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感想・レビュー・書評
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Kindleのオススメに出てきて興味を持って読んだ本。
昨年講談社文庫の掛川恭子訳で『赤毛のアン』シリーズを通して読んだのだが、そちらには作品解説や訳者によるあとがきがなかった。翻訳自体には特に不満はなかったが、翻訳ものの解説というのは一つの楽しみなので、その点だけは残念だった。
本書の著者は文春文庫から『赤毛のアン』シリーズの翻訳を出している方。私の読んだ掛川訳とは違うが、そちらにはなかった解説のために読んでみた。本編の方は掛川訳で読んでいるので話にもついていけたし、興味深く読むことができた。
本書の話題は多方面に及ぶが、個人的に面白かった点を幾つか挙げると、まず人種やルーツの話。『赤毛のアン』シリーズは主にスコットランド系とアイルランド系のケルト族の物語なのだそうだ。日本に住む日本人だとあまり人種を意識する機会はないが、『赤毛のアン』の舞台であるカナダは移民の国。先住民族や欧州から移ってきたフランス人、そのフランスを破り移住してきたイギリス人等々、様々なルーツを持つ人が暮らしている。主人公のアンはスコットランド系、その他主要な登場人物もスコットランド系とアイルランド系に集中しているようだ。少しずれるが、『アン』に登場するジェイムズ・ハリソンのジェイムズはスコットランド王家スチュアート家の歴代王の名前で、かの有名なジェイムズ・ボンドも原作小説ではスコットランド人と書かれているらしい。
次に『赤毛のアン』の著者であるモンゴメリの話。牧師の妻であったり、次男が生まれた日に他界していたり、どうやらモンゴメリは自身の経験から小説を書くタイプだったようだ。アンも長老派のキリスト教徒だったが、モンゴメリもその夫も長老派だったらしい。長老派と言うのはカルヴァン派の教えを学んだジョン・ノックスがスコットランドで創設したプロテスタントの一派で、主にスコットランド人が信仰しているそうだ。
それから特に面白かったのがプリンス・エドワード島とカナダの歴史の話。初めフランス領だったカナダ東部は七年戦争でイギリス領に移り、英国王の息子エドワード王子が総督として赴任してくる。プリンス・エドワード島というのはその王子にちなんで改名され名付けられた地名。カナダが大英帝国の一部であったことは第一次世界大戦を描いた『アンの娘リラ』で初めて知ったことだった。その第一次世界大戦での犠牲と貢献により、カナダは外交権を獲得している。
最後に余談になるが、上述の経緯からカナダにはフランス人が多いのだが、フランス語には英語のthの発音がなく、フランス語話者はthisの発音ができない人が多いらしい。『アン』の作中でもthisをdisと記述してその辺を表現しているのだとか。thの発音は日本人も苦手とされるが、フランス人も苦手なのだなぁと思わぬところで思わぬ知識を得た。そういった雑学も含めて面白い本だった。
※2026年1月現在Kindle Unlimited対象詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NHKラジオ番組を書籍化したものて、内容は過去の著書と同じで新しい発見はなかった。この著者にしてはがっかり。
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松本侑子の作品
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