二人一組になってください [Kindle]

紙の本

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 双葉社 (2024年9月19日発売)
3.39
  • (12)
  • (26)
  • (34)
  • (7)
  • (5)
本棚登録 : 360
感想 : 26
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・電子書籍 (320ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 前作の『みんな蛍をころしたかった』でも思ったが、木爾氏は若者の闇の思いを表現し且つ善悪を表現するのが非常に巧い。
    今作品も決して現実的ではないデスゲームの中に学生それぞれの背景をしっかり表現しつつ、嫌な奴は徹底的にダークな部分が表現される。その表現が適度なページ数で展開していくので読んでいてもテンポが失われない。
    先にも書いたがこの作品では、ゲームの仕掛け人である鈴田先生の背景があまり書かれておらず、ゲーム中にも全く出てこないので失格となった学生が死を向かえる過程等かなり現実離れしている。その辺をあまり気にせず読み進めていけるほど引きつけるストーリーであった。きっと登場する学生達の言動がよりリアリティがあるからなのだろう

    最後に少しは救いがあるのかと思いきや全くありませんでした。

  • 「二人一組になってください」。よくあったよね。いじめてもいじめられてもいないつもりだけど、正直、あまり好きじゃなかった。
     初めての著者だけど、読み出したら、先が気になって、一晩+朝で一気に読み切ってしまったけど、読後感がなんとも。。。

  • タイトルが秀逸。気になって読んでみました。
    とある底辺高校。
    とあるクラス。
    二人一組になるときに常に余ってしまう生徒。
    クラスにはスクールカーストがあり、自然とカースト内でしかグループを作らないJKたち。
    冒頭は、このクラスで起こっていることに視点が置かれる。
    果たして、二人一組になれない余りものの生徒は、いじめられている側なのか?
    スクールカーストものらしく、仲良しに見える人たちが実は…という様々な人間関係の形が興味深い。
    かと言ってドロドロもし過ぎておらず、非常に読みやすい。
    デスゲームのルールもシンプルであるけれど、パニックになって何も考えていないと死んでしまうという、ちゃんとしたゲーム性もなかなか面白い。

    死に方もいろいろで、現実離れしているため、真に迫って読まなくてよく、変な言い方だけど、フィクションとして捉えられる。
    そのため、ライトな読者層にお勧めできる作品だと思う。

    次々に視点が変わっていくのが面白く、視点が映るとその人物の過去や内面が浮かび上がる。
    何人もいるため飽きてしまうかと思ったが、割とすぐにお亡くなりになるため、ダレずに読めた。

    それぞれがカーストのなかで、なぜその地位なのかも説明されており、女子高生大図鑑的な面白みもある。
    名前も規則性?がありそう。

  • 面白かった!
    イジメを通して女性(人間)の醜さを描きたかったのか女性(人間)の醜さを通してイジメを描きたかったのか。
    立読みのさわりの部分でこういうの好きって感じで買ったがなかなかハードでしたね。
    醜さだけでなく友情や希望も描かれてるのは救いがあります。

  • これはすごい。
    こんなにゾクゾクとさせられたのは久し振りだ。
    底辺女子高で突如として始まったデスゲーム。
    クラスの女子が次々と息絶えていくのだが、一人一人にバックグラウンドがあり、最後の瞬間に至るまで哀愁が漂っていた。
    作中のデスゲームのルールが理解できたあたりから、最後はどうやって終わらせるつもりなのだろうと考えていたが、なるほど、そういう締め方で来たかと感心した。
    とにかく、この作品は読んで損はない、そして次回の本屋大賞も狙えるのではないかと思っている。


  • 話題書!
    気になってたのでオーディブルで聴きました

    バトロワなんだけど
    女子校なせいで
    よりドロっちぃ感じでした
    そこがとてもよかった!

    さっぱりしたケンカとかではなく
    お互い思ってることたくさんありながら
    表では仲良く接するあの感じ。
    あー、女子だわ…とゾクゾクしながら読了です

    エンディング、
    なぜそうなったんだ…
    と疑問の余韻に浸ってます

  • そういえば「二人一組になってください」って、最近言われたことないな。
    そんな遠い記憶を探るようにして、読み始めた。

    ある女子高の卒業式の日。担任の教師が告げたデスゲーム開始の宣言によって、二十七人のクラスは阿鼻叫喚の渦に落とされる。きっかけはこのクラスにはびこっていた、いじめだ。まるで、亡霊のように存在を無視されるいじめ。たとえば、体育の授業で、「二人一組になってください」と言われた時、必ず余るような。誰も話しかけない。誰も見ない。そんないじめを止めようとしなかった罪。無意識レベルで加担していた罪。それを今からあなたたちは償うのです。二人一組になって手をつないでください、誰ともつなげなかった人は失格。失格した人は卒業式には出られません。
    今までいじめられていた美心という生徒は死なないような特別ルールがあり、それ以外の生徒は余ってしまったら胸のコサージュが原因となって死に至る。同じ人とは手をつなげない。なので、最終的には今までいじめていた美心とも手をつながないと生き残れない。そして、誰とも手をつなげないという状況がどんなに絶望的なものなのかを、誰もが味わうことになるという仕組みだ。

    上手く考えられているなあ、と思う。
    ネタバレをしてしまえば、この話ではなぜコサージュから色んな仕掛けが出てきたのか最後まで明かされないし、担任の教師以外のどんな黒幕が関与していたかも明らかにならない。ただひたすら、少女たちの友情の形を描く物語になっている。
    命の瀬戸際のぎりぎりで発露する隠していた想い。友達のふりをしていたけど、実は憎かった。実は邪魔だった。友達ではなかったけれど、命より大切だった。さまざまな想いのバリエーションが披露される。

    作者は美心を救おうとはしていない。だって、救われないでしょ。こんな経験して。
    こんな地獄があった。その思い出を抱いて、自分で自分を救うしかない。
    自分を救えなかったパターンとして、作者は最後に花恋のエピソードを入れているのではないか。花恋の心はまだかつての地獄に囚われている。だから、同じゲームを同じ卒業の日に仕掛けようとしている。本当にいじめられている生徒を救おうとするなら、卒業式まで待ってはいけない。この地獄を経験させてはいけない。
    描かれていない美心がどう過ごしているのか、とても気になるラストだった。

  • チレンさんの本は今作で2作目。やはり美少女とオタクは大体の小説に入っててチレンさんの過去にもそういう衝撃があったのかな、と思います。デスゲーム、上下関係、カーストなど目を引くようなキーワードにつられる方も多いと思いますが、今作の終わり方はかなり良かったと思います。無駄に長々とせずスッキリしていて呼んだ後も「ほーん」って感じで終われました。
    私はもう少し勝音ちゃん視点の描写や花恋ちゃんの過去を知りたかったです。あとスノードロップをもう少し詳しく入れてほしかった気持ちもあります。
    みんな「虐めを自分はしていないと思っていた」など言っているようですがそこは私は理解できませんでした。人を無視しているとか正直下の下がやる行為だと思っていたのでそれをしている人が日本に多いとこのレビューで知れたのはびっくりするような収穫で周りの環境の良さを自覚しました。
    日本は陰湿な虐めが多いと思いますが正直見えづらい虐めなので無くすのは難しいと思います。だけどそれが無くなればいい、と最終的には鉄板のことを思える一作でした。

    人を一度でも故意的に集団で無視したことある人は最低です。これを聞いて言い訳をもし思い浮かべた貴方は読んだ方がいいですよ。

  • 「二人一組になってください」
    卒業式直前に突如始まったデスゲーム。
    二人一組になれなかった人は、失格になる。
    果たして生き残るのは…?

    表紙買いした一冊。買ってよかった。面白かった。
    デスゲームという恐ろしい舞台で、ただ死ぬのではなく、そこに尊さが見える。
    決して美しいものではないし、もっとやり方あるだろうと思うが、人への接し方や友情について深く考えさせられる作品であった。
    彼女達と同じ年齢の時に読んでいたら、行動が変わっていたかもしれない。

    読書中につけたメモ。
    ○儚い…。怖いと寂しいが渦巻く…感情ぐちゃぐちゃなるって!!!
    感想を率直に表すならこれに尽きる(笑)
    舞台になっている場所が身近で、途中に出てくるコンテンツ類があまりにも世代すぎて、よりリアルに想像できてしまい、かなり揺さぶられた。

    高校時代、どんな科目でもペアを作る時は大体出席番号順だったため、この女子高みたく「生徒が余る」なんてことは起きなかった(他のとこでも同じかも?)。
    しかし、「二人一組になってください」と言われた時には間違いなく自分が…考えるだけで暗い気分になる。序盤で尽きていたどころか、話題にも上がらない可能性が…

    教材にするにはかなりヘビーであるが、中高生にも教師にも読んでほしい。
    こんな形で余ることないように、(余ってもそれが正当な範囲で済むように)、どうにか工夫して欲しい。
    加害者側は、「余っている」と気付く人になってほしい。
    被害者側は、こうやって救われる日が来るかもと、希望を捨てないでほしい。
    (なんなら、この作品と同じこと起こっても私生き残れるかも、と思ってもいい)

    過去の戒めも含まれるが、自分も気付く側の人間になりたい。
    完璧には救えないかもしれない。一回きりになるかもしれない。
    それでも、その一回があったおかげで救われることを信じてやまない。
    いつか接する子供にも、そう教えてあげたい。

    結末については、美しさと恐ろしさのバランスを取るためだと思い、個人的にはアリ。

  • デスゲの香りを嗅ぎつけ、読破。
    好き系ジャンルなこともあり、内容自体テンポよく感じてさくさく読めました。
    が、こんなリアリティなテーマが根底にあるとは思ってなくて、あぁ( ; ; )なんとも言えない気持ちになった。
    自分自身、同じ年の子がほぼ強制で集う学校というものには、良い思い出もあるはずなのに、悪い思い出が先にいろいろ出てきてしまう。
    それは私の小さい器な部分が出てるだけなのかもだが。

    なんとなく、日本の実写映画を観てるような感じでずっと読めました。映像な文章って感じ。
    デスゲ系に抵抗なくて、読む本困ってる人いたらおすすめしたい。

    ただ、コサージュの謎とか、うりんのスマホは残ってないはずなのに、なんで動画あるかとか…?
    あと花恋と美心がデスゲを繰り返してる理由もちょっと。今度は完全生配信で、見せしめとかの意味はありそうだが。
    うーん。理解不足?
    久しぶりに2度読みしたけど、補完の一編が欲しいなあ。
    ともあれ面白かったので、久々感想と星4で。

  • 卒業式前に突如始まったデスゲーム。

    友情は本物なのか?
    嫉妬、裏切り、憧れ
    クラス内のカーストは崩壊していく…

    本当に自分はいじめていないのだろうか?

    果たしてそれはなんの悪意もないのだろうか?

    誰もがそれぞれの哀しみを抱えながら生きている。
    被害者も
    加害者にならざるを得なかった者も

    立ち位置によって感じ方が異なるだろう。
    とても恐ろしく、それでいてとても大切な物語だ。

    文中に度々出てきていた『無自覚の悪意』
    これがとても的を得ていて、表現の仕方が素晴らしかった。

    周りを見てみれば、二人一組になる場面はよくある。
    これは学生だけの問題ではない。
    大人になっても人と関わっていく上で切っても切れない問題なのである。

  • 自分はいじめをしたことがないと思っていました。

    しかし、本書で書かれている1人1人の世界を読んで、誰かを傷つけるわけではない自分の行動も、誰かの苦痛になっているのではないかと思いました。それは、ひどく理不尽なことのように感じたのですが(そういった場合もたぶんある) 、自分の傲慢さでもあると思います。

    自分がもう少し世界を広く見れていたら変えられるものがあるのかもしれない。そう思って生きていきたいです。


    最後の章が会話だけで構成されていて、最後に ーみんなが一斉に私を見た。 と言う文章がありました。今までの章に倣えば、私とは特定の生徒を指していることは明らかなのですが、花恋がゲームを行おうとしていることに衝撃を受けたり、 私 の心情が書かれていないことで、一瞬誰のことかわかりませんでした。

    作者さんに表面上のことだけに気を取られて、無意識に人を傷つけているぞと言われた気がしました。

  • 女子中高生にはうける内容かもしれない。
    いじめやカースト
    もう少し特定の子の内面を照らして欲しかったし、デスゲーム的なのももう少しドキドキさせて欲しかった。
    ただ、この時期のちょっとした上や下という女子の力関係をよく描いているとは思った。
    軽く読めておもしろい。

  • 小学生のとき流行っていたデスゲームものと同じ系統の本。
    ご都合主義の謎ギミックによる理不尽な死が登場人物を待ち受ける。
    登場人物の心理に重点を置いているのだとは思うが、ミステリーとして読むとがっかりする。

  • 1日で一気に読んだ。
    一人一人の物語が分かり易くて背景も想像しやすかった。
    いつの時代も「いじめ」はなくならない。
    これも一つの方法。

  • 二人一組デスゲーム。
    友達とは何か考えさせられた。
    人生においては数人親友と言える人がいればそれで良くて、ランダムに割り振られたクラスのみんなと円滑な人間関係を築くのは難しい。

  • 女子高生たちの心情サスペンス。子どもが読みたくて買った本を後から私が読むスタイル。思春期真っ盛りの少女のスクールカーストを取り巻く環境と心情にヒリヒリする。面白くはあったけど、怖いものはもう好んで読む歳じゃないので、再読はないかな。10代には刺さるかも、でも希望を持って欲しい。

  • 面白かったイッキに読んじゃう。
    でも最終章は無かったほうが良かったかな何で入れちゃったんだろ?

  • ●スクールカーストあるある
    ●見て見ぬふりは目に見えないイジメではあるものの、全員が罰の対象になるのは過激
    ●醜悪さと美しさの両側面がある

  • リアリティ無視のとんでも設定下で繰り広げられるサバイバルゲーム。
    生徒一人一人のキャラ設定とドラマ、その考察・構成は大変な作業であったと思われます。しかしながら特に新味の感じられない結末には落胆させられました。

全24件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

木爾チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木爾チレンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×