レコンキスタ―「スペイン」を生んだ中世800年の戦争と平和 (中公新書) [Kindle]

  • 中央公論新社 (2024年9月25日発売)
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  • スペインを舞台に10世紀から17世紀に至るほぼほぼ800年に及ぶ、キリスト教国とイスラム国との長い聖戦の歴史を辿る、中世スペイン史とも言える。城塞都市国家、グラナダが長い戦いの最後の舞台となる。双方の時代を代表する国家が陸続して登場する超長編史書、読破、読解には時間と忍耐、何よりも宗教戦への関心、興味が必要か?

  • 現在のスペインとイベリア半島を中心にしたレコンキスタについて。近代の国民国家や宗教にようにキリスト教とイスラム教で簡単に色分けできない。両宗教のいくつもの王朝や貴族は宗教より利で動いた面があり、悲惨な一方寛容で共存していた面もある。国としては700年近く共存し、16世紀以降改宗や同化は進み今でもスペインにはムスリムやアラブの影響はある。

  • イベリア半島からイスラム勢力を一掃

  • 黒田祐我「レコンキスタ」(中公新書)
    711年に西ゴート王国がイスラム勢力に滅ぼされてから、1492年にイスラム系グラナダ王国が滅びスペイン王国がイベリア半島を統一するまでの歴史。
    イベリア半島は山がちで東西に流れる何本もの川で分断されている。イスラム勢力は北岸にまで浸透しきれず、そこに幾つものキリスト教系小王国が分立する。各国はお互いに縁戚関係になるが、それ故に相続権争いが頻発する。イスラム勢力もアラブ系、ベルベル系、西ゴートからの改宗者に分かれ、統一王朝、地方有力者への分裂、また統一王朝と何度も変遷した。キリスト教系もイスラム系も相手側の分裂に乗じて勢力範囲を拡大しようとするし、分裂した側は相手に勝つためなら異教徒勢との連携も辞さない。11世紀欧州の農業革命、十字軍運動などで情勢は次第にキリスト教側に有利となり、境界線は南へ下がっていく。ただしジェノバなど地中海貿易勢力がイスラム王朝を支援するなど、グラナダの陥落まではまだまだ時間がかかる。カスティーリャ王国はイベリア半島統治に特化するが、アラゴン・カスティーリャ連合王国は南イタリアやギリシアを含む地中海王国を目指す。戦争と休戦がダラダラ続き、勝ったと思うと内部分裂す、相手の分裂工作にも容易に乗ってしまう。そんなグダグダした歴史が19世紀には愛国の物語に変わっていく。

  • アルアンダルス(スペインのイスラム世界)は、スペイン現地の短期講座を受けて以来、非常に興味深く見守っていたが、日本語本はもちろん、スペイン語や英語でさえ一般人には読む機会がなかなかない。この本は新書とは思えない充実度。この方があとがきで紹介されていた先生方と共著で本出してくれないかな。
    今より中世スペインの方がDiversityの点では優れており、具体的な施作の紹介でもあれば、現代への大きなヒントになると感じた。

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著者プロフィール

1980年生まれ。神奈川大学外国語学部教授。専攻は中世スペイン史・西地中海交流史。著書に『レコンキスタの実像』、共著に『疫病・終末・再生:中近世キリスト教世界に学ぶ』などがある。

「2022年 『図説スペインの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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