのか、誰の感覚なのか、そのうち分からなくなっても、それでも違和感なく読ませるところに、個々のアイデンティティってそんなに心配するものではないのだとさえ気付かされます。
    「バリ山行」。このような言葉があることを始めて知りました。決まった行程から外れるバリエーション。登山における別行程の危険さと面白さを描かれています。同時に主人公の所属する会社の危機的な混乱状態の描写とも相まって、人間も大きな自然世界に住んでいて、そこには決まったレールなんて無いのだと知らされます。そのことは、バリ山行と同じように、面白く魅力的ですが、危険なもので心れるような世界であることも知らされます。いま生きている世界に対する向き合い方について考えさせられました。

  • 芥川賞受賞作

    ・『サンショウウオの四十九日』
    精神世界を描くところに芥川賞らしさを感じる。徹底的に二面性について掘り下げながらも、どこまでもグレーな存在である主人公のキャラクターが魅力と感じた。
    主人公は神奈川県に住む。

    ・『バリ山行』
    疑問視していたら、その沼にハマってしまう系の話はよくある。本作の何が特筆しているのか、と考えながら読んだ。
    全体的な読みやすさもさることながら、主人公が抱える不安が徹底的に現代的なことへの共感力か?という印象。もう一度読んで考えたい。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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