インサイト中心の成長戦略 [Kindle]

  • 実業之日本社 (2024年9月19日発売)
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  • 著者自身が事業家であり、上場や売却経験もあり、投資家でもある。経験値がずば抜けているからか、本質的かつ腹落ちできる内容が多岐にわたった。
    事業創りの本としては、別格といえる良書。

    本書では一貫してインサイトが大切だと書かれている。会社目線ではなく、顧客を見なさいという意味である。インサイトに基づかない事業創生に対する警鐘は、事業家としてわかりみが深い。

    最終的には、「色々言ったけど、長期間にわたって情熱的にやり抜ける」ことが競争優位であり実業家の条件という主張があり、事業の立ち上げに関わっているものとしては「ほんそれ!」と勇気づけられる1冊でもある。

    ‪▼‬企業の能力獲得
    企業は、自社の能力に強烈に制約されている。その制約条件を見極めて、事業領域を定める必要がある。

    そして、能力獲得は非常に困難である。大きな事業を始めてから能力獲得を急ぐことは困難であり不確実性が伴う。新たな能力獲得を習慣としていなかった企業は、特にそうで、能力に見合わない事業はうまくいかない確率が高い。
    逆に言えば、企業は日常的に能力獲得を行うことができれば、常に自社領域を拡大させ続けられる。
    これを実現するには、常に新規顧客層の開拓、新商材の投入、小さい新規事業の挑戦を習慣として続けるべきである。企業も人も、様々な事業に挑戦するなから、様々な能力が開発されていく。

    そしてそして、なんだかんだといいながら、リスクを取って能力急拡大をさせた事例もある。
    メルカリやビズリーチのように当時は不確実性が高かったTVCMに10億以上投資して、TVCMの能力を獲得した。
    ということで、この話、非常に難しいし矛盾をはらんでいる。その矛盾が...良い!矛盾を乗り越えないと成長などない。

    大切なのは、企業は日常的に能力獲得を行うべきであること。
    常に新規顧客層の開拓、新商材の投入、小さい新規事業の挑戦を習慣とすべきであることである。

    付け加えて個人的に思うことは、新規事業に適した人材の素養はかなり差異があると思っている。
    プロダクトやサービスが大きく優れていない限りは、人材の性質を見極めるほうが良い。その見極めのためにも「新規顧客開拓、新商材投入、事業挑戦」が必要であると考えた。

    ▼意味のある事業領域選定
    事業づくりにひつような初期的インサイトは、通常業務の中で発見することができる。事業作り特化の時間を確保したところで、うまくいく事業は出てこない。
    事業領域の拡大を続けるには、日常的なインサイト探索に務めるべきである。
    これはいける!と勝手に想像することや、これだったら市場的にうまくいくのでは?で事業を増やすことはままならない。

    とはいえとはいえ、能力開発を必要とする事業領域に参入することも、能力獲得とインサイト発見の時短化という大きな意味を持つ。
    できればその2つを目的として下積み期間をおくために、大成功しづらいが確実な売上を期待できるビジネスモデルにしたい。

    スモールM&Aもおすすめである。
    M&Aの目的を利益に絞るのではなく、新領域へ高速で参入するための参入戦略と位置づけるのであれば、規模が小さいM&Aは正当化されるべきである。

    ▼インサイトの発見
    ・自身で思い描いたビジネスにお金を払える会社がいるか。購入意思を示してもらえるか。
    ・業界の「人」とたくさん会い、たくさん議論する

    ▼事業領域の評価
    ・能力との距離
    ・社内の支持
    ・市場(市場規模、市場環境、成長率)
    ・競争環境
    ・構造変化の発見
    ・初期的インサイトの存在

    ▼その他
    ・課題解決は、必ずしも事業発案のプロセスではない。「ビジネスは課題解決である。従って課題を把握して解決策のサービスをつくる」という一般的な考えは有効な発案方法ではない。実際の実業家はそのような着想はしていない。
    ・儲かっているビジネスは何か?なぜ儲かっているのか?を日常的に考え続けるのが良いトレーニングである。
     一方で、赤字だから駄目だとか、メディアで目立っているから良さそうと考えているメンバーを減らすことも重要。
    ・ブルーオーシャン戦略は「全く新しい市場を作る」ことではなく、「古典的な大規模市場の横に少しだけの新たな利用シーンを作る」である。
    ・外資やシリコンバレー流を日本で受け入れるのは間違っている。あれらは世界制覇を目指すものであり、国内領域での戦い方として活用資源が割に合わない。
    ・インサイトは少人数しか合意しないことがほとんどである。「賛成するひとがほとんどいない、大切な真実。」これこそがインサイト。
     インサイトはこの特性をもつため「蓋然性を説明せよ」という要求は、インサイトを見出すことができる人間のモチベーションを大きく低下させる。
     インサイトは、眼の前にある事実と背景知識、経験を統合した結果発見できるものである。同じインサイトを発見できるのは、類似知識と類似経験を持つものだけである。
     誰がTikTokがここまでくると見抜けただろうか、だれがゾゾタウンの成功を確信できたであろうか。
    ・事業にある程度の確信が得られたのであれば集中させる。片手間では成功率を大幅に下げる。大企業で新規事業ができないのは、片手間で事業立ち上げをさせるからである。
     並行した他業務を極力減らす、社内への説明を頻繁にさせない。そして集中させるリーダーは情熱的になれる人材にする。
    ・多くの会社が成長していないのは「営業努力が足りてないから」。売れない理由をプロダクトのせいにするのは違う。まず全力で売れ。とにかく売れ。そうすることですべてがわかっていく。

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