希望格差社会、それから―幸福に衰退する国の20年 [Kindle]

  • 東洋経済新報社 (2025年1月15日発売)
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みんなの感想まとめ

日本の社会が抱える停滞や閉塞感を多面的に解説し、希望格差というテーマを通じて現状を見つめ直す内容が魅力的です。少子化についての議論では、日本だけでなく他の国々の状況も考慮され、視野が広がります。また、...

感想・レビュー・書評

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  • オーディブルにて。
    希望格差社会、という本の続編らしい、とききながら知った。

    日本の停滞や閉塞感について多面的に解説され、将来性のなさにうんざりしてしまった。けど、これが客観的な事実なんだろう。
    少子化の観点についてだけは、東アジアの中で別に日本だけが突出した少子化なわけではないし、日本より急速な少子化を突き進む国も多々あるし、少子化の原因も日本特有の構造的な問題によるところでもなさそうなんだから、何もそんなに言わないでも、という気持ちにはなった。
    江戸時代などとの類似性の話題は、ちょっと面白かった。
    推し活が盛り上がったり注目されたりするのは、こういう時代背景にもよるんだろうか。

  • 本題ではないが、パチンコなどのギャンブルが、努力が報われる体験という感情を売っているという指摘がハッとさせられた。

    バーチャルというものをVRやインターネットに限らずかなり拡張して表現しているなと感じた。

  • 『希望格差社会、それから──幸福に衰退する国の20年』
    山田昌弘(1957年生まれ、中央大学文学部教授。家族社会学・若者論。「パラサイト・シングル」「婚活」の概念を提唱)



    【要点・抜粋+気づき】

    1. 経済停滞の中で高まる生活満足度
    • NHK調査によると「衣食住」「生きがい」「地域の生活環境」「人間関係」すべてに満足と答えた若者は、1988年の36%から2018年には55%に増加。
    • 所得や生産性は横ばいでも、スマホや低価格サービスの普及で主観的な満足度が上昇。
    • 気づき: 生活の実感は数字以上に「身近な充足感」で支えられている。



    2. バーチャルな親密性の台頭
    • 図表6-8では「ペットとの親密な関係」が男女とも約半数。
    • 「推し活」をほぼ毎日または時々行う人は、25-34歳独身女性で44.4%、男性で20.6%(図表6-9)。
    • キャラクターやアイドルへの恋愛感情も2〜3割程度が経験(図表6-6、6-7)。
    • 気づき: 親密さの対象が「リアル」から「バーチャル」「ペット」「コンテンツ」へ拡散している。



    3. 希望の拠り所の変化
    • 前近代社会では「来世」での幸福が現世の貧困を慰めていた。
    • 現代では「バーチャル世界」がその役割を肩代わり。
    • 気づき: 希望を生む物語が宗教からデジタルへ移行した。



    4. 数字に表れる衰退
    • 国際競争力ランキングでは日本は38位(図表1-2)。
    • 製造業労働生産性は2000年の1位から2021年には17位(図表1-3)。
    • 一人当たりGDPもOECD平均を下回り、29位(図表1-4)。
    • 気づき: 客観的な経済力は確実に後退している。



    5. 東京一極集中と地方の空洞化
    • 図表1-17では地方から東京圏への若年女性の転入が増え続けている。
    • 気づき: 地方に「居場所」がなくなり、人口も文化も一極集中する。



    6. 共働きの固定化された形
    • 図表8-1によると「夫正規雇用×妻パート」の共働き形態がほとんど変わらず続いている。
    • 気づき: 世帯内の役割格差が収入や希望の格差を固定化する。



    7. 人生の先行きへの不安
    • 図表6-5では「将来悪くなる」と答える割合が令和5年には30.7%と上昇。
    • 図表6-1では「40歳で幸せになっていると思う」日本人は68.2%で、他国より低い。
    • 気づき: 「今は満足、将来は不安」という分断が深まる。



    【今後への活用案】
    1. 感情経済の事業展開
    • 推し活やペット関連サービス、バーチャル親密体験を軸に小規模サブスク型ビジネスを育成。
    2. 地方支援策
    • 地方で「オンライン共感コミュニティ」を整備し、移住や定住を後押し。
    3. 人材戦略
    • 報酬だけでなく「学び」「つながり」「未来展望」を重視するインセンティブ制度を作る。
    4. 福祉のDX
    • 高齢層向けのデジタル親密サービスを自治体と共同で推進。
    5. 組織文化の刷新
    • 成長主義から「希望共有型文化」への転換を目指す。



    一言感想

    経済が後退しても、心の中にだけは“幸福の物語”が生き残る。その光と影がリアルに伝わる一冊だった。

  • 希望格差というタームが持つ放射能は20年前の前作から変わらず、あらためて平成を振り返った中で広がる種々の格差が日本を蝕むさまを活写することには成功しているが、バーチャルや推し活という解答の流れにはそこまで説得力も感じられず、かといってカルチャー批評からの肯定も自家撞着であろうことを踏まえると、惜しくもあるが期待しすぎたのかも知れない。
    議論の土台として、現在および将来の生活設計におけるバーチャル的な充足がどうあるかという課題については今後興味が惹かれる。

  • 前作も刺激的
    これなくらい未来を予測しているがそれは我々に覚悟を迫っている。
    現状を知ることで、将来への思いを明確にしなければ意見も持てないし、ましてや行動にもつながらない。
    少子化対策も一筋縄ではいかない。
    親である我々世代の責任だが、それを果たすことはまだ可能だ。
    社会への発信さえあれば誰かには届くという期待が持てる。

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著者プロフィール

大阪府出身。京都大学法学部卒。華々しい英雄伝が好きですが、裏話的なテーマも、人物の個性をあぶり出してくれるので、割と嗜みます。著書に『世界ナンバー2列伝』(社会評論社)など。

「2016年 『童貞の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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