魔術 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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本棚登録 : 27
感想 : 9
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感想・レビュー・書評

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  •  実質再読。初読は確か新潮文庫。でも内容は覚えてたのと全然違くて、一体何を読んでいたんだって自分で思っているという……。それもまた魔術か(違います)。
     「欲があると使えない」という魔術の教えを乞う主人公。杜子春に似たような流れだなあと思いつつ、最後のオチはなんだかいい。

  • 主人公は、インドの独立運動家であるミスラ君の住宅を訪れる。ミスラ君はインド魔術の使い手であり、かねてから魔術を見せてもらう約束をしていた。
    ミスラ君の魔術の数々に驚嘆した主人公は、自分にも魔術を教えてほしいと頼む。なんでも、欲を捨てなければ魔術は使えないらしく、主人公は欲を捨てることを誓い、ミスラ君に魔術を習う。それから1月後、主人公は銀座のクラブで、友人たちに魔術を披露して欲しいと頼まれ、気軽に承諾した主人公は、石炭を金貨に変える魔術を披露し、その後、欲を持ってはいけないからすぐに金貨を石炭に戻そうと提案したが友人たちは、その金貨を賭けてトランプで勝負するよう挑んできて、勝負をした。勝負の終盤で、目の前の大量の金貨を見てしまい、「手に入れたい」という欲が出てしまった主人公はミスラ君との約束を破ってしまう。その結果、彼は魔術師としての資格を失い、未熟な人間であることを周囲にあらわにしてしまった。

    私は、この本を最初に読んだ時に疑問に思ったことがある。
    この作品の最後は、主人公が「欲を持ってはいけない」という約束を破ったことにより、 魔術師になる資格を失ったというところで終わるのだが、その後が気になる。 また、私は、「魔術」というタイトルから多くの事を連想した。1.魔術が使えるようになるには、本当に欲を捨てなければいけないのか?あるいは、なぜ捨てる必要があるのか? 2.魔術は、存在するか。しないか。3.どのようにして使うことができるのか。4.魔術と聞いて、何を思いうかべるか。5. 魔術を使える人はどんな人か。という事だ。これらの問いのうち、2番について考える。私は、魔術は、存在すると思う。なぜなら、この世には、マジシャンという人が存在し、職業で魔術を披露しているからだ。この話から考えるとマジシャンは、欲を捨てて、魔術師になったのかという疑問がわいてくる。
    考察として 
    勝負の終盤で、大量のお金を目の前に欲が出てしまったとあり、このシーンは、お金がどれほど怖いものであるかという事を示している。

    私は、芥川龍之介の作品をたくさん読んだことがあるが、最後の終わり方がどうしても納得がいかない。「魔術」以外にも「仙人」という作品があるが、この作品も主人公が苦労の末に仙人になったところで終了しており、その後が気になる。このように、芥川龍之介の作品は、最後が気になるように書かれている。

  • 欲を捨てることができるか、と聞かれたら何と答えるだろうか。この世に欲のない人間などいるのだろうか。
    この本の著者である芥川龍之介は誰もが知っている有名小説家である。教訓めいた内容のものが多いが、短編小説であるため読みやすく、教科書にも載っている。芥川龍之介の作品の特徴は、人間の暗く醜い部分を書いているところだ。この本にもその特徴は顕著に現れている。
    題名にもある"魔術"をめぐって、人間のエゴイズムを感じられる作品だ。また、芥川龍之介は『蜘蛛の糸』と同様に、この作品を児童向けに書いている。そのため、子どもにはもちろん読んで欲しいが、大人になってからでも、何か心に刺さり、どうしようもない気持ちになってずっと考えてしまうような、忘れられない作品になるだろう。

  • 岩波書店『芥川龍之介全集 第5巻』(1996年)所収。

    ある雨が降る夜のこと。
    インド人の知り合い(だったか)に魔術を教えてもらう話。
    魔術を得るためには、欲を棄てなければならないと忠告される。

    一通り魔術を見せてもらって、魔術を習得したいと思った主人公。
    その晩止めてもらうことになり、教えてもらうことに。

    魔術を習得した男は、とあるお店で・・・。


    芥川龍之介ならではの短篇。

    他の方が指摘しているように、ほんとうに、インド人が魔術を使っているそのときの描写がきれい。目の前に浮かんでくるよう。

    設定は少ないのに、見事にその雰囲気を味わえる。

  • まるで「邯鄲の枕」。「笑ゥせぇるすまん」の世界も思い出すブラックコメディ。最後の落ちにドキリとさせられる。人間って。

  • まぁ読み終わってしまえば、よくある話で真新しさはないのかもしれんけど、よくある話ということは、それなりに楽しめるからみんな使ってるってことだわね。
    というわけで面白かったんだけど、やっぱインド人ってスゲーな。インド人ならできるかも、っていうイメージも含めて。

  • インドの魔術師に不思議な魔術を見せてもらったあと、魔術を教わることにするが
    魔術を使うには欲を捨てる必要があると言われ、という話
    話の流れとしては杜子春によく似ているが、一つ一つの魔術の幻想的で美しい描写にも注目したい

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