ルポ 国威発揚 「再プロパガンダ化」する世界を歩く [Kindle]

  • 中央公論新社 (2024年12月10日発売)
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  • 講談社現代新書の”「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史”で
    独特の視点で近現代史を伝えてくれた著者が、またやってくれた。
    フィールドワークというのか、日本を、世界を足で稼いで、
    記念碑やら博物館を見て回って、現地の人との会話も含め、
    肌感覚を伝えてくれている。
    面白い。
    「国威発揚」「プロパガンダ」というと、時の為政者が、
    自分らの正当性を国民に知らしめるために、あるいは煽動するために
    金をかけるもの、というイメージがある。
    今回著者が見て回ったものの多くはそれではない。
    一般市民が、自分(ら)の意志で、自分の金で、あるいは金を募って、
    勝手に作ったものが結構ある。
    そして、それが地元の人たちに根付いているものも多い。
    タクシーの運転手がそこに行くのを拒否したり、ここに行けと勧めたり、、、

    まあ、これももう一つ掘り下げて考えれば、
    時の政府のプロパガンダを真に受けた人たちが、
    自分の意志と思い込んで作った、ものもあるような気はするが、、、

    いずれにしても、これが現実であるのは事実。
    昨今の価値観では否定されるべきものも現存しているのだ。

    否定されるべき、といえば、著者がこだわった「大東亜戦争」。
    戦後アメリカによってこの言葉は否定され、
    太平洋戦争と言い直され、今は「アジア太平洋戦争」というのだそうだ。
    が、昭和16-20年の日本人はみな「大東亜戦争」と呼んだのは間違いない。
    アジアを欧米列強から救う、という政府のプロパガンダのもとに。
    これもまた事実である。
    私も「大東亜戦争」と言い続けたい。

    【第一部】個人崇拝の最前線
    1章 トランプの本拠地に潜入する 米国/トランプタワー
    2章 親日台湾の新たな「聖地」 台湾/紅毛港保安堂
    3章 安倍晋三は神となった 長野/安倍神像神社
    4章 世界一の巨像を求めて インド/統一の像
    5章 忘れられた連合艦隊司令長官 佐賀/陶山神社
    6章 「大逆」の汚名は消えない 山口/向山文庫

    【第二部】「われわれ」の系譜学
    7章 わが故郷の靖国神社 大阪/伴林氏神社
    8章 消費される軍神たち 大分/広瀬神社 他
    9章 自衛隊資料館の苦悩 福岡/久留米駐屯地広報資料館
    10章 「日の丸校長」の神武天皇像 高知/旧繁藤小学校
    11章 旧皇居に泊まりに行く 奈良/HOTEL賀名生旧皇居
    12章 「ナチス聖杯城」の真実 ドイツ/ヴェーヴェルスブルク城
    13章 感動を呼び起こす星条旗 米国/マクヘンリー砦

    【第三部】燃え上がる国境地帯
    14章 祖国は敵を求めた ドイツ/ニーダーヴァルト記念碑
    15章 「保守の島」の運転手たち 沖縄/尖閣神社
    16章 観光資源としての北方領土 北海道/根室市役所
    17章 「歴史戦」の最前線へ 長崎/軍艦島 他
    18章 差別的煽情の果てに 京都府/靖国寺
    19章 竹島より熱烈な「島内紛争」 島根県/隠岐諸島
    20章 エンタメ化する国境 インド/アタリ・ワガ国境、中国/丹東

    【第四部】記念碑という戦場
    21章 もうひとつの「八紘一宇の塔」 兵庫/みどりの塔
    22章 東の靖国、西の護国塔 静岡/可睡齋
    23章 よみがえった「一億の号泣」碑 岩手/鳥谷崎神社 他
    24章 隠された郷土の偉人たち 秋田/秋田県民歌碑
    25章 コンクリートの軍人群像 愛知/中之院
    26章 ムッソリーニの生家を訪ねて イタリア/プレダッピオ
    27章 記念碑は呼吸している ベトナム/マケイン撃墜記念碑
    28章 けっして忘れたわけではない フィリピン/メモラーレ・マニラ1945

    【第五部】熱狂と利害の狭間
    29章 戦時下の温泉報国をたどる 和歌山/湯の峰温泉 他
    30章 発泡スチロール製の神武天皇像 岡山/高島行宮遺阯碑
    31章 軍隊を求める地方の声 新潟/白壁兵舎広報史料館
    32章 コスプレ乃木大将の軍事博物館 栃木/戦争博物館
    33章 「救国おかきや」の本物志向 兵庫/皇三重塔
    34章 右翼民族派を駆り立てる歌 岐阜/「青年日本の歌」史料館
    35章 郷土史家と「萌えミリ」の威力 熊本/高木惣吉記念館

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著者プロフィール

辻田真佐憲(つじた・まさのり)
1984年大阪府生まれ。文筆家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科中退。
2011年より執筆活動を開始し、現在、政治・戦争と文化芸術の関わりを研究テーマとしている。著書に『日本の軍歌 国民的音楽の歴史』、『ふしぎな君が代』『大本営発表』『天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成』(以上、幻冬舎新書)、『空気の検閲~大日本帝国の表現規制~』(光文社新書)『愛国とレコード 幻の大名古屋軍歌とアサヒ蓄音器商会』(えにし書房)、『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)などがある。歴史資料の復刻にも取り組んでおり、監修CDに『日本の軍歌アーカイブス』(ビクターエンタテインメント)、『出征兵士を送る歌 これが軍歌だ!』(キングレコード)、『日本の軍歌・軍国歌謡全集』(ぐらもくらぶ)、『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』 (文春新書) などがある。

「2021年 『新プロパガンダ論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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