あとはおいしいご飯があれば [Kindle]

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  • 双葉社 (2025年2月19日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 母が図書館で借りてた本を横取り。
    ご飯の話もよかったけど、家族の温かみとかもたくさん表現されていて、よかったなぁ。

    ◎私に花丸をつけて
    自分が日々すり減る石鹸のように思えてくる。
    望んだ上での結婚だし、望んだ上で母親になった。毎日のタスクはできて当然でうまくこなせたとしても誰も花丸はくれない。私が母親だから。弱音を吐けばどこの誰ともしれない人間にいきなり母親失格とまで書き込まれるのだ。「起きるとヨガをして、体中に朝の光を浴びます。丁寧な暮らしは早朝から」とか、「母親でも綺麗を忘れません」とか「朝は手作りパンとスムージーで、体の中から健康に」とか言ういわゆるできる母親の生活とはかけ離れていて、私の毎日には余裕というものがまるでない。
    【美味しそうな表現】
    チョコレートや生クリーム、蜂蜜やらフルーツやらを盛り付ける。
    ボールに入れたホットケーキミックスに卵を割って、お昼にホットケーキを焼いた時より多めに牛乳を入れ、慌てで混ぜる。

    ◎ダイエット大作戦
    ダイエットに必要なのはメモとお弁当。
    【美味しそうな表現】
    凝ってみると面白くまた奥深いのがおにぎりだ。塩を1つにしても藻塩や梅塩に変えてみると、味がぐっと変わるし、昆布塩もとても美味しくなる。炊き込みご飯もいいし、網で炙って焼きおにぎりにしても良い。

    ◎秘密のお昼ご飯
    体育館でこっそり誰にも見つからない場所でご飯を食べる人の気持ちが私はとてもわかる。そこで出会ったココアは、「この2階の窓から差し込む光が学校の中で1番好き。柔らかくて、透き通っていて、心が静かになるから」「ひとりでいようが、誰といようが人のことなんて1年経ったら誰も大して覚えていないんだから、それなら自分で今日を楽しくした方が良いと思う」って言ってて感動。
    どこでも「おいしい」は自分で作ることができて、それは毎日を少しだけ楽しくする。
    1人でいることをそれほど恐れなくなった今もたまに思い出す、不思議で大切な記憶だ。

    ◎夫の寝言
    【美味しそうな表現】
    冬の真夜中のラーメンは「夜の食事はそのまま脂肪になる」とか、「こんな時間にラーメンを食べちゃうなんて」といった罪悪感をしのぶほどに美味しく、出汁の香る湯気を顔に受けながら、私は黙々と麺をすすった。

    ◎雨の日のカタツムリ
    春の雨は花粉や黄砂がもれなく流されて、世界が洗われていく様子を眺める。夏の雨は、激しく降る雨と晴れの境目がくっきりと見えることがある。秋の雨は細く静かで優しい。冬の雨は途中から雪に変わることもある。

    ◎固いアボカド
    結婚生活うまく続けていくには、年収がどう、外見がどうとかよりも、お互いにどれだけ目をつぶれるかどうかということが重要になってくるのだろう。
    アボカドは、切ってみるまで中はわからない。でも、たとえ中身が自分の思っているのと違ったとしても、美味しく食べる方法はある。同じように、目の前のこの人とも、うまくやっていく方法はいろいろある。
    豪華さとか、派手さとか無縁だけれど、おいしかったねと言い合える、このなんでもない風景こそが、幸せと言うのかもしれないなと、ふと思った。

    ◎お母さんの味
    こうしてみると、母も小さくなったな、とつくづく思う。喧嘩して電話を叩き切った昔が嘘のように、今でも穏やかな日々が続いている。
    「2人の生活は、これからが長いんだから、気軽にね」

    ◎何のために生きる
    「自分の好きな食べ物を、美味しく食べて、また明日も頑張ろうって思うために生きているんだよ。試合は終了しても人生が続くんだ。お父さんはね、みおが大事だよ。世界の何よりも大事だよ。お母さんもそうだ。お母さんだって心配してた。私がいたら、あの子頑張りすぎちゃうからって」
    「赤ちゃんの時を思い出すよ。親は欲深い生き物だから、ついつい子供に何かをやらせて、もっと上手に、もっと上に行けるようにって願う。でもな、赤ちゃんの頃を思うと、ただ生きていてくれるだけでいいんだよ。みおはお父さんとお母さんの喜びだ。生きる光だ」

    ◎終わりの日
    子育てはいろんなものを忘れながら行く旅なのかもしれない。もう忘れてしまった終わりの日も多いが、今日のこの日は、記念すべき日として人生に刻んでおこうと思う。これからもいろいろな日を迎えていくために。

    【TODO】
    美味しく食べる方法、人間関係においてもうまくいく方法はきっとある。探してみよう。

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著者プロフィール

小説家

「2022年 『お銀ちゃんの明治舶来たべもの帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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